2009年5月17日日曜日

イエスを愛した女ーマグダラのマリアへの旅4

■イエスを愛した女−聖書外典:マグダラのマリア−
ゴードン・トーマス 柴田都志子・田辺希久子訳 光文社 1999.4
原題:Christos Maria of Magdalene


男性優位、女性蔑視の立場で書かれている新約聖書の福音書の記述を、意図的に排除された聖書外典の記述で正し、イエスの生誕から死、復活まで書き下ろしている。そこには、意図的に排除、改変されたマグダラのマリアのことが特に盛り込まれている。マグダラのマリアを公平に評価をすべき新しい千年紀が来たのだと著者は訴えている。

しかし、レンヌ=ル=シャトーの謎やダ・ヴィンチ・コードのようなつもりで読もうとすると多分、失望するだろう。

救い主イエスとマグダラのマリアの愛に満ちた関係は、紀元後二十六年ころ始まったとあるが、この愛とはアガペー(自己犠牲的・非打算的愛)で、無論、肉欲的な愛ではない。よって、マグダラのマリアは、イエスの妻で、ふたりの間には子がいたとはどこにも書かれていない。

印象的な二つのシーンは、多分、既存の四つの福音書だけでも読み取れる部分ではあろう。

●イエスの足元にひざまずいたマリア
「マグダラのマリアはぽろぽろ涙を流しながらイエスの足元にひざまづいた。そしてかさかさに乾いた彼の肌の上にその涙をこぼし、それを自分の長い髪でぬぐった。 。。。 その瞬間からどの弟子にもましてイエスに忠実に従い、彼らのだれにもできなかったようなやり方でイエスに無限の愛をそそぐようになる。彼女は、イエスを愛した女になったのである。」

 。。。の部分でイエスは心を揺さぶられ、この女はなにものと疑っている他の弟子達に信仰とは愛とはこういうことだと諭している。

●復活
「うしろから、イエスが彼女に呼びかけた。『マリア!』 イエスはそこにいた。 『先生!』彼女は叫んだ。 『安心しなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなた(がた)と共にいる』」

イエスを愛した女は、イエスが愛する女であり、イエスが一番愛する弟子でもあった。

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