2016年4月15日金曜日

詩歌をりをり上る口の端


春の川を隔てゝ男女哉   漱石

           新日本風土記「祇園」

2016年1月26日火曜日

碧巌録 第三十六則  仏果圜悟禅師


始随芳草去 又逐落花回 
  始めは芳草に随って去り、又落花を逐うて回える

風狂蛍堕草 雨驟鵲驚枝
  風、狂して蛍草に堕ち、雨、驟にして鵲枝に驚く

白鷺沙汀立 盧花相対開
  白鷺沙汀に立ち、蘆花相対して開く

夜静渓聲近 庭寒月色深
  夜静かにして溪声近く、庭寒うして月色深し

2015年3月17日火曜日

【満尾】春連歌 『よく見れば』の巻 第五千句第六百韻

                      百韻『よく見れば』の巻   
                                                                                  2015.3.18〜4.28

発句  よく見ればなづな花咲く垣ねかな    芭蕉  春
脇     郷のしゞまに響むうぐひす     春蘭  春
第3  山高み雲居はいまだ残る雪       野茨  春
4     年々増すは日々の速さよ      杜角
5   燃えるごみ燃えぬごみ分け煩はし    真葛
6     「お持ち帰り」がゴシップとなり   曙水 
7   いつになく顔曇らせるお月さん     草栞  秋月
8     夜食を買ひに馳せるコンビニ     茨  秋

9   気の所為で終はりたくなし秋の声    ね子  秋
10    ちぎりは夢か憎き戯れ男       蘭  恋
11  偶然も運命になる片想ひ         水  恋
12    旅の余韻に身をまかしつつ      角
13  しばらくは無為に籠らん草の庵      茨 
14    圏外なれば邪魔も入らず       栞
15  アマチュアがゴルフツアーに優勝し    蘭
16    大きなつづらを背負ふ冬晴      ね  冬
17  人絶えし関所跡なり冴ゆる月       葛  冬月
18    来るなと言えばついてくる部下    水
19  缶ビール乾き物にて花の宴        角  春花
20    風やはらかく心うららか       茨  春
21  君の嘘看破れなかつた万愚節       栞  春
22   「好きだつたの」と匂ふ沈丁      ね  春
二オ
23  上京のいとこの婚儀伝へ聞く       蘭  恋
24    彼に伝へぬメアド変更        水  恋
25  白玉のつるりと喉をおちてゆき     里代  夏
26    岩うちしぶく滝のとどろく      角  夏
27  ぬぐふ汗苦労にほうびある登山      茨  夏
28    露天湯つかり心気充実        蘭
29  祝定年友と卒業旅行して         角
30    想ひ起せる異動発令         栞
31  世界中紛争地帯となりにけり       ね
32    えさに群れ寄り競ふ水鳥       茨  冬
33  枯れてなほ形おもしろき蓮の骨      蘭  冬  なり
34    祖父が好みの志野の七化け      水
35  山の音聞きしと思ふ谷戸の朝       代
36    四葩にほそる雨後の参道       角  夏  よひら
二ウ
37  短夜を惜しむ逢瀬の狂ほしき       栞  夏恋
38    乱筆をどる衣衣の文         葛  恋
39  上司より逆玉縁談舞ひ込んで       茨
40    ひとカラ通ひロック絶叫       水
41  右肩のタトゥーの名前見え難し      ね
42    妻の顰蹙耐へてプロレス       蘭
43  会話なき息と一献古酒開けて       角  秋
44    もつてのほかの蘊蓄を添へ      栞  秋
45  突き抜けて拝領の槍嫦娥刺す       葛  秋月
46    逢魔が時に辻を行く馬        水
47  白無垢に覚悟秘めるや綿帽子       茨
48    枝ふつくらと揺れる花房       蘭  春花
49  風ぐるま地蔵の前に置き去られ      ね  春
50    わらんべ群れて遊ぶ紫雲英田     角  春  げんげだ
三オ
51  モーニングサービスにつく茹で卵     代
52    剥れかかつたレトロ広告       栞
53  つまらない授業はサボり映画館      茨
54    定まる夢の欠けし青春        蘭
55  アルバムを整理仕出して時忘れ      角
56    どこに隠すか妻お見通し       水
57  シュレッダー嵩なしてゐる年の内     代  冬
58    物色やめて嫁ぐ二十九        茨
59  味噌汁の茗荷の味もほろ苦く       栞
60    帰省久しく老いし父はは       角  夏
61  休耕田むぐら隠れに鹿の角        蘭  夏
62    げに難しき異種の共存        茨
63  満月の迎へ拒めぬかぐや姫        ね  秋月
64    今ひとたびの竹伐りもがな      栞  秋
三ウ
65  新藁を束ね修練居合術          角  秋
66    決まつてひとが覗く節穴       蘭
67  いつまでも鬼が目隠しかくれんぼ     代
68    ゆふべの鐘に合はせ鳴る腹      茨
69  向日葵は禅僧のごと立ち尽くし      水  夏
70    ふらりふらふら誘ふ蛍火       ね  夏
71  忍ぶれど思ひ焦がれて後を追ひ      栞  恋
72    振袖綾に恋は盲目          葛  恋
73  幼ななじみ成人式に見違へて       角  新年
74    東京さ出るとやつぱ違ふね      蘭
75  めくるめく洗練度増すオフィス街     茨
76    蜃気楼にも現れるとや        栞  春
77  蓬莱山富士の裾野は花ごろも       角  春花
78    てふてふ追ひて転ぶをさな子     水  春  まろぶ
ナオ
79  天才を育てる塾のあるといふ       ね
80    自撮りばっちり独り見蕩れて     代
81  辻占で今がモテ期と煽てられ       蘭
82    着た切り雀がスーツ新調       茨
83  副賞は世界一周社長賞          角
84    耳慣らしにとAFN聴く       蘭
85  たいていのことはネットで用が足り    栞
86    アイフォン見つつ漬ける沢庵     ね  冬
87  エコライフ求め田舎に移住して      茨
88    街のネオンがまれに恋しき      角
89  下弦月小遣ひ更に減らされる       蘭  秋月
90    唇寒く手折る残菊          栞  秋
91  坂の家柿はたわわに人なくて       水  秋
92    そつと触れれど零余子こぼるる    茨  秋   
ナウ
93  泣き止まぬ児を背負ひ出る昼の丘     角
94    悠々自適の老後遠のく        ね
95  埋み火を掻けばまた燃ゆふるき恋     蘭  恋
96    異国の空からおくる絵葉書      茨
97  オリオンの星を仰げば冴返り       栞  春
98    田螺蠢く小田の水底         角  春
99  大将は一本立ちの花の巨樹        茨  春花
挙句    木々は萌黄に芽吹き初めたる     蘭  春


※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2015年1月5日月曜日

【満尾】初懐紙『正月の』の巻 ー 第五千句第五百韻



                      百韻『正月の』の巻   
                                                                                  2015.1.5〜2.9
発句  正月の子供に成て見たき哉       一茶  新年
脇     白紙はみ出すほどの書初め     春蘭  新年
第3  マジシャンの金の箱より鳩飛びて    真葛
4     ふだんとがめる妻も空箸      野茨
4     逢魔時の行合の空         草栞  秋
5   明月や無理とさとりぬ隠しごと      蘭  秋月  両句に
6     ラ・フランスの甘き香を剥く    里代  秋
7   茶話会へ持ち寄る品につど迷ひ     杜角
8     不器用通し得たる定席        葛

9   黙阿弥の影武者となり存へて       栞
10    悔ひ改めに遅きことなし       茨
11  シニアにてふたたび戻る大学生      蘭
12    テレビ消せない箱根駅伝      曙水  冬
13  酒気帯びの亭主炬燵で指図する      角  冬
14    宇宙旅行の夢は伏せたり       代
15  面接は上手に嘘をつく場らし       茨
16    化粧濃いめに再婚の朝       ね子  恋
17  みそ汁はあなた好みに薄くして      蘭  恋
18    浅き浦にも春きざす頃        栞  春
19  空の月掌にある如し月日貝        葛  春月
20    花はつぼみのうちこそが華      角  春花
21  加速する世代交代フィギュア界      茨
22    バブルの記憶レジェンドとなる    ね
二オ
23  ある意味で会社選びは博打に似      蘭
24    響かぬ鉦を捨てて悔いなし      葛
25  炎天下心頭滅し布施修行         栞  夏
26    緑蔭すずしありがたき風       角  夏
27  冤罪の不倫疑惑の渦中にて        ね
28    女も好きでお茶屋遊びは       代
29  オアシスを求めるやうに京都・奈良    茨
30    身軽な独りむしろ羨む        蘭
31  賃貸かローンを組むかで喧嘩をし     水
32    相棒見ては真似る口癖        栞
33  もう少し足長けりゃと埒もなし      葛
34    記憶はいつも鬼ごっこの鬼      ね
35  ねんねこの中の妹ずり上げて       代  冬
36    街の昼月氷砕のごと         水  冬月
二ウ
37  若作りすぎて老化を目立たせり      角
38    秘めたる情事噂広まる        栞  恋
39  ウィンクにVサインして玉の輿      葛  恋
40    早や二代目に移る追っかけ      代
41  青春はたぎる情熱あるかぎり       茨
42    もう一花とダンス教室        蘭
43  右足と右手同時に前に出し        ね
44    パパのビデオへ園児駆け出す     水
45  春びよりパワー全開晴れ男        角  春
46    空へぐるりと半仙戯漕ぐ       代  春
47  山裾を覆ふばかりの花の波        栞  春花
48    今ある生を礼す野仏         茨
49  退院後だんだん伸ばす散歩路       蘭
50    日々微かにも季節うつろふ      角    
三オ
51  花時計黄色のパンジー今何時       水
52    言葉あそびは少女得意で       葛
53  きらめきの湖もとは名なき池       茨
54    白鳥飛来添へる彩り         角  冬
55  初デート手袋越しに手をつなぐ      ね  冬恋
56    グリューワインに一夜明かして    代  恋 
57  残る月そぞろ身に入む朝の市       栞  秋月
58    立ち籠めし霧うすれゆく川      蘭  秋
59  越え難き砂漠にせめて野菊咲け      ね  秋
60    宙を仰げば恒河沙の星        茨
61  顔ならべ視線泳がす露天風呂       角
62    手拍子打って宴もたけなは      葛
63  特訓のカラオケで人振り向かせ      蘭
64    狐忠信花道を翔ぶ          水  雑花
三ウ
65  騙されたフリ作戦の父母の知恵      ね
66    おとり捜査に一役買つて       栞
67  裁判の傍聴レポが趣味となる       茨
68    またぞろもたぐ作家への夢      角
69  こなからが五合となって四畳半      葛
70    口説き文句は常の鉄板        水  恋
71  同窓会聞けばマドンナ未亡人       蘭  恋
72    主演脚本語る半生          ね
73  冬銀河韓流ブームいまいずこ       代  冬
74    波の花立つ断崖の磯         茨  冬
75  お仕覆の裂地問はれて答へけり      栞
76    そっと正座を崩しもむ足       角
77  楽しみはお清め鄙の法事ごと       蘭
78    当番札の失はれをり         葛
名オ
79  学ランの釦懐かしブレザーは       水
80    蛮カラやがてチョイ悪に成る     ね
81  フレックス制開始前からフレックス    茨
82    店の外まで薫る珈琲         角
83  切絵図をたどり味はふ江戸情緒      蘭
84    消えた町名復活の縁         栞
85  なれそめは判子もらひに地区回り     角  恋
86    ハスキー声も婀娜にかはゆく     茨  恋  あだ
87  体裁をつくろふなかれ猫の恋       蘭  春
88    チューリップ皆小首かしげて     水  春
89  背負ふものどうでもよくて朧月      ね  春月
90    脱ぎしさしぬき行方知らずも     葛
91  きぬぎぬの別れに憎きすましがほ     茨  恋
92    総務部長にばれた二股        水
名ウ
93  前門の虎後門の狼で           栞
94    苦難試練は成長の糧         角
95  けなげさや野になにを食む悴け鳥     蘭  冬  かじけどり  
96    掛大根の並ぶ庫裡裏         代  冬
97  残したき風景ばかりの写真集       ね
98    蝶の舞ひゆく懐しき径        栞  春
99  一面の花筏割る舟の水尾         茨  春花  みお
挙句    四つ葉みつけてあがる歓声      角  春

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方

2014年11月7日金曜日

【満尾】第五千句第四百韻『世にふるも』の巻


                      百韻『世にふるも』の巻   
                                                                                  2014.11.5〜12.3

発句  世にふるもさらに時雨のやどりかな   宗祇  冬
脇     散りて彩なすかさのもみぢ葉    春蘭  冬
第3  たぬき肥ゆ我が家の一味となりぬらむ  曙水
4     焦がした鍋を洗ふ夕暮       里代
5   後の月過ぎて今なほ輝けり       草栞  秋月
6     芒の原に聴きしビオロン      阿紗  秋
7   褒め合ひて差しつ差されつ新走り    真葛  秋
8     アラセブンにてやまひ知らずよ   野茨

9   持ち歌は中島みゆき一筋で        水
10    抱かれていたい夜が明けるまで    代  恋
10    いいひとどまりに終はる恋愛     蘭  恋
11  笑顔見せ心で泣いて汽車に乗る      栞  恋  両句に
12    クロワッサンとカフェオレの朝    代
13  無縁とは思ひつつ見る訃報欄       葛
14   「老人力」を読んでうとうと      紗
15  風雨でもついむきになり散歩して     蘭  
16    川の淀みに集ふ留鳥         茨
17  病葉にいざ鎌倉の道細し         代  夏
18    抹茶アイスでまずはもてなし     水  夏
19  夕月に幼な子揺れるハンモック      紗  夏月
20    読み聞かせたる絵本しまひて     栞
21  写真付きLINE飛び交ふ花便り     茨  春花
22    誘はれ易き峪の蝶々         葛  春
二オ
23  憧れの先輩今日卒業す          水  春恋
24    偶然装ひ駅でまちぶせ        蘭  恋
25  黙しても見透かされるや下心       栞
26    石榴裂けたる菩提寺の庭       代  秋
27  半纏のきりり決まりて冬支度       葛  秋
28    芋が煮えたと夫に呼ばれる      紗  秋
29  名月やとなりのうひ児なきやみぬ     蘭  秋月
30    いろはさらへばにほふ墨の香     茨
31  寺子屋は腕白揃ひよだれくり       代
32    解けぬ難題ひとつ咳         水  冬   しわぶき
33  レジ打って爪の手入れもこっそりと    紗
34    流行色に惑はされつつ        栞
35  服買つてやうやく機嫌なおる妻      茨
36    秘密の基地に蝉の抜け殻       葛  夏
二ウ
37  叡智だね彗星の尾を捕まえた       水
38    きみとの出逢ひこれも奇跡さ     蘭
39  狂ほしく若き情熱蘇り          栞  恋
40    ハーレーの腰しかと抱きしむ     代  恋
41  陽光を受けて眩しき海の青        葛
42    帰燕見送る島の灯台         紗  秋
43  辛抱のこもり奉公秋ととせ        蘭  秋
44    秘めし宿望誓ふ満月         茨  秋月
45  八戎はさらりと捨てて寺下る       代
46    ヒップホップが今日の体育      水
47  白山羊に不思議な顔でのぞかれて     紗
48    読まずに閉じた雛の添へ文      栞  春
49  相合ひの言はず語らず花篝        葛  春花恋
50    妬くやはるかぜ捲るスカート     茨  春恋
三オ
51  通学路急ぐ自転車立ち漕ぎで       水
52    あせの煌めきわかば照り映ゆ     蘭  夏
53  滝の音絶える間もなく谺せり       栞  夏
54    熊野古道で出会ふ修験者       代
55  顔に似ずバイリンガルの隠し技      葛
56    夜景を見せて甘く囁く        紗  恋
57  ゆきずりの刹那刹那は本気にて      蘭  恋
58    あいさつ代はり「今度飲もうよ」   茨
59  プリプリのエビチリが来て月今宵     代  秋月
60    菊花賞には肥ゆる馬居ず       水  秋
61  不器用な人思ひつつ秋の駅        紗  秋
62    間合をおいて二度鳴らすベル     栞
63  悪戯は小僧の糧となりぬべし       茨
64    神父の胸の銀の十字架        葛
三ウ
65  半世紀サンタクロースに見捨てられ    水  冬
66    おでん肴にボジョレ・ヌーボー    蘭  冬
67  割烹着脱いだ彼女は今何処        栞
68    キラキラ光る鴨川の海        代
69  思い出をぎっしり詰めて絵日記に     葛
70    土器のかけらに似せたクッキー    紗
71  好奇心あれば世界は刺激的        蘭
72    人見知りせぬ仔猫かはゆき      茨
73  椀種のしらうをの目にみつめられ     代  春
74    音羽屋を観に春ショール掛け     水  春
75  バーボンを飲んでほんのり朧月      紗  春月
76    花の都の灯も燃ゆ          栞  春花
77  待ちわびし愚図な彼よりプロポーズ    茨  恋
78    小町の轍を踏まず婚約        葛  恋
名オ
79  政党の名前が語る憂き世にて       水
80    かつ消え結ぶ淵のうたかた      蘭
81  叢に梔子香る仮の庵           栞  夏
82    腹の上だけのせる夏掛        代  夏
83  ジャンボくじお告げあったと大人買ひ   葛
84    集ふヲタクに二階みしみし      紗
85  トキワ荘昭和マンガの発祥地       蘭
86    生活感の醸すおもむき        茨
87  月高しカラオケ館といふビルに      代  秋月
88    二次会終えて虫すだく道       水  秋
89  朝寒のトースト焦げた匂ひして      紗  秋
90    黄落踏んで配る新聞         栞  秋
91  けふもまたテレビに暮れる日の早さ    茨
92    かなた熱愛こなた破局で       葛
名ウ
93  訳本もシェイクスピアは苦手なり     水
94    自慢くすぐり入れる合ひの手     蘭
95  もち上るはずが歳には逆へず       栞
96    ぬらりと逃げる寒釣の鮒       代  冬
97  歌詠みの夢は流れて千曲川        葛
98    かすみて分かちがたき天と地     茨  春
99  やすらかにハープ鳴らせば花の降る    紗  春花
挙句    いざ佐保姫の園へ参らむ       栞  春

経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年10月23日木曜日

2014年9月7日日曜日

【満尾】第五千句第三百韻『この道や』の巻


                      百韻『この道や』の巻   
                                                                                  2014.9.7〜10.14

発句  この道や行く人なしに秋の暮      芭蕉  秋
脇     森の奥より小牡鹿の声       野茨  秋  さおじか
第3  月影の茅舎にはかに輝いて       杜角  秋月
4     酒を土産に遠来の友        春蘭     みき
5   笊碁にて長考しても手は同じ      曙水
6     運を任せて引く阿弥陀籤      草栞
7   進級後初の席替へ盛り上がり       茨  春  
8     桜吹き入れ窓辺明るし       里代  春

9   四月馬鹿来賓祝辞次々と         水  春
10    ところえらばぬ居眠りもわざ     角       
11  ビル街の公園もこむ昼休み        蘭
12    今年の夏は晴れの少なし       茨  夏
13  狂言の舞台想はす蝸牛          栞  夏
14    てくてく句碑をめぐる鎌倉      角
15  切通抜けて日向に梅二輪         水  春  きりどおし ひなた
16    つなげばぬくし白ききみの掌     蘭  春恋
17  陽炎の身をひとすじに貫いて      真葛  春恋
18    ボーカロイドの歌姫の恋       代  恋
19  職人の技も終には見破られ        栞
20    忘れ花咲く聖堂の門         水  冬花
21  同窓会みな何かしら若づくり       茨
22    シェフの手元にしばし見惚るる    代
二オ
23  赤子抱くネイルアートにラメ光り     水
24    なびく幟の褪せし紺色        葛
25  名物のほうとう旨し甲州路       阿紗
26    落ち穂拾ひの人は何処に       栞  秋
27  やまもとに点る家の灯雁のこゑ      角  秋
28    子らの帰宅をせかすゆふ月      蘭  秋月
29  釣り堀によもや坊主はをらぬらん     茨
30    柳の下でする待ち惚け        水  春
31  空へ漕ぐ負けず嫌いの半仙戯       代  春
32    ひばりの名乗り耳鳴りのごと     角  春
33  行きずりのジャムセッションも興に入り  栞
34    無料のティッシュ受け取らぬ人    水
35  ともかくも買ひ出しに出る年の暮     蘭  冬
36    秘伝のたれで囲む鱈ちり       紗  冬
二ウ
37  パンドラの箱は今宵も閉ざされて     代
38    銀箔押しの抱一の櫛         水
39  芸術は眼とこころとの保養なり      茨
40    裸身眩き騎上のGODIVA       栞
41  貴婦人と呼ばれし樺に逢いにゆき     水
42    霧のヴェールにかすむみづうみ    角  秋
43  尾根に出て視界ひらけり秋の富士     蘭  秋
44    娘かたづき風の身に入む       茨  秋
45  望の月肩を寄せ合う道祖神        水  秋月
46    旅立つ前に外す表札         栞
47  みちのくに遊行詩人の跡追つて      蘭
48    蕎麦街道を吹きすさぶ東風      角  春
49  愛車駆り花の名所を見て回る       茨  春花
50    千社札買ふ春の夕暮         代  春
三オ
51  頃合を量りてそつと手をつなぎ      栞  恋
52    はまかぜ揺らす亜麻色の髪      蘭
53  名を馳せた陸サーファーも夢のあと    水     おか
54    孫に翻弄されてへとへと       角
55  就活の次は婚活春疾風          水  春
56    一段目だけ飾る雛壇         茨  春
57  納税期済まぬと他事は手に付かず     角  春
58    昼飯代はり二個の草餅        蘭  春
59  フランスに行きたき思ひ褪せぬまま    葛
60    マフラー巻いて通ふ名画座      栞  冬
61  そそくさと独りで済ます冬至粥      代  冬
62    視力あやしき目にも月冴ゆ      角  冬月
63  PCは2時間ごとに休むべし       茨
64    思わくはずれ今日の円高       水
三ウ
65  ケチ徹しハワイ旅行の旅費浮いて     蘭
66    人生はじめて食すスッポン      角
67  いつになく精気漲る夏の宵        栞  夏
68    仕立下ろしの浴衣嬉しき       代  夏
69  遠く聴く祭囃子に胸躍る         茨  夏
70    後家となりにし初恋のひと      角  恋
71  教科書に書いた相合い傘ばれて      水  恋
72    ピタゴラスでも解けぬ難題      葛
73  見上げても形わからぬ大宇宙       蘭
74    受賞の行方神のみぞ知る       栞
75  ねらふほどなかなか来ない本命よ     茨
76    嫦娥逃げゆく皆既月蝕        水  秋月
77  返杯を遠慮せぬ妻花灯籠         角  秋花
78    はららご飯に膝を崩して       葛  秋
名オ
79  出張の収支たいてい赤字なり       蘭
80    給湯室で淹れるブラック       茨
81  プレゼンは先手必勝リハーサル      代
82    弾む会話で決まる合コン       角
83  玉の輿ならよろこんで婿養子       茨
84    営業トーク職業病で         水
85  一族の多さ実感する法事         蘭
86    今ふた度の十三夜待つ        栞  秋月
87  触れもせでほろほろ落つる小紫      角  秋
88    細水指で風炉名残茶事        代  秋
89  松虫に足の痺れをからかはれ       水  秋
90    師匠めあてに小唄手習ひ       茨  恋
91  プロフィール写真内緒で壁紙に      栞  恋
92    ハートおねだりはまるツムツム    蘭
名ウ
93  禍をくぐり生きてるだけで儲けもん    角    か
94    それにつけてもはやき月日よ     茨
95  花粉症ひとより先に春を知り       角  春
96    君に留まりし蝶を羨む        水  春恋
97  畑を打つ嫁御はマキシワンピ着て     紗  春恋
98    命授かり心うららか         栞  春
99  ひま人と花の陣取り命じられ       蘭  春花
挙句    はや色に出るワンカップ酒      茨

経過は#jrenga
連歌懐紙版 PDF

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年7月9日水曜日

【満尾】第五千句第二百韻『炎昼の』の巻


                      百韻『炎昼の』の巻   
                                                                                  2014.7.9〜8.8


発句  炎昼の女体のふかさはかられず     楸邨  夏 
脇     しぐさもゆかし路地の打ち水    春蘭  夏
第三  いつきても飽きることなき古都の旅   野茨
4     杉玉みれば試飲三昧        杜角
5   はいはいと医者の忠告聞き流し      蘭
6     徹夜の読書もはや有明        茨  秋月
7   虫時雨おのづとそなふハーモニー     角  秋
8     運動会の迷子呼び出す       里代  秋

9   道ばたに鼻をくすぐる露店出て      蘭
10    かすみ立ち籠む梅林の里       茨  春
11  早々と雛をしまふも縁遠く       曙水  春
12    春眠さめて二度寝する日々     真葛  春
13  弁当を持たせキッスで送る主       角  恋
14    鬼の居ぬ間の個人レッスン     草栞  恋
15  サッカーのプロにするのが親の夢     茨 
16    千手観音汗し眺むる         代  夏
17  帰省子を責めるが如く鳴く杜鵑      蘭  夏  
18    水場にかかる細き夏月        葛  夏月
19  ゆふさればさわさわ風にさやぐ葦     角
20    散歩も犬で様になりたり       茨
21  まっ盛り心は花に浮き立ちて       蘭  春花
22    都踊にそぞろ繰り出し        栞  春
二表
23  恋はさが身は老いぬれどいまだ春     角  春恋
24    抱かれし日々波のごとくに      代  恋
25  戦争を知らぬ孫子は勇ましく       葛
26    行進曲はAKBで          水
27  人生は明日へ続く長い道         茨
28    苦があってこそ深きよろこび     蘭
29  頂きは視界さえぎるものもなし      角
30    自分撮りして呟くが趣味       水
31  一番の美女探し出す魔法にて       栞
32    林檎を齧る口も可愛く        代  秋
33  ござ敷いて秋の野遊びはしゃぐ子ら    茨  秋
34    千草の花を冠に編む         角  秋
35  ふるさとをふと思はする眉の月      蘭  秋月
36    嫂と云ふ気にかかる人        葛
二裏
37  道ならぬ恋の話に盛り上がる       代
38    懲りずうはきの虫のうごめく     茨
39  道具屋に蚊遣りの豚を値引かせて     水  夏
40    一服がてら茶屋で白玉        角  夏  
41  かまくらや梅雨の合間の空を鳶      蘭  夏
42    あるかなきかの薄物の縞       代
43  黒髪のみだれつくろふ後朝に       茨  恋
44    金釘流の文の恥づかし        葛  恋
45  真贋の鑑定めぐり論争す         栞
46    遺産相続無いなりにもめ       角
47  銀行の窓あかあかと年の暮        代  冬
48    月に誘はれつっかけで出る      蘭  冬月
49  唐橋のたもとに揺れる花万朶       栞  春花
50    ふらここに乗り天に近寄る      水  春
三表
51  少女らのほつれ毛なでて風光る      茨  春
52    若さは特権今を悔ひなく       角
53  熱弁も正論もみな呑みしヤジ       葛
54    澄まし顔にて呉越同舟        栞
55  離婚すらできずに家庭内別居       蘭
56    そぞろ身に染む須磨の秋風      代  秋
57  遥かなる都や月は同じくも        角  秋月
58    隣街から秋祭りの音         水  秋
59  清貧の膳には贅か菊膾          茨  秋
60    つい過ごしがち旧友との酒      蘭
61  長ばなし相槌打つて聞き流し       角
62    手術中のランプ見守る        水
63  キューを出す頃合い計る助監督      栞
64    いつしか異名アメフラシとや     茨
三裏
65  デートには小雨はむしろ好ましき     蘭  恋
66    月さまと呼ぶ声も朧に        代  恋春
67  睡魔きてあことねころぶ花むしろ     角  花春
68    そつと近づく雀の子居て       栞  春
69  神ほとけ人をいざなふ慈悲の道      茨
70    標本箱に並ぶ斑猫          水  夏  はんみょう
71  夏休み自由研究親がやり         蘭  夏
72    新旧不問ゴジラ対決         葛
73  非日常こそ日常のカンフル剤       角
74    BGMはハリーポッター       代
75  コンピュータ相手のチェスで苦戦する   栞
76    地道に歩む出世街道         水
77  報・連・相休まず遅れず働かず      茨
78    民族移動盆の月見て         代  月秋
名表
79  幾山河つまとこえきし夏の果       蘭  秋
80    声をかぎりにひぐらしのなく     角  秋
81  子規庵の大鳥籠も露に濡れ        栞  秋
82    ぬしなき庭を飾る鶏頭        茨  秋
83  おもひ断ちタンスの肥やし捨てにけり   角
84    修道院になどかあくがる       代
85  ははこひしうきぐもひとつゆくみそら   蘭
86    残りめしにておかかおにぎり     角 
87  勉強は自立のためと心得て        茨
88    窓の雪見て穴ごもりする       栞  冬
89  榾の火にじつとみいれば時忘れ      蘭  冬
90    今さらながら不倫小説        葛
91  十六夜の月やちまたのさんざめき     角  秋月
92    光悦垣に紅葉散り敷く        代  秋
名裏
93  露の身をあたら死闘に明け暮れて     茨  秋
94    岨の枯木に何を孤鴉なく       蘭    こあ
95  故郷の塒を後に三度笠          栞
96    どうやら嵐去りししののめ      角
97  太公望間隔たもち並びをり        茨
98    池の土手には土筆群ら立つ      蘭  春
99  城あとに花爛漫と咲き匂ひ        角  春花
挙句    見立てをかしき山の雪形       茨  春


※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年5月29日木曜日

夜の寝覚 末尾断簡発見される 翻刻トライ!




