2010年12月17日金曜日

蕎麦屋メモ

◯玄蕎麦 小坂 練馬区田柄 天ざる 花御膳
 今までは近くの桔梗家が休みだと代わりに行く店だったが、
 認識を改めた。目指していくべきレベルだ。

◯松庵 早稲田 天ざる 日替わり膳
 
◯たかさご 牛込神楽坂 せいろ おかめ
 細切りながら正方形でこしの強さは秀逸。

◯室町砂場 日本橋室町(神田) 天ざる 玉子焼き
 さらしな粉、一番粉の白いそば、さすがに品がある。

2010年11月30日火曜日

百韻『初しぐれ』の巻


       百韻『初しぐれ』の巻
                    2010.11.08〜11.30

1 発句 初しぐれ烏はつばさ蓑として    冬   不夜
2 脇   炭焼小屋の軒に隠れぬ      冬   彼郎女
3 第三 金銀にまさるものこそ子供なれ       私
4     日記の綴目指でなぞりつ         草栞
5    日めくりの格言よめる祖母のいる      百
6     スローフードの雄は漬物         私
7    つけにくい句で案じつゝながら喰ひ     私
8     頬杖ついてカフェのテーブル       不夜

9    もみづれる出金ばかり小使い帳   秋   百
10    天を仰げばあかあかの月     秋月  氷心
11   台風の過ぎたるあとに家を出て   秋   ふない
12    顔覗き合ふ向かう三軒          不夜
12    舫いを解くタオル鉢巻          氷心
13   交替で見張りせんとて寝ずの番       栞  (両句に)
14    意図を超えたり火と土の芸        私
15   終日を飽かずにさする楽茶碗        不夜
16    ふらちな孫は夜も帰らず         ふない
17   舞ひ散れる花にこころを酔はされて 春花  郎女
18    あらたな恋を誘ふ春風      春恋  私
19   スカートに浮気募れる半仙戯    春恋  栞
20    ちらちらひとを見あふ公園        私
21   朝曇イーゼル立てる場所探し    夏   不夜
22    猛暑見越して大樹の陰へ     夏   百
二オ
23   弱きものにはそれなりの対策を       郎女
24    腰丈ほどの雪吊の松       冬   ふない
25   わづかなる賀状を出してするあんど 冬   私
26    Eメールにはせぬがこだわり       郎女
27   物を売る前に売りたいあばた面       氷心
28    駱駝の背より月を眺めて     秋月  栞
29   地平線夜寒に遠きけふの宿     秋   不夜
30    刈田の中を一筋の川       秋   私
31   嫗逝き藜の杖を残しおり          百
32    賢者の遺志を守るハリーよ        栞
33   選ばれし者を動かす使命感         私
34    背すじ伸ばして身じろぎもせず      ふない
35   宮殿の門の左右に近衛兵          不夜
36    素知らぬ顔で文あずかりぬ    恋   郎女
二ウ
37   ベンチにて待てば異国の女あり   恋   ふない
38    見つめられては言葉はいらぬ   恋   百
39   長過ぎる路駐店主に咎められ        栞
40    ときに役立つへりくだる質        私
41   内定をすぐ知らさるる面接後        不夜
42    スーツのままでゼミに飛び込む      郎女
43   花盛り写メールしては送りつけ   春花  百
44    小腹の足しに桜餅で茶      春   私
45   朝寝して飯の時分は過ぎにけり   春   ふない
46    今夜も見るぞ流星群を      秋   百
47   山際を明らめぬうっと居待月    秋月  私
48    雁の音聞きてそぞろ侘しき    秋   栞
49   ずるずるとすする昼餉のカップ麺      不夜
50    忘年会の只酒うれし       冬   ふない
三オ
51   冬薔薇散りなば人の寡黙なる    冬   百
52    身悶えしのぶ倫ならぬ恋     恋   私
53   歳の差はあれど楽園ともにせん   恋   栞
54    胸の疼きに嘘はあらざり     恋   不夜
55   糊付けて箪笥にしまふユニホーム      ふない
56    年金生活いつまで続く          百
57   粗食でもうまく感じる空きっ腹       私
58    持ちつ持たれつ齢をかさね        百
58    養生訓で狙ふ大台            私
59   気がついて紙釜敷に熨斗を添え       栞  (両句に)
60    門で見送る正月の客       新年  氷心
61   初富士に胸がおのづと張りにけり  新年  私
62    こもよみこもち若菜摘みつつ   新年  不夜
63   をとめらのすそは濡れけんはだれ雪 春   私
64    雛の家にも戻る賑ひ       春   栞
三ウ
65   赴任地の土産は菓子と蕗の薹    春   ふない
66    嫁になる人ひとつ年上      恋   氷心
67   月照らす波は涼しきランデブー   夏月恋 不夜
68    熱き口づけ海霧の彼方へ     夏恋  栞  (じり)
69   長廊下彼の背中について行く    恋   百
70    木造校舎は暗く冷たし          ふない
71   日当たりに放られている雪だるま  冬   氷心
72    着膨れせずに着るが今流     冬   私
73   ファッション誌抜け出たやうな少女たち   不夜
74    お国訛りで笑いさざめく         ふない
75   ばっちゃにも打ち明けられぬ弱味あり    栞
76    身の上かさね余花を泣くらん   夏花  私
77   ふうわりと黒き日傘を撫でる風   夏   郎女
78    サマルカンドの白き街並         不夜
ナオ
79   玄奘と魑魅魍魎の足かるく         ふない
80    盃の猿酒ゴクと呑み干す     秋   栞
81   玉兎からまづ薀蓄をかたむけて   秋月  私
82    草屋閉めて自然薯ほりへ     秋   百
83   待ちかねの庭の梢に小鳥来る    秋   不夜
84    幼子どもの瞳うつくし          郎女
85   毀たれし大尖塔を見上げをり        ふない
86    高度成長今や伝説            私
87   ジパングで銀河鉄道乗車券         百
88    時空の旅はImagination    私
89   火の鳥も甦りては永遠に生き        栞
90    最終巻につかぬ決着           不夜
91   打ち切りの運命かなし冒険譚        ふない
92    ホームページに寄せる荒波        郎女
ナウ
93   いっぱしの批評家きどりカキコして     私
94    花の名所は屋台ひしめく     春花  私
95   春鹿を追えど聞こえぬ素振なり   春   ふない
96    若芝萌えてあをむ山肌      春   私
97   潮の香の道を遍路のあゆみゆく   春   不夜
98    悟りの境地何処に在りや         栞
99   物語など思はせる鐘の声          郎女
100   午後の古文の授業まどろむ        私

