2008年11月26日水曜日

江戸川柳を味わう


『江戸川柳を味わう ー誹風柳多留全巻の名句鑑賞ー』東井淳

抜粋
江戸川柳と言えば、とかく、風刺、諧謔を主体とするおかしさだけが強調されがちであるが、実際には詩的抒情あるれる現代的作品が数多く存在しているのである。

川柳界の現状をよくながめてみるといわゆる古川柳および江戸川柳と言われる明治初期までの川柳と、それ以後の近代川柳および現代川柳と称される川柳とにおいて、何か異質の文学であるかのような錯覚が存在しているようである。

現代川柳作家は古川柳を軽んじる傾向があり、また、古川柳研究家は現代川柳を鑑賞するということはないようである。

本書は主に。。。狂句調時代の詩的柳句を、全「柳多留」の中から現代川柳作家の目で拾い出したものである。

 流行唄覚える頃に最うすたり    151篇
 読経に美音のまじる嵯峨の奥    143
 世を辞して寝心広き四畳半     142
 美しいものできたない化粧部屋   141
 鐘無くば暮れるも知らじ雪の庵   138
 初雪や鹿の足跡割り胡桃      129
 神前へ世界の無理が溜つてる    123
 梅が枝にこよりを残す春の雨    別・中
 借りに来た時は正直そうな顔    121
 風のくる度に隣の梅をほめ     119
 人間万事さまざまの馬鹿をする   117
 埋み火もやせて炬燵にもの思い   101
 性は善なりモシ何か落ちました   101
 そのままに買いたき雪の一軒家    79
 大みそか命別条ないばかり      68
 明ぬるも暮るるも同じ鐘の声     67
 果てはみな仏の道に落葉かな     64
 ところてんつきのめされてかしこまり 48
 血達磨のじつは本来無一物      47
 這えば立て立てば歩めの親ごころ   45
 一年を二十日で暮らすいい男     44


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