しらざりしやまぢの月をひとりみて
よになき身とや思ひいづらんとのみながめ
いりたまふに女三宮いとうつくしうもの
おもひしりおよすけ竹(?)つくははの女御の    
御ことおぼしいづるなめりおほどかにうちなが   
めいでてつゆけくなる御袖の気宮もいみ
じくらうたげなるにかくこそはたれも
おぼしいつしぬと思ひやるにさへいとどながめ
いづるにつけてもなつかしくうちかたらひ
かかる人もおはせざらましかはとおもふにも


およすけ   大人びる、老成する。
なめり    であるようだ。
おほどか   おおらかだ、おっとりしている。  
らうたげなる かわいらしい、いじらしい。

2014年1月7日火曜日

【満尾】第五千句第一百韻『松すぎの』の巻


                      百韻『松すぎの』の巻   
                                                                                  2014.1.7〜2.16

発句  松すぎのはやくも今日といふ日かな   万太郎 新年  
脇     ふくら雀の集ふ陽だまり      春蘭  冬
第3  待合の席和みたる大茶会        草栞
4     やゝ酒気帯びて口もなめらか    野茨
5   話すたび逃がした魚成長し       真葛
6     にはかに夕霧たち籠める川      蘭  秋  せきむ
7   月見んと駿馬を駆りて目指す丘      栞  秋月
8     世に打つて出る秋は今ぞや      茨  秋  とき

9   呟いてあっと言ふ間の流行語       葛
10    相変らずの御用新聞         栞
11  支持率の世論調査のうたがはし      蘭
12    嫌よ嫌よの空気読めずに      曙水
13  押せば引く引けば押し来る女波      茨  恋
13  自らの台詞に酔ひて愛捧ぐ        栞  恋  
14    目瞑りてさすルージュ完璧      葛  恋
15  プレゼンのイメリハ済ませ不安消え    蘭
16    営業ゑがお板につく頃        水
17  村おこし都市の祭りと交流し       蘭  夏
18    B級グルメ帰省土産に        栞  夏
19  駅ナカはコンビニ超えてモール化す    茨
20    目にまぶしきや春のよそほひ     蘭  春
21  いつの世も立ち去り難き花のもと    ね子  春花
22    蓬摘みつつしのぶ亡き人       茨  春
二オ
23  悪童の灸すえられし語り草        葛
24    詮なきことに波瀾万丈        栞
25  引退後即出版の手際良さ         水
26    次から次とアイドルユニット     茨
27  流行は追はず知らぬ間流されて      蘭
28    あなたに染まれ選ぶ白無垢      水  恋
29  ふたごころ隠し切れずになみだ色     葛  恋
30    いかにいくべき浮舟の身は      茨
31  清教徒海原を越え大陸へ         栞
32    家族は勇気出づる源泉        蘭
33  七五三母が一番写り良く         水
34    から風吹けば雲は離れて       栞  冬
35  ひとり寝の布団に差せる月の影      葛  冬月
36    くしゃみをしてももどる静寂     茨  冬
二ウ
37 「やっほー」の「ほー」の形の口のまま   ね
38    ムンクに会いに渡るこの橋      水
39  人形の家捨て去りし女あり        栞
40    だれも人生書けば小説        茨
41  忘却は過去の美化には都合よく      蘭
42    チーズと云ひてVサインする     葛
43  同窓会ビンゴゲームで大当たり      茨
44    注目される括弧旧姓         栞
45  マンネリに飽きて手書きで年賀状     蘭  新年
46    ヘタウマ御免豚に似た馬       葛
47  新妻の手料理すべて創作で        水
48    蓙に陣取る丘の若芝         茨  春
49  花開く時を謳歌の果てもなし       栞  春花
50    捲土重来期して春眠         葛  春
三オ
51  世を忍ぶ仮の姿は陶芸家         茨
52    茅葺き民家で手打ちそば店      蘭
53  わが夢に妻おいそれと乗つて来ず     茨
54    リケジョにレキジョ多忙女子増え   水
55  デートでは話題もネットで下調べ     蘭  恋
56    ハネムーンの地に思はざる危機    葛  恋
57  襲撃の疑惑は永遠に闇の中        栞
58    山葵ひそりと隠し味にて       水  春
59  だめ元で手はみな試す花粉症       茨  春
60    かすめる月や昼のねむたさ      蘭  春月
61  大戸より入りし物盗り誰も見ず      葛
62    拍子抜けするビフォア・アフター   栞
63  原作を変へて感動なき映画        茨
64    柳の下に二匹めは居ず        水  夏
三ウ
65  端居して財布重たき客を待つ       ね  夏恋
66    汗さえ見せぬ白きうなじに      水  夏恋
67  紫のゆかり想ひて涙する         栞  恋
68    古典熟読寿大学           茨
69  かはらない若さの秘訣好奇心       蘭
70    血気盛んな相棒の範         栞
71  キャッチャーのサイン通りに球しずみ   水  夏
72    無欲が招く巨額契約         葛
73  リニア線過疎地ばかりを縫つて敷き    茨
74    障害物越ゑスノーボーダー      水  冬
75  氷上で聴き初む曲に翳ありて       栞  冬
76    ラジオかけつつ日永釣する      蘭  春
77  みづどりの澪をひきゆく花筏       茨  春花
78    あの世へ向かふ遍路道なり      ね  春
ナオ
79  あん住を打ち破り出て草まくら      蘭
80    お任せツアーは実にお気楽      茨
81  懐メロについ釣り込まれ唱和して     蘭
82    思はず腕を組んで睨まれ       栞
83  心せよここはウォールストリート     葛
84    山出しなれば宵越しの銭       水
85  国産の木材の良さ見直され        茨
86   「手に職つけろ」親の口癖       蘭
87  代々の田に水張り終ゑて映る月      水  夏月
88    蒲の穂ゆれてサヨナラを言ふ     ね  夏
89  ハンカチをそつと渡して汽車に乗り    栞  夏恋
90    おぼつかなしや末の変心       茨  恋
91  余計なる選挙昨今はやりをり       蘭
92    威信かけるも受くる冷笑       栞
ナウ
93  野良犬が街の通りにたむろして      茨
94    育ちの良さは隠しおおせず      水
95  ゴミ出しに背筋のばして令夫人      蘭
96    遠く白富士風光る坂         茨  春
97  入日差す愛宕の山に奴凧         栞  春
98    故郷おもへば鐘朧なる        蘭  春
99  身を任し川面たゆたふ花見舟       茨  春花
挙句    畔の柳新芽美し           蘭  春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2013年11月7日木曜日

【満尾】第四千句第十百韻『つくづくと』の巻


                      百韻『つくづくと』の巻   
                                                                                  2013.11.7〜12.12

発句  つくづくともののはじまる火燵かな   鬼貫 冬
脇     時雨るるさきに街へ買出し     春蘭 冬
第3  山茶花の垣を曲れば散歩犬       草栞 冬
4     馴染みとなりて掛けるひと声    真葛
5   行列が行列を呼ぶラーメン屋      野茨
6     つるべ落しに迫る夕闇        栞 秋
7   月と酒どつちと言へぬ友にして      蘭 秋月
8     霧の向かうに独り身の家      ね子 秋

9   こりもせず一人相撲の片おもひ      茨 恋
10    消えかかる炎に反故の恋文      葛 恋
11  受験より大切なもの今はなし       ね 
12    スマホ世代も占いが好き      曙水
13  LINEして親子関係良好に       茨
14    げにむつかしき以心伝心       栞
15  噂して七十五日里の村          葛
16    風吹きやんでのぼる炊煙       蘭
17  ちり鍋を囲む奉行の睨み合ひ       栞 冬
18    勝ちし力士の肌に湯気立ち      水 冬
19  満場は総立ち拍手なりやまず       茨
20    記憶は春の雨の場所取り       ね 春
21  川沿ひの花のトンネル往き戻り      蘭 春花
22    雲雀囀るホワイトハウス       栞 春
二オ
23  とりにくさのりこえ有休消化して     茨
24    南の島でゴーギャンの真似      葛
25  探すなよこころの中にユートピア     茨
26    吾児の寝顔にゆるむ口もと      蘭
27  朝は妻昼は上司にどやされて       ね
28    満月の夜の変身願望         栞 秋月
29  長き夜に中島みゆき独り聴き       水 秋
30    山のやうなるピーナツの殻      葛 秋
31  老いて食細いながらも秋渇        蘭 秋
32    はかりに乗つて一喜一憂       茨
33  釣り宿に更新記録の魚拓貼る       水
34    目を見張ること多き旅先       ね
35  レートなどお構ひなしに爆買ひす     葛
36    おもへば遠しバブル時代よ      茨
二ウ
37  行く川の流れは絶えず浮葉舟       栞 夏
38    決められぬままふたまたの恋     蘭 恋
39  涙ぐみ悲劇の女演じ切る         葛 恋
40    輝く星となりし魂          栞(恋)
41  なきひとをふと思ひ出すゆふの鐘     茨
42    親の苦労を親となり知る       蘭
43  放蕩の末の棲処の有難き         栞
44    ことこと煮立つ芋粥の鍋       葛 秋
45  すさまじき山家のそらに澄める月     茨 秋月
46    庭の浅茅にすだく蟋蟀        蘭 秋
47  来客のなき日曜はワイン風呂       ね
48    ヨガで瞑想うららかな午後      栞 春
49  ひらりひら花びらひらりひらひらり    茨 春花
50    池に残りし鴨の水尾曳く       蘭 春
三オ
51  そぞろなり都踊りの近づきて       葛 春
52    本番備へ着付け練習         茨
53  撮影の合間に食べるカツサンド      栞
54    NGだけでスペシャル作り      水
54    メイク早いも売れっ子の技      水
55  呼び物は伊達の十役早変はり       蘭
56    一期一会の一世一代         栞
57  わが庵で茶会はじめて主催して      茨
58    すわ引っ越しと騒ぐ店子ら      水
59  恬として噂のぬしは頬被り        葛
60    邪魔されやすき色恋の道       茨 恋
61  野茨を手折りて気づく愛の不義      栞 夏恋
62    ゲーテとギョーテ和解せしとや    葛
63  悩むとも外にいでよと春の月       水 春月
64    田は水たたへ蛙鳴き初む       蘭 春
三ウ
65  名にし負ふ高嶺は雪や里桜        茨 春
66    世界遺産に挑む人びと        ね
67  とりあへずゆるキャラつくる町おこし   蘭
68    大志抱かずめざすB級        水
69  ながらへば埴生の宿もまた楽し      栞
70    ハモニカの音すこし上達       葛
71  一列に並んで歩く七五三         ね 冬
72    カルガモ親子フラッシュに慣れ    水 夏
73  緑陰がオアシスつくるオフィス街     茨 夏
74    手つき見事にワープロを打つ     葛
75  自分史をものせん履歴書まづ書いて    蘭
76    夜明け前より霞立ちたる       栞 春
77  三輪山の裾野をたどり花遍路       水 春花
78    八十のちまたに萌える若草      茨 春  やそ
ナオ
79  ロリータと名付く娘の稚けなさ      葛
80    あひあひ傘に描かれ赤らむ      蘭 恋
81  濡れ事を隠す暇なく広まりて       栞 恋
82    秘密保護法ねがふ面面        葛
83  せいじかのきょうみ利権と保身のみ    茨
84    庶民はいつも質素倹約        蘭
85  新聞は折込チラシがあんこにて      茨
86    食傷気味の父の説教         ね
87  なんやかや実家に帰り愚痴を言ひ     蘭
88    ふらりと出れば肌寒き野良      茨 秋
89  さやけくも木の間にのぞく十三夜     蘭 秋月
90    ひとり筆持ち染みる虫の音      水 秋
91  夢に見た文学賞は夢のまま        葛
92    遥けき希み神のまにまに       栞 
ナウ
93  堕ちてみて知ることもあり恋の淵     水 恋
94    またぞろもたぐ浮気ごころよ     茨 恋
95  会社ってそとみなかみは違ふもの     蘭
96    偽りのある是は早く朽ち       蛉
97  誤表示の白状をさまる気配なし      茨
98    やけに羽音の耳につく虻       蘭 春
99  喧噪をよそに天園花盛り         栞 春花
挙句    水平線の霞むわだつみ        茨 春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2013年9月7日土曜日