写真提供はウィキペディアさん

2010年10月14日木曜日

李白『宣城見杜鵑花』 

李白『宣城見杜鵑花』 せんじょうにてとけんかをみる
 蜀國曾聞子規鳥   しょくこくにかつてきくほととぎす
 宣城還見杜鵑花   せんじょうにまたみるとけんのはな
 一叫一廻腸一斷   いっきょういっかいはらわたいちだん
 三春三月憶三巴   さんしゅんさんがつさんぱをおもう

           杜鵑・子規:ほととぎす
           杜鵑花(とけんか、とけんのはな):つつじ
           三巴(さんぱ):蜀=四川省の東部の三郡、李白の故郷

2010年10月13日水曜日

大豆生田


八ヶ岳の南麓に大豆生田という名前の地域がある。車で通る度になんて読むのかって話題となる。読みの付いた看板を見つけて正解を知る。人名としては多くの読み方があるようだ。

参考:
(1)大豆生田という名字  
(2)八ヶ岳検定 Q8 

2010年10月12日火曜日

赤岳登頂 真教寺尾根ルート

扇山から赤岳を望む

天狗尾根

この前登った権現岳

登ってきた真教寺尾根、富士山がクリアだ

赤岳山頂

横岳・硫黄岳・天狗岳への縦走路

阿弥陀岳

左に三ッ頭、真中に双耳峰とも呼ばれる権現岳とギボシ、右奥に編笠岳、手前に旭岳とキレット

文三郎尾根(至行者小屋)への降り口

下ってきた岸壁を振り返る

10月11日(月)快晴
ピストン、日帰り、同行O氏

満天の星を見ながら美し森たかね荘に向かう。午前4:26にたかね荘の無料駐車場を出発。まだあたりは真っ暗だ。ヘッドランプをたよりに賽の河原へ。ようやく東の空が明るくなってきた。登山計画書を入れる箱があり投函。

牛首山までは先日下見の登山をしていたので難なく進む。隣の扇山へは10分ほどで到着。目指す赤岳山頂が望める。あそこか〜。へなちょこ登山隊に行けるだろうかと不安感が増す。中年男性が追い抜いて行った。追ったが全然ペースが違い見失った。山荘の隣の山ガールに助言されたように、このルートは登山者の数が少なく何かあったら大変、初心者は美濃戸口ー行者小屋のルートで初登頂すべきだという言葉がよぎる。

樹林帯をひたすら登っていく。やがて樹林帯を抜け岩場の尾根に出る。急登の長い鎖場が連続する。これで難関を越えたかと思うと必ずと言っていいほどもっとすごい鎖場が出てくるのには閉口。鎖をどの程度信用してよいのか分からず半分は足場を確保しつつ岩登り風に対処した。竜頭峰というところにたどりつき一休み。山頂はもう少し上だ。水と昼食だけ一つのリュックに詰め、他をその場(ベースキャンプ)に置いて山頂へ。かつぎ手は歳を食った方=私だ(笑)

