2008年9月14日日曜日

百韻『いろいろの』


発句  いろいろの制服通る初夏の朝    青波 
脇     見分けつかない軒の子燕    春蘭 
3   図書館で借りて重たい図鑑にて    亮 
4     パラリパラリと眺め楽しむ    波
5   透きとほる傘に降り来る六花     蘭 
6     今年の寒さ厳し一際       波 
7   顔見世の招き大きく照らす月     亮 
8     暫くぶりに飲んでいこうか    蘭

1   この前のあの事につき話そうよ    波
2     パイプくゆらす破れジーパン   亮
3   武勇伝おもひ出してはにやついて   蘭
4     時の総理があげる強盗      波  
5   電脳でみれば世界は夢の滓      蘭
6     漂白出来ず消せぬいらだち    亮
7   学校の教師が書いた落書きを     波
8     運が悪いと思ふ政治家      蘭      
9   お月様ご覧下さいこの日本      波 
10    汚れちまった白砂青松      亮
11  ひぐらしやわれも別宅ほしくなり   蘭
12    乱開発で家はむき出し      波
13  水汲にゆく深山路は花のころ     蘭
14    孕み鹿らしチラと駆け行く    亮

1   フンフンと春風のよう小百合ちゃん  波
2     いつたい何をたべてるんだろ   蘭 
3   糊舐めて舌切りすずめものがたり   亮
4     手元不如意と嘆く侍       波
5   下思ひの新造に声を掛けられて    蘭
6     よくあることよ壁に耳あり    亮
7   覗き見の有名人が出所した      波
8     悔いたやうには見えぬ会見    蘭
9   隠れ蓑卑しきものと紙一重      亮             
10    不惑の年に大惑いする      波
11  足許を見つめ直せと山が呼ぶ     蘭  
12    又会う日までいてね元気で    波
13  シャガールの自転車で追う月の径   亮
14    宇宙空間邪魔物は無し      波

1   UFOのかけら砂漠で見つかった   波
2     ソレッとばかりに霊能者達    亮
3   懐かしき東北弁のお告げ聴く     波
4     耳を澄ませて肩を凝らせて    亮
5   我話す中国人に通じない       波
6     のどかに行こう身振り手振りで  亮
7   久しぶり郷里で踊る盆踊り      波          
8     時折遠く走る稲妻        亮
9   吾亦紅母を泣かした子も老いぬ    蘭
10    先急く犬をとどむ月の出     蘭
11  あらなんでこんな所に蛙居る     波
12    ぬれても心地よきははるさめ   蘭
13  ほの白くみっしりと浮く花の夜    亮
14    言葉少なく宿る円山       蘭

1   追いかけて追いかけて来た都から   波
2     乙女にまぎれ出待ち入り待ち   蘭
3   倖せは自分が夢中になれること    蘭  
4     新蕎麦を打ち食わすみんなに   波
5   問はれぬに蘊蓄垂れるは野暮つたい  蘭
6     今は逆転妹に叱られ       亮
7   オリンピック女ばかりが活躍し    波
8     度胸愛嬌も兼ねて具はる     蘭
9   日本を洗濯せんとゆく竜馬      蘭
10    激流下る竿をあやつり      波
11  ここいらでカラス殺して朝寝せむ   亮
12    君がおつむにかひな痺るる    蘭
13  窓辺まで月寄って来る旅の宿     波
14    一夜かぎりの烏瓜のはな     蘭

1   夏の果軒の簾を巻き上げて      蘭
2     雀右衛門さん米寿祝宴      亮
3   華やかな江戸の香りを東京へ     波
4     花魁道中口あいて見る      蘭
5   人間の欲と欲とが絡み合う      波
6     どつちにしても騙される民    蘭
7   明日への乗換駅を探してる      亮
8     行こか戻ろかはて思案橋     波
9   月影にひともと柳枝ゆれて      蘭
10    欠けた茶碗で白粥すすり     合
11  節約はふたたび美徳とされにけり   蘭
12    ゴミも資源と進む研究      波
13  夢の島花の名所となりぬべし     蘭
14    松並木にはキツネもいたか    合

1   おそろしさまさる旅籠の留女     蘭 
2     飯食ふときに気づく流し目    蘭
3   居候三杯目にはそっと出し (古川柳)波          
4     けつこう使へる鈍感のふり    蘭
5   ため口の部下に仕事を頼む午後    合
6     昔のようなゴリ押しは駄目    波
7   理不尽な輩こはがる世間の目     蘭
8     へこきかずらがはびこる屋敷   合
9   さみどりの欅空みつ蝉しぐれ     蘭
10    腕白時代思い出す場所      波
11  好きな子の家のブザーを押し逃げる  蘭
12    やっぱりカレー土曜の夕餉    合
13  中秋の月を愛でつつ家路へと     波 
14    オペラの余韻でかるく中汲み   蘭

1   封筒に入れた銀杏爆ぜ始め      合
2     呼ばぬに子等は膳に集まる    蘭
3   手土産をおいてお客は帰りけり    蘭
4     鑑定しますクリスマスラブ    合
5   枯蓮の池にさざなみ番鴛鴦      蘭
6     妻の帰りを夫待ってる      波
7   忍の文字背中に付けた花衣      合
挙句    花粉症とてしたい風流      蘭

               2008.7.5〜9.14


写真借用:
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080519/trd0805191241006-n1.htm

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