【満尾】第四千句第九百韻『蕎麦はまだ』の巻


                      百韻『蕎麦はまだ』の巻   
                                                                                  2013.9.7〜10.21

発句  蕎麦はまだ花でもてなす山路かな    芭蕉  秋
脇     峡の朝霧かすむ富士ヶ嶺      春蘭  秋
第3  ありあけに浅きゆめからふと覚めて   野茨  秋月
4     重陽の菊まずは一献        曙水  秋
5   五輪書を紐解き初心忘れまじ      草栞
6     還暦を機に飛び回る妻        蘭
7   追ひかける亭主の財布羽根生えて    真葛
8     ぴくりと動く梟の耳         栞  冬

9   浮世床うはさ話に花が咲く        茨
10    つけっぱなしのテレビちらちら    蘭
11  灰燼に帰せるタワーの残像か       栞
12    西に東に奔る大国          葛
13  二十一世紀もすでに十余年        蘭
14    みんなうつむきスマホいぢくる    茨
15  通学の憧れ王子やや寝癖         水
16    想ひを込めて落とすハンカチ     栞  夏恋
17  過去の恋また蘇るクラス会        茨  恋
18    茶々入れられて縒れしスピーチ    蘭
19  花見とて上司が居れば仕事にて      茨  春花
20    抜き打ち監査終へる朧夜       栞  春
21  山独活を芥子きかせた酢味噌和へ     蘭  春
22    長途の墓参も食の楽しみ       茨
二オ
23  海上の都に眠る作曲家          栞
24    四季をりをりに魅せる趣き      茨
25  遠距離の逢瀬を京で重ね来て       蘭  恋
26    失楽園の露と散りぬる        栞  秋恋
27  夢見じと酔はじと知りて濁り酒      葛  秋
28    小町も勝てぬ老いの秋風       茨  秋
29  幾千年かはらず光る望の月        蘭  秋月
30    孵化する命そつと育む        栞
31  歩数計数字かせぎに回る池        茨
32    画架立ち並ぶ定番の場所       蘭
33  手離せぬ懐炉たよりに待つ日の出     栞  冬
34    白らんだ息のかき消ゆる森      蛉  冬
35  緋袴にバイトの巫女もまざるらん     茨
36    鈴の音高く齢寿ぎ          栞
二ウ    
37  おめかしの馬コ引く馬子晴れがまし    蘭  夏
38    古本で見るパリ・コレの記事     葛
39  チョコレート色した染みは新しき     栞
40    旦那ゐぬ間のひるのママ会      茨
41  円満は互いに干渉しないこと       蘭
42    かたりかけそな仏像の笑み      茨
43  行き着かば希み叶ふやガンダーラ     栞
44    苦心の歌は舌足らずにて       葛
45  うぐひすのぐぜりをかしき竹のやぶ    茨  春
46    師の温情で卒業となり        栞  春
47  雲を得て伏龍天に昇るとや        蘭  春
48    おぼろ月にも影の仄見ゆ       葛  春月
49  石割の花の命の長からん         栞  春花
50    老眼鏡をふたつ重ねて        葛
三オ
51  積読を一念発起でよみ崩し        茨
52    資金不如意の休暇いただき      蘭
53  任せ切る安楽を知るバスツアー      茨
54    稲穂色づく豊穣のとき        蘭  秋
55  待宵に団子供へて縁を拭く        栞  秋月
56    少し派手目の秋袷着て        葛  秋
57  審美眼鍛へに上野の森へゆく       茨
58    ザックひとつでカスバ界隈      葛
59  わすれえぬきみのおもかげみにそへて   蘭  恋
60    熱きくちづけ分つ風花        栞  冬恋
61  ひなびたる湯宿埋もれん雪あかり     茨  冬
62    トンネル長しリハビリの日々     葛
63  介護ロボせめて相槌打てたなら      栞
64    生を佛にあづけ老い楽        蘭
三ウ
65  とりあへずなんでもかじる趣味三昧    茨
66    小節きかせてアリア熱唱       葛
67  当落の線上辺りひしめきて        栞
68    総選挙とはオタク商法        蘭
69  しかしまぁなべて日本は平和かも     茨
70    もうボケたかと連れの突っ込み    栞
71  阿と吽の区別つかぬもご愛嬌       葛
72    七福めぐり祈る開運         茨  新年
73  今年こそこころ入れ替へ肉断つて     蘭
74    骨の密度はいかにとやせん      栞
75  鱧捌く修業も月の法善寺         葛  夏月
76    待つ身にすれば永き短夜       茨  夏恋
77  ふくらみし花の蕾の初々し        蘭  春花
78    稚児のうぶ毛もそよぐはるかぜ    茨  春
ナオ
79  若駒の眼差しいつか荒らかに       葛  春
80    所領安堵の報せ巡りて        栞
81  ころころとブレていくのも処世術     茨
82    深く潜行大同団結          蘭
83  伝はりし皿鉢料理に舌鼓         栞
84    洗濯するは全自動にて        葛
85  古き良き昭和の不便さなつかしく     茨
86    掻いた落葉で作る焼き芋       蘭  冬
86    秋刀魚のけむりのぼる七輪      蘭  秋
87  みちのくの海はや秋の色深み       葛  秋
88    島影縫つて寄する月光        栞  秋月
89  野分過ぐ空気澄みきり夕あかね      茨  秋
90    淹れたて珈琲ほっと一息       蘭
91  ジョコンダのほほゑみの謎誰も触れず   葛
92    学生気分でオープン・カレッジ    茨
ナウ
93  何となく見覚えのある迷い猫       栞
94    下町情緒もとめ谷根千        蘭
95  買ひ喰ひで腹きつくなり昼は抜き     茨
96    嗚呼ややこしや8パーセント     葛
97  たまるのは嵩張る小銭ばかりなり     茨
98    近場の花を愛でてほろ酔ひ      蘭  春花
99  郎女の佳き日を前に暮遅し        栞  春
挙句    夕風かすか揺れるぶらんこ      葛  春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用は八ヶ岳山麓清里から~杏荘便りさん

離檀と観音像

離檀した。更地にする費用として請求されるまま40万円を払った。墓を開けてみると骨はなく、首の折れた観音像があった。父が創ったものだろう。気持ち悪いと家族は言うが修復し床の間の茶道具の箱に収めた。

※ 水瓶(すいびょう)が徳利のように見えるので俗称酒買い観音と呼ばれるようだ。水瓶は如意瓶とも言い、仏の命の水/慈悲の聖水/汚れを払う霊水が入っていると言われる。

2013年6月3日月曜日

【満尾】第四千句第八百韻『押しあひて』の巻


                      百韻『押しあひて』の巻   
                                                                                  2013.6.3 〜 7.8

発句  押しあひて生つてゐるなる実梅かな   青邨  夏
脇     しとど青葉をつたふ五月雨     春蘭  夏
第三  家二軒由緒有りげに並びゐて      真葛
4     通学の子に仔犬離れず       曙水
5   お気に入り散歩コースは苑池まで     蘭
6     少し急がん秋の夕暮れ       ね子  秋
7   月光に色濃くなりし蒼い影       草栞  秋月
8     仁王立ちする野良の藁塚       蘭  秋

9   西へ行く臨時列車の客となる       ね
10    システム手帳チェックこまめに    葛
11  コーヒーで時間調整角のカフェ      蘭
12    思ひ乱れて「来る来ない来る」    ね  恋
13  夏薊思わず舐むる君の指        風牙  夏恋
14    高嶺を越えて雲の峰立つ       蘭  夏
15  ついすすりやはり噎せたり心太     野茨  夏
16    節介過ぎて煙たがられる       葛
17  鼻つまみ厄介者と扇がれて        蛉
18    所変はれば屑もアートに       栞
19  ひび割れも窪みもありて望の月      水  秋月
20    秋の夜空に花火儚し         ね  秋花
21  一人とて淋しからずや獺祭忌       栞  秋
22    コンビニで買ふ珍味いろいろ     葛   
二オ
23  嘘をつきコンパの誘ひ断つて       茨
24    首つたけなの年下の彼        栞  恋
25  アイドルが引退をせず卒業す       水
26    メディアに踊らされる民草      蘭
27  今でしょの株価は今日も乱高下      葛
28    明日への希望持つて生くべき     茨
29  健診で精密検査勧められ         ね
30    凩吹けば疼く古傷          栞  冬
31  なにもなき庭に趣が添ふ枯尾花      蘭  冬
32    壁の蓑笠ゆかし落柿舎        茨
33  熟年の婚活サイト覗き見る        ね
34    寝起きのまんまぬしテレビ漬け    蘭
35  朝ドラのヒロインともに泣き笑ひ     栞
36    喜怒哀楽が惚け防止なり       茨
二ウ
37  拾ひ来し子猫の世話に明け暮れて     蘭
38    野火の煙に季節知らさる       ね  春
39  残る雪駒形描く山の膚          茨  春
40    水も温んでどぜう顔出し       栞  春
41  雲ひとつない大空を鳶の笛        蘭
42    寝転びをれば浮かぶ楽想       葛
43  東軍に馳せ参じたる将もあり       栞
44    クラブのジャック切り札にして    水
45  カジノにて美女の気を引く技披露     茨  恋
46    澄ましカクテル作るバーテン     蘭
47  何ごとも甘さよろこぶ世を嘆き      葛
48    月に吼えれば朧なる顔        茨  春月
49  花よりと口遊みつつ松の陰        葛  春花
50    遍路の度に事件解決         栞  春
三オ
51  フェミニスト過ぎて未だに独り者     蘭
52    鏡に向かひおかめひょっとこ     葛
53  やれ茶会なんやかんやと妻出掛け     茨
54    二時間かけて探す爪切り       ね
55  徘徊の道に迷へば夜も更けて       栞
56    タクシー代はりに使ふパトカー    蘭
57  お隣の学歴偏重すさまじく        茨
58    名門塾に通ふ幼な児         蘭
59  投資とは資金を投げることなのか     茨
60    堂堂めぐり嫌気いや増す       葛
61  追うほどに葛きり逃げる箸の先      水  夏 
62    お忍びデート涼しげな月       栞  夏月恋
63  パパの恋ママに内緒にしてあげる     ね  恋
64    ただより高きものは無しとぞ     葛
三ウ
65  延命てふ清水はるばる汲みにゆく     蘭
66    定年待ってるキャンピングカー    水
67  憧れの風のガーデン眼の前に       栞
68    地に足着かぬ頼りなさあり      葛
69  襲名は興行を打つ名目よ         茨
70    慢心禁物日々の精進         蘭
71  後輩を育て仕事をぶん取られ       茨
72    単身赴任に惑ふ四十         蘭
73  音に聞く須磨の浦波月に映え       葛  秋月
74    芒の蔭に消ゆる落武者        栞  秋
75  大文字幾千万の魂鎮め          蘭  秋  
76    冷酒効いて蓙に大の字        茨     
77  ひさかたの天より受くる花万朶      栞  春花
78    みやこの跡はかすみ敷く野辺     蘭  春
ナオ
79  口あいて探せど見えぬ揚雲雀       茨  春
80    メール通話はすべて筒抜け      ね
81  情弱にスマホ機能は持ち腐れ       蘭
82    第一志望書くだけは書き       水
83  狭き門タカラジェンヌの夢遠く      栞
84    思ひ切る都度進む人生        蘭
85  出会ひざま0.1秒で恋をして       茨  恋
86    一万ボルトに痺れ悩殺        栞  恋
87  ライブ後のカラオケやたらハイテンション 蘭
88    DJポリスお手柄となる       水
89  ユーモアと機知は話の潤滑油       茨
90    一発芸に寿限無暗唱         蘭
91  後光差す阿弥陀如来を拝みをり      栞
92    沈む日輪追ふや月の出        茨  秋月
ナウ
93  背なの児も静かになりぬ夕紅葉      蘭  秋
94    刈田もやがて水を湛へん       ね  秋
95  秋霖をうらめし顔の捨て案山子      茨  秋
96    変身願望叶ふ日はいつ?       栞
97  みずみずと薄翠に染む蝉生るる      水  夏 あるる
98    風雅は四時を友としてこそ      蘭
99  黒髪にちらちらかゝる花の雪       茨  春花
挙句    毛氈延べる土手の若草        蘭  春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