9:45に山頂の一等三角点にタッチ! 好天に恵まれたためか山頂はごったがえしている。人気のルートは長蛇の列をなしていることであろう。山頂小屋近くの岩場で早い昼食、と言ってもおにぎり二つだが。O氏は座る所に事欠いて赤岳日本武尊と刻まれた石碑とは知らずに座り、疲労した大腿をグイグイと押し付けマッサージしていた。さぞや御利益があることだろう(笑)

絶景かな絶景かな 北の縦走路、東の県界尾根、南東の真教寺尾根、北西の文三郎尾根、西のキレット・権現方面を眼下に見る。

11:00、勝手に決めたベースキャンプを後に下山を開始する。鎖場は下りの方が怖く逆に時間がかかった。また牛首山から賽の河原に向かう途中で足がぱんぱんとなりペースが落ちてしまった。賽の河原からサンメドウズのゴンドラに乗る。パノラマの湯の無料の足湯に両足を浸けたら大分よくなった。大泉そばとキリンのノンアルコールビールで乾杯をする。Yes We Can. We Did It!


                 ガイドブックA ガイドブックB
美し森たかね荘 4:26
 1565m       1:06  1:00  1:00
賽の河原    5:32
 1906   5:45
             1:04  1:30  1:00       
牛首山     6:49
 2280   6:55
             0:11   :    0:15
扇山      7:06
 2357        2:19  3:10  2:10
竜頭峰     9:25
 2870        0:20   :    0:15
赤岳山頂    9:45
 2899  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
         往き  5:00  5:40  4:40
       ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
赤岳山頂   10:35
             0:10   :    0:10    
竜頭峰    10:45
       11:00
             2:24  2:10  1:30
扇山     13:24
             0:11   :    0:15
牛首山    13:35
             0:59  0:45  0:35  
賽の河原   14:34
       ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
         帰り  3:44  2:55  2:30
       ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
       歩行時間計 8:44  8:35  7:10
       =======================
       経過時間計10:08
       ==========

反省点:
 1、疲れない歩き方  1時間に5〜10分の休憩。意識してゆっくり歩く。
 2、静荷重静移動   浮き石で滑らないように。落石を起こさないように。
   通常の歩き方のように、前足に重心を一気にかけず、後足でも蹴らない。
 3、筋力アップ    下りで足がぱんぱんにならないように。
 4、登山計画書は2通 1通は家族に。
 5、荷は軽く     必ず使うものと緊急時のものに限定し他は切り捨てる。
 6、重くなる食料は高カロリーでフリーズドライ食品とか軽いものに。
 7、靴は軽く足の大きさ+1.5cm 下りで足の爪が靴先に詰まって痛んでしまった。
   早速、595gと軽量で一番安いもの(Caravan グランドキング GK-67
   トレッキングシューズ 552ライトグリーン 26.5cm)をネットで調達。
                            
参考:八ヶ岳登山ルートガイド  

2010年10月6日水曜日

ゴッホ展





    展覧会じっくり観るのははじめだけ

六本木の国立新美術館でゴッホ展を観る。没後120年。The adventure of becoming an artist、こうして私はゴッホになった、と副題がついているように、ゴッホがよく知られている独特の画風の絵を描くまでにたどった変遷を紹介している。独学で勉強したという素描技術事典や水彩概論なども展示されていた。またゴッホが影響を受けた多くの画家の絵も並んでいる。今までは最終的に到達した画風の絵しか知らなかったが途上においてはいろいろあったことを知り得たのはよかった。

いいねと長らく立ち止まった絵は、以下だがやはり後年のものばかり。

   2 曇り空の下の積み藁   1890
  66 ヒバリの飛び立つ麦畑  1887
  89 アルルの寝室      1888(原寸大の部屋が再現されていた)
  91 種をまく人       1888(浮世絵の大胆な構図の影響が感じられる)
 113 渓谷の小道       1889
 116 草むらの中の幹     1890
 117 アイリス        1890 フクヘンさんのブログより

館内の茶店で休んだあと、ミッドタウンの平田牧場でとんかつを買って帰る。

2010年9月30日木曜日

山小屋の主人の知恵袋


『山小屋の主人の知恵袋 生き字引に学ぶ登山術』、工藤隆雄、東京新聞出版局

「危険は山以上に自分の中にある」「遭難は自然に対する無知・傲慢・油断から起きる」「ロープウェイで手軽に登れるといっても山の厳しさや危険はかわらない。」

   たしかに今まで初心者の怖い物知らず、無謀であったと反省。この前同行者が下り
   で4、5回滑ったり転んだりしたが、もしねんざや骨折をしていたらどうなってい
   ただろう(汗)裂いて使える手ぬぐい。

