2007年11月10日土曜日

俳諧の付けー要するに

三冊子に「付きの事は千変万化するといへ共、せんずる所、唯、俤と思ひなし、景気、此三つに究まり侍る」と芭蕉が言ったとある。ここでの俤は、広義の匂いとほぼ同義で余情付けのことであろう。これらを、物付け、心付け、余情付けというポピュラーな分類とどう整合をとればよいのか。その思案の結果。

連句(俳諧)の付けとは、
 前々句+前句の世界から離れて(転じて)、
  前句に対してありそうな情景を詠み、前句と新たな世界を創ること。

   1、景気を付ける。             【景気付け】(^^)
     景気とは、人を含む自然の風物を対象とする心象風景。
    「付句は、気色はいかほどつづけんもよし。天象・地形・
     人事・草木・虫魚・鳥獣の遊べる、其形容みな気色なる」
     (去来抄) 

   2、前句に即して、
     a、前句の物や詞の縁によって付ける。   【物付け】
     b、前句の意味内容・情に付ける。     【心付け】
       (句意付け・意味付け)

   3、前句をつきはなし離れて、
     c、前句の余情(気分・雰囲気)に付ける。  【余情付け】
       匂い、俤、位、響き、移り
       (匂い付け・俤付け)

     d、前句の場面の人や場所、状況などを言内、言外を問
       わず、前句の作者の意図と違うように、あるいは勝
       手に思いなし(推量・見込み)して付ける。【思ひなし】

ある句がこのうちのどれに該当するか分析するのは難しい。違いは微妙で分析する人によって結果も異なりそうだ。複数の分類に当てはまる句もあるだろう。

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