2013年5月8日水曜日

【満尾】第四千句第七百韻『すつと出て』の巻



                      百韻『すつと出て』の巻   
                                                                                  2013.5.8〜6.1

発句  すつと出て莟見ゆるや杜若       子規  夏
脇     片脚立ちて眠る青さぎ       草栞  夏
第三  日ざかりを鉄橋鳴らし汽車がゆく    春蘭  夏
4     一斉に鳴るシャッターの音     風牙
5   はきはきと夢語る子の頼もしさ     真葛
6     枕元には宇宙ロケット        牙
7   ジャズ聴けば飛び行けさうな望の月    栞  秋月
8     新酒かたむけ想ひいろいろ      葛  秋 

9   歌姫の噂は消ゑて秋深し        曙水  秋
10    肌寒にひと恋しかるらむ       蘭  秋恋
11  口下手はジンの濃いめにギムレット    牙  恋
12    待ち合わせには時計はずして     水
12    背中で語る昭和ヒトケタ      ね子
13  こりもせず妻の買ひ物つき合ひぬ     蘭    両句に
14    支離滅裂を斬新と褒め        葛
15  詠み人の正体実はプログラム       栞
16    親が結局こなす宿題         蘭
17  老いの目に矯めつ眇めつ凍てる月     葛  冬月
18    ぎしりぎしりと米を研ぐ音      水
19  田芹採り土筆を摘みて節約す       ね  春
20    高嶺は残る雪に際立つ        蘭  春
21  淡墨のごとく咲きにし花も散り      栞  春花
22    また来ん春とつぶやきてみる     葛
二オ
23  南仏風英国風と分譲地          水
24    懐乏し夢のあるとき         ね
25  平凡に生きてゐられるありがたさ     蘭
26    ひなたぼつこの猫の同胞       栞
26    ご飯炊けたの声に目覚める      牙
27  行く先はその日の気分旅衣        葛    両句に
28    発句でまづは亭主持ち上げ      蘭
29  一巻の終はりはいつも春の宵       ね  春恋
30    二人しとねに望む淡月        蘭  春月恋
31  菜の花も添へてオムレツふわふわに    葛  春
32    クチコミだけで伸びる行列      栞
33  予報ではことしの梅雨は長いとか     蘭  夏
34    はやりの服を美容師に聞く      水
35  カリスマに和すは易らぬ人の性      栞
36    選挙勝つには世論誘導        蘭
二ウ
37  若者よスマホを捨てよテレビ見よ     葛
38    俗事にうとく直に四十        蘭
39  室咲きの鉢に水やる塾講師        牙  冬
40    連獅子の夢果たし感慨        葛
41  三代目てて親よりも爺さん似       蘭
42    秘伝のたれの中身聞くまい      水
43  風に乗る匂ひ嗅ぎ分け秋渇        栞  秋
44    家路をせかす釣瓶落しよ       蘭  秋
45  今日の月誰かが住んでゐる気配      ね  秋月
46    憂さ晴らしする相手探して      栞
47  目指すのは世界遺産と山ガール      葛
48    背を追いかける息の切なさ      水
49  でおくれて樹下一面の花むしろ      蘭  春花
50    嵯峨念仏の舞台賑ふ         栞  春
三オ
51  風船に迷子やうやく泣きやみて      葛  春
52    日比谷公園昼寝天国         水  夏
53  新緑のまばゆし人もころもがへ      蘭  夏
54    見初めしよりもなほ麗しく      栞  恋
55  差し向かうプラットホームで手を振りて  水  恋
56    一期一会は旅の醍醐味        蘭
57  忘れゐし栞はらりと文庫本        葛
58    押し花造り姉に教わる        水
59  リタイアー正直ひまを持て余し      蘭
60    弱小チームならばレギュラー     牙
61  四股を踏む姿似合ふとおだてられ     栞
61  月影を相手に素振り百二百        蘭  秋月
62    腹一杯の茸飯喰ふ          栞  秋  両句に
63  爽涼に犬の散歩の距離延ばし       蘭  秋
64    手綱捌きはあなた任せで       葛
三ウ
65  何時の間に銀婚式も通り過ぎ       ね
66    へそくり投資ネット・トレード    蘭
67  喫煙所スマホ片手の美人秘書       牙
68    ミニスカートに動悸速まる      ね  恋
69  魔が差して嘆きの天使堕ち行けり     栞  恋
70    証拠写真は見つからぬまま      葛
71  知り合いは誰にもあたらぬ裁判員     水
72    初神籤引き末吉と出る        栞  新年
73  髪上げの晴れ着のひとを品定め      蘭  
74    辛口通し世間狭める         葛
75  花曇好みの酒は独り飲む         ね  春花
76    春の叙勲に並ぶ碁敵         水  春
77  縁側に広げし紙面みだす東風       蘭  春
78    ロイド眼鏡の行方訊ねる       牙
名オ
79  鼻濁音南部訛りのわざとめき       葛
80    ともの帰省に乗じ借るやど      蘭  夏
81  屋根裏のアパート照らす月涼し      栞  夏月
82    カルチェラタンのカフェで読書を   水
83  ツアーではフリータイムも魅力にて    蘭
84    時間差で出る駅の改札        ね
85  親どうし犬猿ゆゑに忍ぶ恋        蘭  恋
86    心中隠し告げる道行         栞  恋
87  飛びながら叱咤一声ほとゝぎす      蘭  夏
88    さみだれ縫つてめぐる鎌倉     野茨  夏
89  スタンプを集めて早くゴールへと     栞
90    カラコロ下駄のひゞく湯治場     蘭
91  おまけよとコロッケ一個加へられ     葛
92    無駄かも知れずトクホ飲料      水
名ウ
93  かそけくも生き永らへし冬の蝶      栞  冬
94    きのふの鍋に具を足して鍋      蘭  冬
95  書きさしの論文猶もまとまらず      葛
96    猫なで声で餌を催促         水
97  歌舞伎みて夫婦に会話もどる夕      茨
98    ちょろぎの酸味優しさ募り      蛉
99  てのひらに散れる花片うけとめて     蘭  春花
挙句    囀る鳥の仲間入りせん        葛  春

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

2013年4月15日月曜日

『貞享式海印録』ー 正風復古の願ひを起して同じ流れに遊ばゝや


幕末に原田曲齋は芭蕉在世時の蕉門の式目作法を分析定義した。本書は正風の俳諧師を自認する人のための座右の書/虎の巻である。#jrenga 連歌 俳諧 連句   電子版が国立国会図書館の近代デジタルライブラリにアップされている。
所収:俳論作法集 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/39  
書籍は日本の古本屋  http://www.kosho.or.jp/servlet/bookselect.Kihon で俳論作法集を検索すれば数冊ヒットする。

電子版『貞享式海印録』を活用できるように目次をURLリンク化した。

       頁 コマ番号      画像のURL          
貞享式海印録  56 39 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/39  
目録      58 40 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/40 
一の巻
 発句     72 47 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/47   
 脇 身柄の論 74 48 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/48  
 第三の節  119 70 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/70  
 三物    136 79 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/79   
 表物    138 80 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/80  
二の巻
 去嫌惣論  141 81 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/81 
 表の事   143 82 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/82   
 四句目   149 85 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/85 
 裡移り   150 86 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/86 
 匂花挙句  151 86 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/86 
 奉納    159 90 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/90 
 夢想    163 92 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/92 
 追善    165 93 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/93 
 人倫と噂の弁172 97 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/97 
 支体    195 108 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/108 
 病     199 110 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/110 
 述懐    200 111 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/111 
 山類    202 112 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/112 
 水辺    204 113 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/113 
 雑場    207 114 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/114 
 居所    212 117 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/117 
三の巻
 恋     217 119 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/119 
 旅     236 129 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/129 
 名所    237 129 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/129 
 神釈無常  242 132 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/132 
 乾坤門   252 137 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/137 
 時分    263 142 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/142 
 夜分    266 144 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/144 
 時節    267 144 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/144 
 四季    270 146 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/146 
 雑     285 153 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/153 
四の巻
 月     294 158 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/158 
 素秋    322 172 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/172 
 日     326 174 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/174 
 星     330 176 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/176 
 花     330 176 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/176 
 植物    350 186 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/186 
 生類    358 190 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/190 
五の巻
 填字    365 193 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/193 
 別吟    367 194 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/194 
 留字    369 195 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/195 
 辞てには  381 201 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/201 
 体言用言  395 208 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/208 
六の巻
 火体    457 239 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/239 
 色立    459 240 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/240 
 畳付    460 241 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/241 
 一字一点  463 242 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/242 
 准付    467 244 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/244 
 軍事地獄  470 246 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/246 
 死活    475 248 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/248 
 一句立   477 249 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/249 
 両体用   481 251 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/251 
 輪廻    483 252 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/252 
 内外    485 253 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/253 
 禁物並変格 487 254 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/254


参考:佐々醒雪の解題

 全編芭蕉の伝書といふ貞享式、一名二十五条を根拠として、許多の俳諧に例証を求め、蕉門俳諧の式目を帰納的に論断せんとしたるものなり。 

 かの二十五条が芭蕉より其角、去来に伝り、去来より支考に伝りたりといひ、又は支考の偽作なりといふ、その当否は今必しも定むるを要せず。 

 曲斎は芭蕉の出席せる俳諧の巻々を悉く調査し、その足らざるものを、直門の高足等が俳諧によって補ひて、実例を根拠としたる通則を発見し、これを二十五条及び貞徳風と比較したるものなれば、蕉門の式目としては、既に疑念を挿み難き断案を下したものといふべし。  

 引用せる俳書数百部、芭蕉とその高弟との著は成し得る限り渉猟せるものにして、天明期以前の俳諧の形式は殆どここに尽きたりといふべし。

2013年4月8日月曜日

【満尾】第四千句第六百韻『若草や』の巻



                      百韻『若草や』の巻   
                                                                                2013.4.8〜5.5

発句  若草や文庫で読みし資本論       風牙  春
脇     げんげ田かへす耕耘機の音     春蘭  春 
第3  春疾風聟取りの村華やぎて       曙水  春
4     日舞の稽古手取り足取り      草栞
5   顔に似ぬ厳しさが売り評判に      真葛
6     無垢の一枚板カウンター       牙
7   頬杖で眺むる今日の月明し       ね子  秋月
8     添い臥の稚児包む虫の音       水  秋  そいぶし

9   鬼の子と言はれ父恋ふ健気さよ      葛  秋
9   つりあはぬちぎりはかなくそでのつゆ   蘭  秋恋
10    面影慕ひ干せる中汲         栞  秋恋 両句に
11  長旅を終えて見下ろす滑走路       牙
12    リノリウムさへ匂ひ懐かし      蛉
13  若作りしてゆく孫の参観日        蘭
14    フォークダンスの足がよろける    葛
15  打ち上げはキャンプ・ファイアー缶ビール 蘭  夏
16    祭終ればむら冬支度         水  秋
17  最果ての海峡越えて鶴渡り        栞  秋
18    孤独身にしむ教室の窓        ね  秋
19  彫像の遠き眼差し月浴びて        葛  秋月
20    乙女らまとう春色の服        水  春
21  枝々に小鳥さへづる花大樹        蘭  春花
22    ランドマークの鐘は霞めり      葛  春
二オ
23  ツイートもメールも返信待ちの僕     水  恋
24    予約の取れぬ店で決戦        牙  恋
25  あかつきに羊羹めあての列のびて     蘭
26    ネズミいつしか寺に住みつく     葛
27  鍵つ子で街を彷徨ふローティーン     ね
28    亡き母想ふコゼットのごと      栞
29  成長の糧と不幸を乗り越えん       蘭
30    さざ波立てば揺れる満月       水  秋月
31  川霧のはれて顕はる舫い船        葛  秋
32    木犀薫る隠れ処の径         栞  秋
33  密造酒蔓延る街は風強し         牙     はびこる
34    ゴミに群がるからす艶よき      蘭
35  ばっさりと黒髪切るも二十の子      葛     はたち
36   「時分の花よ」乙女心は        水
二ウ
37  幽玄の風姿とどめよ今しばし       栞
38    烏賊に見立ててアロエベラ切る    牙
39  万能といふ触れ込みに騙されて      ね
40    うちの文化は包丁と鍋        水
41  母の日や筍めしの薄き味         蘭  夏
42    青嵐吹きて木々のざわめき      栞  夏
43  隣国に戦さ間近の噂あり         葛
44    スマホ出す度相場気になる      牙
45  鑑定は銀月錆びた大屏風         水  秋月
46    相続協議冷ややかに過ぐ       蘭  秋
47  藷掘りの続く道程一時間         牙  秋
48    二人で過ぐすときは短かく      ね  恋
49  めぐり逢ひて花の命を惜しみけり     栞  春花恋
50    山菜採りに入る奥山         蘭  春
三オ
51  穴を出て熊は行く手を見失ひ       葛  春
52    ダンプばかりとよくすれ違う     牙
53  立て看は頭を下げて「工事中」      水
54    忘れた頃に余震頻発         栞
55  飯いいと言はず帰りが遅くなり      蘭
56    これ見よがしにプラチナピアス    葛
57  昇降機五十階より降りてきて       牙
58    住まひ選びは実に難問        蘭
59  年の瀬のローンの重みいや増しぬ     栞  冬
60    子を叱りつつ先思いやる       水
61  ゆふぐれの植田ころころ啼く蛙      蘭  夏
62    打ち捨てられし緒の切れた下駄    葛
63  面影を思いきれずに春の宵        水  春恋
64    朧月にも著き恋やせ         葛  春月恋 しるき
三ウ
65  はらはらと散りて花びら埋む径      蘭  春花  うづむ
66    たゆたふ河の流れアダージョ     栞
67  悠久を求め私もインドへと        水
68    熱にうなされまた同じ夢       牙
69  猛暑日の予報うらめし蝉しぐれ      蘭  夏
70    草刈鎌は錆びる暇なし        葛  夏
71  下町の職人芸の活きてをり        栞
72    路地に並びし丹精の菊        水  秋
73  声掛けて声の戻らぬ月の夜        牙  秋月
74    新酒をあけて手向く一献       蘭  秋
75  様になる見よう見まねの太郎冠者     葛
76    村おこしにと舞台復活        蘭
77  奈落より脱出するも道険し        栞
78    百日紅とて落ちぬ空蝉        牙  夏
ナオ
79  うな重で上手くなりたる箸づかひ     蘭  夏
80    円安に乗りツアー賑はふ       葛
81  近くとも遠き国より使者来る       栞
82    スワンの息の白き寒靄        蘭  冬   かんあい
83  黄昏の枯野に独り佇みて         栞  冬
84    指折りてみる夢のあれこれ      葛
85  巷では景気良くなるてふ噂        牙
86    着飾つてゐる歌舞伎座の前      ね
87  背伸びしてメニューに迷ふ初デート    蘭  恋
88    告白タイム給仕目くばせ       栞  恋
89  転職の場にも刑事の名残出て       葛
90    あぶれ蚊あはれ打つ人もなし     蘭  秋
91  十五夜は戦国の世も丸き月        ね  秋月   まろき
92    古りにし城趾色変えぬ松       蘭  秋
ナウ
93  正宗は酒と限らぬ上戸殿         水
94    泣くも笑ふもこれが青春       葛
95  後知恵の先に立たずは道理なり      栞
96    末は議員と競う弁論         牙
97  茶と菓子を子が指図する春炬燵      蘭  春
98    雛の家にもランドセル増え      栞  春
99  二宮の像よ上見よ花の影         牙  春花
挙句    巣立ちの鳥の声のにぎやか      葛  春

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

2013年3月9日土曜日

【満尾】第四千句第五百韻『径なくて』の巻



                      百韻『径なくて』の巻   
                                                                                2013.3.9〜4.2

発句  径なくて篁くづる菫かな       楸邨  春 たかむら:竹薮     
脇句    番ひの雉子の葎ゆく影      春蘭  春 つがひ
第三  座敷中雛道具など散らかして     ね子  春
4     下手な習字を見つけ赤面     草栞
5   初孫の授業参観いそいそと       蘭
6     高度成長時代駆け抜け      風牙
7   望くだり飲み友達はちりぢりに    真葛  秋月
8     夜長を過ごすアパートの鍵     ね  秋