「日帰りでもヘッドランプとツェルト(簡易テント)は必要」

   早速注文。

「金をかけるべきは靴、雨具、下着、ズボン、ザック」「上着、帽子、着替、手袋、防寒
 具は自前のでよい。」

   今まではビニールの雨具。ゴアテックスは高いので東レの透湿防水素材エントラン
   トの安目のを注文。

「ザックは30リットルで十分、男は8Kg、女は5Kg」

「歩き始めは30分〜1時間はゆっくりしたペースで」

   いきなり勇んで早足となり決まって最初に息が上がっていた。

「50分歩いて5分休むというが適宜疲れすぎないよう休憩を」「休憩では水分と食べ物をとるように」

   一時間単位で行程をとらえるとわかりやすいし、長い道のりを思うより気が楽にな
   るかもしれない。

「急坂はストックをしまい三点確保」

   あくまでダブルストックを使おうとする人も見かけたことがある。

「早立ち、早着き」「山頂には11時頃には到着し、12時頃には下山、3時頃には近くの日帰り温泉というのが理想的」

   山小屋泊まりの場合は「できれば午後1時、どんなに遅くても午後3時には宿泊地
   に到着」

「雷が鳴ったら、高度を下げよ」

「道に迷ったら今来た道を確認して忠実に引き返す。してはならばいことは谷や沢筋に下ること、尾根を目指せ」「濃霧の時は雨具を着込み晴れるまで動かない」

   地図、コンパスは必須
  
■常識の嘘と思われるような意見を発見!

「(初心者の)山歩きは軽いスニーカーでよい。その方が動きやすい。(某氏)」

   好日山荘の最新の冊子でも登山ガイド氏がそう言っている。

「ストックがなくても登山できるような体力を付けよ。流行のダブルストックは特に山
 を崩す。(某氏)」

   折角買ったばかりなのに(^^;) 下りで膝が痛くなったときだけ使うことにしようか。
  
  

2010年9月28日火曜日

山歩き

「屋久島は別格」

「この間初心者連れて八ヶ岳に出かけて、赤岳鉱泉と行者小屋を回って八ヶ岳(注:赤岳)に登らず帰ってきました。初心者でも場所さえ選べば大丈夫なんですよ。山の世界がハードルを上げて、山って大変なんだよっていう発信をしないようにしなければ ...」

「本当は『山登り』という言葉も変えたいんです。でもいい言葉がなくて、たぶん正しいのは『山歩き』なんですね。 ... 『何が何でもピークを踏まなければ』ではなく、さっきの『山を歩く』ということですね。自然の中で解放されるために行ってるんだったら、登頂するのがそもそもの目的じゃないんです。楽しく安全なところへ行って帰ってきたらいいんです。」

「そう、東京に出て来てからは八ヶ岳が好きになりました。アクセスが便利だから週末ふらっと行けて、季節の変わりでいろんな顔を見せてくれるんです。紅葉もあるし温泉も楽しめるし、『アクセスのいい上高地』って感じです。」

「岩場を登らないんだったら、靴底は柔らかい方がいいんです。日本の山歩きには、柔らかい靴底の方が適しています。硬い靴を樹林帯ではくと、靴ずれを起こしたり足が痛くなったりしますよ。ウェアにしてもダウンを着る時にレイヤリングしすぎず、下はできるだけ薄着でいい。寒い時には靴下を3枚重ねるより2枚にした方が血行がよくなって結果暖かくなるとか、細かいところがいっぱいあるんですね。『おばあちゃんの知恵袋』のように(笑)」

引用文献
登山ガイド 山田淳 巻頭ロングインタビュー, Magazine for You on The Mountain guddei research, 2010 Autumn, 好日山荘

山岳・山楽・山学



朝NHKで鏡平小屋の壁の絵を紹介していた。山楽、山学、いい言葉だ。
鏡平小屋への地図

2010年9月22日水曜日

はやぶさ

  創痍にて帰郷かなへしはやぶさの最期の使命燃え果つること

2010年9月18日土曜日

牛首山



9月17日(金)晴れ 同行S氏

 8:00  美し森駐車場
 8:15  美し森展望台 1543m
 9:00  羽衣池    1610m
 10:00 賽の川原   1900m
 11:15 牛首山    2280m

途中、真教寺尾根から見る富士山と南アルプスは絶景であった。この前西側から登った権現岳は岩だらけだったが、東側から見ると樹林に覆われている。牛首山の山頂には黒摩利支尊天と書いた石が中程から割れて木に無造作に立てかけてあった。割れ目を合わせ後ろに石を置いて動かないようにした。三人の登山者に出会ったがみな赤岳に向かったのであろう。次回を期す。棒2本と膝のサポーターのお陰で下りでも足は痛くならなかった。S氏は下りで四回ほど転んだり滑ったり、ちょっと彼にはタフだったか。懇願されて、帰りは賽の河原の近くにあるゴンドラ(片道1000円)に乗った。パノラマの湯に入りタッチダウンビール(私はノンアルコール^^;)と蕎麦を食ったら大部彼も元気を回復した。

地図:牛首山
写真提供はGoogle画像検索さん

2010年9月15日水曜日

一茶の連句 七

   せい出して蝶舞へ翌は十五日  相我  春
    朝顔も蒔く春風も吹     一茶  春
   うすがすみほろ味噌うりに始りて ろ芳 春
    車法度と書るかり橋      が
   有明の月にすじかふ壁の穴   春甫  秋月
    なぐさみがてら衣打也     茶  秋
ウ  やよやまて其柿買んよしの馬   茶  秋
    忍ぶたよりに植る松の木    我  恋
   来るとしも古き都になぶられて  甫  恋
    雪でつくねし那古の観音    茶  冬
   世中はたゞ丸かれとなく烏    我
    客の馳走にいぶす豆殻     甫
   湖の月のてら/╲涼しさよ   春和  夏月
    見て居るうちにひらく姫百合 きくと 夏
   鼓打て終に吃を直す也     看薺  
    いせの勅使を送る山駕     我
   仮小屋の貧乏樽に花咲て     茶  春花
    雛の市のはや過にけり     和  春
ナ  鴬にいさゝか鞠を蹴ならひぬ   和  春
    寿永二年の夢がたりして    我
   ねんごろに朝な/╲のかし小袖  甫
    肴の安いみのゝ大垣      茶
   只たのめ草の中でも鐘が鳴    和
    ざぶととび込居風呂の月    我  秋月
   秋風に昔歌舞伎がはやる也    茶  秋
    硯へこぼす刈かやの露     薺  秋
   嬉しさに諏訪の御灯吹けして   我  恋
    妹が名にせようね火香具山   茶  恋
   離家に梓の声の細々と      薺
    しぶ/╲晴る空の夕暮     甫
ナウ 五六人酒塩とりに舟さして    茶
    芥けぶりも春は来にけり    我  春
   たのしさは赤土染の花衣     茶  春花
    茶つみの唄を二ツ覚る     我  春
   暖さうに南下りの片山家     茶  春
    かまくら殿を祭る酉の日    ろ  
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 六

   夕暮や蚊が啼出してうつくしき 一茶  夏
    すゞしいものは赤いてうちん 一瓢  夏
   露しぐれはら/╲松も宝にて   茶  秋
    筆一本に秋は来にけり     瓢  秋
   月かげの翌日は湖水のなきやうに 茶  秋月
    蒲団の下へ草鞋かいこむ    瓢  冬
ウ  西念は願の通りなられたり    茶
    雨の相手にかきたてる灯か   瓢
   桐のはなしのび車を筋違せ    茶  夏恋
    絵かきの袖はひくによごるゝ  瓢  恋
   蕎麦切の寝覚の里に年寄て    茶  秋
    丸くなくとも八月の月     瓢  秋月
   召給へ蛼轡きりぎりす      茶  秋
    しびれさましに河岸へふと出る 瓢
   肥後米の買そこなひを笑はれて  茶
    人にかくして笠に字をかく   瓢
   おほとけの花ことごとく咲にけり 茶  春花
    蒙古追討このかたの東風    瓢  春
ナ  蛤のもれば崩るゝ大座敷     瓢  春
    よい夢見する薬くれたり    茶
   ひとりでも馴れば旅は歩行るゝ  瓢
    あらことごとしつごもりの雪  茶  冬
   膳棚は鼠のものかとばかりに   瓢
    二人がふたり京ぎらひ也    茶
   碁にまけて詠むる空も青くこそ  瓢
    野なら山ならみなころもがへ  茶
   押出す七里の船に素湯焚て    瓢
    南無観世音ありあけの月    茶  秋月
   白露の足はいづれへさし入む   瓢  秋
    伐ことなかれ窓の葛華     茶  秋
ナウ 宗旦が末の弟子とも成たれば   瓢
    深山しぐれのうれぬ日もなし  茶
   をしまれて死るは人のまうけ物  瓢
    そのきさらぎのみごとなる空  茶  春
   うめぼしの核をはうるも花ごゝろ 瓢  春花
    文化八年日暮里の春      茶  春
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

