2009年1月16日金曜日

超域の詩歌


『詩心ー永遠なるものへ』中西進著

超域の詩歌
 詩と歌と句とは厳然として詩型の特質を別にするが、その上で三者の交響を試みる時代を日本の詩歌史
 はいま迎えているのかもしれない。超域の詩歌、そんなおもしろさが始まろうとする予感がある。

コメント:
 万葉の遠い風景、詩歌が映す命の華やぎ、自然にこだまする俳句、の三部構成。二部で現代詩と漢詩を
 扱っている。連句(俳諧の連歌)は、定型の短歌と俳句、川柳が交響する一つの姿だと思う。漢詩句を
 取り入れた和漢・漢和連句もある。後は狭義の詩、現代詩だがこれと交響した連句をまだ私は知らない。
 連句で自由律の一行詩などを許せば一応すべてを含むことにはなるが定型は崩れる。

 著者の言う交響とは、たとえば俳句や短歌を英語の短詩に翻訳するとか、その逆の翻訳するとか、そう
 いう変換・交流を指しているのかもしれない。俳句を短歌に、短歌に俳句を変換することを子規は門人
 に示したらしいが、線引きをして自分の領域を囲いたがる一般の俳人や歌人は極度に嫌がるであろう。
 

0 件のコメント: