2009年3月22日日曜日

歌仙『蓄音機』



      歌仙『蓄音機』
                  2009.3.6〜3.22

発句  蓄音器大正響く雛の家       合   春
脇     蛤しんじょふはり春の香    春蘭  春
第三  藪椿何かごそつく気配して     百   春
四     こんな所にイグアナがいる   青波
五   温暖化極まる月の夜は更けぬ    草栞  秋月
六     明日のことなら風聞草に    面白  秋

一   切り立ちし崖舞ひ上がる雪迎へ   睡心  秋
二     五能沿線旅行案内       みかん  
三   それとなくふくるゝ妻の機嫌とり  蘭   恋
四     恋の負い目に愛を育てて    合   恋
五   この際と公設秘書を解任し     波
六     溜飲下げる侍ジャパン     百
七   はらはらと孤塁を守る新人類    白
八     屋根まで飛んでバブル弾ける  栞
九   月の舟水母とともに波まかせ    み   夏月
十     鏡花の下駄が舗石を蹴り    心
十一  花の山秩父巡礼鈴が鳴る      百   春花  
十二    握りて返す開帳の紐      栞   春

一   丸窓に影を映して忘れ角      合   春
二     身辺整理は夫の始末か     心
三   借金を返せないのが苦しくて    波
四     でんきブランを浴びるほど飲む み
五   煌々し氷のかけら谷間の      白   冬 
六     ぽつりぽつりと寒紅の嘘    合   冬恋
七   ゆきずりの他人の空似思ひ出し   栞   恋
八     あらたな恋にまどふ我が身は  蘭   恋
九   さやかには見えねどとうに秋立ちて 白   秋
十     浅漬け大根バリバリと噛む   波   秋
十一  国境を三日月胸に越えんとす    心   秋月
十二    新しき靴足に馴染みて     百
ナウ
一   あめ色の母の尺差象牙箆(へら)  み
二     ラジオの好きな元気印よ    百
三   宙(そら)よりも広い心に遊ぶ時  合
四     守りてゆかな瑠璃の地球を   白
五   千とせふる花のしづくに立ち濡れぬ 蘭   春花
挙句    また巡り来た春を楽しむ    波   春

                  (進行役 合)

写真提供は、合さん

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