2010年9月14日火曜日

一茶の連句 五

   蝿打てけふも聞けり山の鐘   一茶  夏
    松葉散りうく水のうれしき  乙因  夏
   麻畠ちいさき人の見え初て   成美  夏
    薄きいなづまおちつきもせず 浙江  秋
   乗ものゝ戸をなくしたる月の夜に 因  秋月
    雁鳴門や餅を搗らむ      茶  秋
ウ  風の吹小塩の宿に朝寝せし    江
    古もの買に顔を見しられ    美
   馬の背に十月桜ゆひ付て     茶  冬
    とび/╲濡るゝ枯原の雨    因  冬
   つれづれをおもしろがりて人に恋 美  恋
    軒の瓢は夢にからつく     江  秋
   月にさへ隠す刀を抜て見て    因  秋月
    吉次も参れ秋の志賀山     茶  秋
   竹九本其まゝほしき壁隣     江  
    冷ためしにも花の香ぞする   美  春花
   君が代は奈良鴬も声上て     茶  春
    酔万歳をおくる川風      因  春
二  春霞留守じやと書て張られたり  美  春
    山おかしさに又笛を吹     茶
   搗栗をしろき扇にならべ置    江
    光広どのへ念珠を参らす    美
   茶の花も鶴も久しき在所也    茶
    銭がふる程雪のつのりし    江  冬
   五十日御油の宿屋に病臥て    美
    恋しき外にけぶり立なり    茶  恋
   指の爪噛とて星をかぞへつゝ   江  恋
    家越せばやと月の夜を待    美  秋月恋
   粟酒のはやり初たる笹の露    茶  秋
    きたなく成りしかうろぎの声  江  秋
ナ  玉川を鍋ずみかきに踏こへて   美
    朝から辻に放下はじまる    茶
   状箱をかざして見たる閻魔堂   江
    雨にぬれたる鶏盗むらん    美
   百年も一人寝て見る花植て    茶  春花
    鼠のへらす春のうちまき    江  春
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 四

   蛙なくそば迄あさる雀かな   成美  春
    春めくものに門で薪をわる  一茶  春
   旅人の小雨にかすむ顔見へて   美  春
    かさごの安き浦のおもむき   茶
   階子貸す騒ぎも過て小夜月    美  秋月
    木履をはけばきりぎりす鳴   茶  秋
ウ  清澄の堂の油の秋も尽      美  秋
    肱一尺の総や染らん      茶
   もどりには首に引まく小鳥罠   美
    行灯めぐりて春を待つとか   茶  冬
   粕汁にむせかへる程泣出して   美  冬
    うそつかぬ木を立しあさぢふ  茶
   する事の何にもなさに百合の咲  美  夏
    けたゝましさよ入梅の夕月   茶  夏月
   筆とりの大津の長に名を問れ   美
    鈴ふらぬ日ぞ嬉しかりける   茶
   死ぬ事のなくばなをさら春の花  美  春花
    わり竹しめす水のやまぶき   茶  春
二  菅笠をきればすぐさま東風の吹  ゝ  春
    三輪の餅屋に見しられにけり  美
   檜さす弥勒祭の鐘なりて     茶
    ぬれて菖蒲を人跡にふく    美  夏
   二の宮の御意そむかねど先涙   茶
    射散らす鏑矢拾ひ人もなし   美
   高砂は榎の声もなつかしく    茶
    寺にも寝たる細きあきなひ   美
   名月の一年ましに寒うなり    茶  秋月
    松葉にまじるはらゝごの塩   美  秋
   萩の露目へさし消やすおもしろさ 茶  秋
    鹿島の舟にかるたうつらん   美    
ナ  方々にまな板たゝくむ月とて   茶  春
    淡雪そふる紙子浪人      美  春
   五六本寝て見る花の目利せん   茶  春花
    鋸借に扉たゝくか       美
   初霜の瓶の中迄夜は明て     茶  冬
    もろこし舟に身をたとへけり  美
   
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 三

   枯葎かなぐり捨もせざりけり  一茶  冬
    月も出よとたゝく納豆    双樹  冬
   むら烏染物取に棹さして     ゝ
    遅い梅さへほと/╲とちる   茶  春
   朔日の薄縁めくる春霞      ゝ  春
    綿を蒔ても井戸掘が来ぬ    樹  春
ウ  燈灯に牡丹餅ほどの紋書て    樹
    紫陽花咲ば粕漬をうる     茶  夏
   ぬすまれし子猫二ツにねそびれし 樹
    嵯峨の松葉をいぶす村雨    茶
   槻の臼たゝいて何か唄ふらむ   樹
    別の月の鼻先に出る      茶  秋月
   蒲生の穂の少し散ても秋なれや  樹  秋
    仏の柿をひとつふるまふ    茶  秋
   朝日陰たま/╲寺に土こねて   樹
    宰相どのゝ鑓みゆる也     茶
   旅寝せよ野はさまざまの花の雪  樹  春花
    鍋つゝかけて娵菜をぞつむ   茶  春
二  場ふさげにたが竹削る春の末   ゝ  春
    里にかぶさるかゞの白山    樹
   風呂敷の御骸にかゝる横時雨   茶  冬
    仮のけぶりの低き行燈     樹
   いさゝかな隙をぬすんで打粧ひ  茶
    さら/╲竹の薮蚊にくがる   樹  夏
   真桑めせ伊豆の島までみゆるなり 茶  夏
    仏掘たる跡にあさら井     樹
   菊の露薄紙染る淋しさに     茶  秋
    破たひさしも月は嬉しき    樹  秋月
   はつ雁に風呂のたつらん鐘鳴て  茶  秋
    薬ぎらひが松をたはめる    樹
ナ  君が代の旅に出かける小鍋売   ゝ
    蚤の湧かぬ守ある家      茶  夏
   酒壷の欠を大事に持古し     樹
    今木因と人のいふらむ     茶
   蒟蒻の苞をかけたる花の枝    樹  春花
    露うつくしき草の萌際     茶  春

引用:『一茶の連句』高橋順子 

一茶の連句 二

   正月の子どもに成て見たき哉  一茶  春
    兎をつくれ春の初雪     樗堂  春
   山かぜの末は柳に嵐して     ゝ  春
    雲横をれし日の出詠る     茶
   又立ていづこの月のこも枕    ゝ  秋月
    人にならへと笛呉し秋     堂  秋
ウ  気がゝりの事ある露の宿なれや  ゝ  秋
    物ぬひさして燈火を消す    茶  秋
   鉢たゝき木履の音の行過て    堂
    師走の空と成すましたり    茶  冬
   向直る病眼を袖におし拭ひ    堂
    君の御事ばかり尋ねて     茶
   かゝる時野分の月の打曇     堂  秋月
    鐘竪よこにうねる萩原     茶  秋
   塩苞の背に冷々こぼれけり    堂  秋
    夢見しやふに酒のさめ際    茶
   ぬつぺりと真昼の花の天気にて  堂  春花
    峰かふもとか螺の聞ゆる    茶  春
二ヲ 覗くとて蜂にさゝれし小柴垣  麦士  春
    髭にくむとはしらず恋する   堂  恋
   夜夜中燗鍋の下吹付て      茶
    馬を葬るかた浦の月      士  秋月
   太刀佩し男木槿を踏撓め     堂  秋
    袖に払ふて梨子を参らす    茶  秋
   西むきし窓は昔のあみだ坊    堂
    だまつて居るがおもしろき日や 茶
   二親の不得心なる妻呼て     堂
    他の休むに何を田へ出る    茶
   草の上ほつ/╲蚤を捻り捨    堂  夏
    はやき泊のこゝろ涼しき    茶  夏
ナウ 呪にさつぱりとれし魚の骨    堂
    無尽の銭を提て立るゝ     茶
   春の夜の暮るゝとすれば初夜なりて堂  春
    風呂にびた/╲さわる款冬   茶  春
   馴染あるむつ田は花の這入口   堂  春花
    喜六がよみし山はあの山    茶
   

引用:『一茶の連句』高橋順子 

2010年9月13日月曜日

一茶の連句 一

  冬  初雪や畳の垢の目にかゝる    春耕
  冬   一市過てむら千鳥鳴      一茶
  春  舞々が迹のまひから春立て    同
  春   倒れし梅を人にみらるゝ    成布
  春月 むもれ水おぼろ月夜となるままに 春
  春   笠の祝ひの餅やつくらん    茶
ウ    魚買に越の女の馬引て      布
      赤い御門の昔恋しき      春
  夏  蚊やり火に草をかぶせてしのぶ也 茶
  夏   ばらばら雨にひらく夕顔    春
     鶏の嘴より起る小いさかひ    茶
      けふはから手でもどる乞食   布
  秋月 島舟にきよろりと月のさしかゝり 春
  秋   庭一ぱいに木実ひろげる    茶
  秋  吹風にこゝろ冷つく遠ぎぬた   布
      三かさの山のうつくしき形り  春
  春花 はつ花のちる日/╲を侘ならひ  茶
  春   蝶もとべよと芝に眠れる    布
ナオ春  雲雀鳴名古屋へ駕の値が成て   茶
      幕のうちなる声のやさしき   布
     朝々の膳に涙のかゝる哉     茶
  冬   丗日神楽に交る木がらし    布
     一里は貢の菰の荷拵ひ      茶
      長と呼れて酒をたふるゝ    布
  夏  涼しさは菊も見事に咲にけり   茶
      榎の虻のつかむ程なく     布
     親もたぬ児のづんづと伸過て   茶
      後の咄に豆煎を出す      布
  秋月 少づゝさむく成たる宵の月    茶
  秋   たゞ四五人の踊也けり     布
ナウ秋  大葡萄ぶどうの番の念仏して   知一
      駿河だよりにかへすかな槌   茶
     夕鐘の片々暮て水明り      同
      薮のあちらに家鴨おひ込    布
  春花 塩からき団子の砂も花の山    一
  春   三月七日陽炎の立       茶     