9   虫すだくクロスワードのあと一語   曙水  秋
10    はぐらかされし愛の告白      蘭  恋
11  ドン・ファンはお手をどうぞと繰り返す 栞  恋
12    踊る阿呆は寂しからずや      ね
13  いざブログ牧水調の歌添へて      葛
14    本郷の坂息たへだへに       蛉
15  二人の子乗せる自転車母強し      牙
16    スケッチブックに素描描き留め   栞
17  復興の願ひ膨らむ遠花火        ね  夏花
18    祭囃子に惹かれ行く町       蘭  夏
19  そそくさと夕餉は残りごはんにて    〃
20    ドラマの録画溜まる一方      牙
21  山の端に見る人もなき冬の月      葛  冬月
22    湖面に降るる水鳥の群       ね  冬
二オ
23  故郷を持たぬ身軽さ頼りなさ      水
24    都市伝説の嘘も真に        栞
25  左手の小指の爪は桜色         牙  恋
26    春の恋なら春に終はらす      ね  春恋
27  ぬくもりをいざ断ち切らん巣立鳥    蘭  春
28    良きことあるや初虹の見ゆ     葛  春
29  名画より光と影の溢れ出で       栞
30    二時間待ちの札にげんなり     牙
31  拉麺は蘊蓄よりも食うが良し      水
32    つけつぱなしのテレビながら見   蘭
33  頷いて済ます会話も十年目       牙
34    強気の陰に透ける小心       葛
35  ミシュランを信じぬシェフの匙加減   栞
36    しかめっ面も弛む絵葉書      牙
二ウ
37  蜜月を終えてパンダ舎再開す      ね
38    うららに釣られぞろり出不精    蘭  春
39  見渡せば散るを厭わず花は咲く     水  春花
40    陽炎のごと去りし武士       栞  春  もののふ
41  待ち合わせ場所はSL広場にて     牙
42    腕絡ませる休日の午後       ね  恋
43  君がなほ辛き身なりと耐へる愛     葛  恋
44    溢るるばかりのビールごくごく   水  夏
45  いつかはと念ひし山を踏破して     蘭  夏
45  夏フェスを終えてバンドは舞台裏    牙  夏
46    ローカル局の取材厭はず      栞     両句に
47  落選の噂もありて元大臣        ね
48    我が世の春よ窓に望月       水  春月
49  桜咲く門の内にて八文字        牙  春  はちもんじ
50    軟東風吹きて揺れる簪       栞  春
三オ
51  卒業の旅で変身舞妓さん        蘭  春
52    慣れぬ手つきでシャッターを切る  牙
53  ツチノコを探すと友は西ひがし     ね
54    リタイアしたら俄然生き生き    蘭
55  蕎麦打ちに連歌の道を極めたる     栞
56    祭り上げられ親善大使       葛
57  尼寺の庵主しるせし本売れて      蘭
58    続き見るには有料となる      牙
59  三月ごと新聞替へて映画券       蘭     みつき
60    ミンク捲きたる顔の卑しき     葛  冬
61  狩人の道に迷えばレストラン      牙  冬
62    秘密のレシピ身体には毒      ね
63  ピアノの音漏るる洋館月赤し      牙  秋月
64    郵便受けに絡む蔦の葉       栞  秋
三ウ
65  待ちかねた嫁の里より新走り      水  秋
66    汲めど尽きせず古典逍遥      蘭
67  とくとくの清水流るる棲処にて     栞
68    お血脈札閻魔欲しがり       水
69  真打ちとなるには足らぬ色と艶     牙
70    憎まれ口をたたき気を引く     葛
71  こゝろとは逆に振る舞ふをさな恋    蘭  恋
72    フォークダンスの手に滲む汗    牙  夏恋
73  隊商の砂漠越えゆく月暑し       水  夏月
74    広場に響む物売りの声       栞     どよむ
75  真作のはずは無けれどガレの壺     牙
76    貸し借りなしの長き付き合ひ    葛
77  パッと咲きサッと散り行く花は友    ね  春花
78    千歳の松のみどり美し       蘭  春  うるはし
ナオ
79  恨み言一つ言わずに蜆汁        牙  春
80    絆絆とポスターを貼る       水
81  慕はしき名前何度も確かめて      栞  恋
82    相合傘は五月雨の中        ね  夏恋
83  籠り居る宿に想練る次回作       葛
84    伸ばしては剃るごま塩の髭     蘭
85  我が家にはサンタクロースは来ないのよ 水  冬
86    仏の煤を払ふ小坊主        蘭  冬
87  居酒屋に隠語で話す二人組       牙
88    ワインのコルク床に転がり     栞
89  難破船噂ありしがいつか消え      葛
90    店舗誘致で決まる集客       牙
91  廃屋と残土を照らす朧月        水  春月
92    風船飛ばす定年の人        ね  春
ナウ
93  花の香は古き枝にも蘇り        栞  春花
94    壁画の下の別の絵を知る      牙
95  講釈のおまけ付けられ吟醸酒      葛
96    木彫りの鼠張り扇で鳴き      水
97  江戸情緒探索〆に寄席へ行き      蘭
98    スカイツリーの消ゆる電飾     栞
99 「夜の梅」土産に貰ひ春の星       牙  春
挙句    鈴の音もあり遍路笠見ゆ      ね  春

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

2013年2月6日水曜日

【満尾】第四千句第四百韻『さざ波は』の巻  


                      百韻『さざ波は』の巻   
                                                                                2013.2.6〜2.28

発句  さざ波は立春の譜をひろげたり  水巴  春     
脇句    東風に吹かるゝ堤のをとめら 春蘭  春  てい
第3  雉ほろろ玉追う子には罪もなし  風牙  春
4     無垢の小筥に仕舞ふ臍の緒  草栞
5   旅立ちの準備万端整ひて     真葛
6     無料アプリも割と役立つ    牙
7   待宵の今日の運勢占ひぬ     ね子  秋月
8     貴人挿頭す紅葉一枝     曙水  秋  あてびと かざす

9   初嵐芸妓のひとり路地急ぐ    玄碩  秋
10    ”妻”と記して君を待つ宿    蘭  恋
11  俳句でも一つ捻つて捧ぐ愛     栞  恋
12    声高にては云へぬ腰痛     葛
13  孫娘前にすべてをそっちのけ    蛉
14    パソコン慣れてネット通販   蘭
15  口コミの評判さへも金次第     ね
16    暇な隠居は地獄耳にて     栞
17  犬吠えて向かいの娘は朝帰り    碩
18    有明月をとどむ夏空      葛  夏月
19  大漁と烏賊釣船の旗なびく     牙  夏
20    白寿赤飯お裾分けきて     水
21  枯枝に花咲くごとく若返り     栞  春花
22    子供のお古似合ひ麗らか    蘭  春
二表
23  奪ふべき愛ふらここに託し漕ぐ   葛  春恋
24    四月馬鹿にも淡き初恋     ね  春恋
25  付け文に差出人の名の無くて    牙  恋
26    告白披露罰ゲームなり     蛉
27  振り返るわが青春は悔いに満ち   蘭
28    古い手帳にペンは走らず    碩
29  ブラインド・タッチ華麗な新世代  蘭
30    国会中継コンサートなみ    葛
31  冬ざれの日本経済上向いて     ね  冬
32    滑らぬやうに歩く雪道     栞  冬
33  学校は知育偏重試験漬け      蘭
34    やる気演技でみせる就活    〃
34    世にはざらなり答えなき問ひ  〃
34    可愛さ変わらずどれもどんぐり 水  秋
35  月よ月我ら等しく死に近し     ね  秋月 三句に
36    山海の幸並ぶ賢治忌      牙  秋
二裏  
37  猫の手も借りたいほどの芋煮会   栞  秋
38    本家争ひしばし休戦      葛
39  呼び込みの熱さで決めるあぶり餅  蘭
40    青空市は今日も賑やか     ね
41  アンティークグラス二脚のクリスマス 牙 冬
42    嘘かまことか王の血筋と    葛
43  山陵を越えて広がる青田波     碩  夏  みささぎ
44    不意に現る虹の架橋      栞  夏
45  ポケットの婚約指輪取り出せず   ね  恋
46    葡萄酒醸し刻む君の名     牙  秋恋
47  待たされて有明の月薄蒼く     水  秋月
48    花紅葉敷く寺の延べ段     蘭  秋花
49  千年の古都の誇りは今もなほ    葛
50    ゴンドラ漕ぎもベルカントにて 栞
三表
51  チップにと覗く財布に小銭無し   牙
52    唇赤き七五三の子       ね  冬
53  初時雨止みて手水に光満つ     栞  冬
54    人気作家の返本の山      葛
55  評判は良くも悪くもバズられる   蘭
56    重き扉を開くる躊躇ひ     牙
57  教会に憬れ抱く仏教徒       ね
58    バージンロード父は疎まし   水
59  身ごもりを服で隠せぬやうになり  蘭
60    ここが出番と鳩の飛び出す   葛
61  道化師の子等はやしたて辻舞台   蛉
62    夏草燃ゆる城の坂下      栞  夏
63  刀から蚊遣りまで売る骨董屋    水  夏
64    伏し目にかくす志しあり    葛
三裏
65  少年の夢は宇宙に植民地      ね
66    アニソンばかり歌うカラオケ  牙
67  オフ会やハンドル名のこそばゆさ  蘭
68    闇にまぎれて触れる君の手   葛  恋
69  ボエームを想ひ耳まで赤くなり   栞  恋
70    大気汚染で意識失ふ      ね
71  噂して曹操がくる四千年      水
72    歴史は知恵の宝庫なりとや   蘭
73  鷄か卵が先か気になりて      ね
74    食欲誘ふ三つ葉芹の香     牙  春
75  水音を空耳かとも月朧       葛  春月
76    日永過ごすに足りる狭筵    蘭  春
77  孫ひまご祖父母の家は花盛り    ね  春花
78    写真館にて記念撮影      栞
名表
79  星屑の落ちし北の地五稜郭     牙
80    出張ついでに市内観光     蘭
81  庭先の路面電車に菊ゆるゝ     蛉  秋
82    駅長のごと案山子佇む     ね  秋
83  瓢の笛誰ぞ吹きたる月の夜     牙  秋月
84    人さらひとや聞くも恐ろし   葛
85  韓流を追っかけ家事はそっちのけ  蘭
86    目が離せない字幕スーパー   水
87  顧て初めて気づく恋心       栞  恋
88    相合傘を書いてまた消し    葛  恋
89  放課後に一人残されドリル解く   牙
90    おやの渋面浮かぶゆふぐれ   蘭
91  ひと月に十三回の里帰り      ね
92    政策変わって弟妹ができ    水
名裏
93  口遊むいろはにほへとほろ酔ひて  葛
94    あさきゆめみてさめしあけぼの 蘭
95 「芝浜」のかみさんほどに芸もなく  水
96    付け払ひせでお後よろしく   栞
97  春風に列みだれなきラーメン屋   蘭  春
98    頑固一筋山も笑へり      ね  春
99  花守の留め置き事項また増えて   葛  春花
99  若松の堀を染めたる花鏡      牙  春花
挙句    筵で待つは新社員らし     牙  春  両句に 

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

2013年1月18日金曜日

発句考


1、 蔦の葉は残らず風のそよぎ哉 荷兮  発句はかくのごとく、くま
   ぐままでいひつくすものにあらずとなり。(去来抄 去来)

2、 下臥につかみわけばや糸ざくら 其角  いひ課(おほ)せて何か
   ある。(言い尽くして何があるか、何も残らない。)(去来抄)

3、 発句は物をとり合せすれば出来る物なり。それをよく取合せするを
   上手といひ、あしきを下手といふなり。(去来抄)

4、 発句の事は行って帰る心の味なり。たとえば、山里は万歳おそし梅
   の花 といふ類なり。(三冊子 土芳)

5、 句姿も高く位よろしきをすべしとむかしより言ひ侍る。先師は懐紙
   の発句かろきを好まれし也。時代にもよるべき事にや侍らん。(三冊子)

6、 切字なくては発句の姿にあらず、付句の体也。切字を加へても付句
   の姿ある句あり。誠に切れたる句にあらず。又切字なくても切れる
   句有り。(三冊子)

7、 発句はその座の風景、時節相応、賓主の挨拶による事常の習也。(俳諧
   無言抄 梅翁)

8、 発句案じ方の事 発句を案ずるには先づ題に結ばむと思ふものを、
   胸中に画きて見るべし。鏡花水月の案じ方といふなり。。。只句は
   言尽すまじきものなり。。。上手の画は画外に在り、上手の詩歌は、
   言外に風情を備ふ。(俳諧発句小鏡 蓼太)

9、 句に理屈を抜く事 発句は理屈より案ずべからず。(俳諧発句小鏡)