引用:『一茶の連句』高橋順子 
『連句のたのしみ』の著者。一茶が一座した250巻の連句のうち6巻を評釈する。底本は『一茶全集 第五巻』信濃毎日新聞社。ちなみに芭蕉が生涯で一座した連句は340巻、蕪村112巻。

2010年8月25日水曜日

借りぐらしのアリエッティ


抜擢された若い監督と宮崎駿の葛藤についてテレビでやっていたやつだ。最近のジブリ作品はストーリー性が弱くなってしまっていたが、ストーリーはわかりやすいというか単純だ。絵はさらに進化している。小人の少女と病弱な少年の純"愛"はせつなく、美しく、さわやかだ。ただ、映画が終わって誰も席を立たなかったのは、感動もあるだろうが、これで終わり?というものたりなさもあったのではないか。小人の家族が引っ越して終わりではなく、もう一山あってハッピーエンドとなれば文句ないかも知れない。

2010年8月23日月曜日

八ヶ岳権現


8/21夜、FM八ヶ岳(82.1MHz)で興味深い話を聞いた。山岳信仰の対象としての八ヶ岳には赤岳は含まれず、権現岳が八ヶ岳信仰の中心であった。権現岳の峰のひとつで今、擬宝珠(ぎぼし)と呼ばれている峰は昔、阿弥陀岳と呼ばれていた。赤岳の西隣にある阿弥陀岳とは別の山という。また権現岳自身も昔、薬師岳と呼ばれていたとも。

参考:八ヶ岳信仰1 八ヶ岳信仰2

写真提供はフォト蔵さん

2010年8月22日日曜日

2010夏 山居 

7/20~8/22

草原をそよ風わたる雲の峰
隣人の出掛ける音や閑古鳥
草刈で在宅を知る山廬かな
刈草のけむりにむせる青田かな

ぬばたまの月はあまねし木の間より木下闇なる草の庵にも
あしひきの山ほとヽぎすまた来鳴け十日前には聞きしてふ人

土砂降りの雨に飛び込む蕎麦屋かな  8/6瑞牆山

縞枯るる山や霧湧く天の庭      8/7坪庭ー白樺湖

警告と聞かずあたまに鶴の糞
わくらばの降るや射し初む陽の光

山の辺にかかる雲なしほととぎす    8/17(火) 快晴 7:00 7:32 山廬の森でほととぎすが三、四度鳴いた。待望の一大事。今日は絶好の山行日和だ。

編笠岳・権現岳



8/13(金)

5:28 観音平 すでに駐車場はいっぱいだがひとけはない。  

   37(1:00、50) 一人登山道へ。ペア一組を抜く。 

6:05 雲海 日の出を待つ富士山が雲海に美しく聳えている。

  32(35) ペアを抜く。

6:37 押手川 川は見えない。平坦な所で青年小屋への分岐点でもある。

  1:06(1:20、1:15) ペアを抜く。若者三人組につき山頂へ。年配の女性二人組は
   もう帰りのようだ。

7:43 編笠岳(2524m) 濃霧強風

  19(20) 年配の男性について岩塊の上を一気に下る。

8:02 青年小屋 小屋の中に数名、外に一名。 西岳が間近に見える。

  1:09(1:30) 先陣をきってスタート。 尾根に出ると霧の強風。 急登、岩場、鎖場
   がつらい。

9:11 権現岳(2715m) 濃霧強風

  46(1:10) 権現へ向かう年配の方、ペア、若者三人組、若者一人に出会う。

9:57 青年小屋 声の大きい団体が写真をとっていた。 女子中高生の4人組もいる。

  1:08(55) その団体についてまき道で帰途へ。

11:05 押手川 下りで右膝をやられたようでとても痛い。かばいつつ下山。その分時間が掛かった。膝のテープかサポーターがほしい。

  40(40、25)

11:45 雲海

  50(45、35)

12:35 駐車場

  ( )はガイドブックの標準時間

ほとんど休みらしい休みをとらなかった。権現への岩場でそのつけが来た。 南側は見通しがいいが北側と山の上は濃霧強風。年配の方は権現から赤岳に行くと言っていた。泊るそうなので大丈夫だろう、ご無事で。

次回欲しいもの
 登山用ひざサポーター or 開き気味で緩む右足の使い方の改善
 上着 速乾で軽いもの
 手袋 軍手でもいい

ネットから借用した写真、ガスってなければこう見えたのか。

2010年7月17日土曜日

百韻『近づいて』の巻


#jrenga 連歌 俳諧 連句

       百韻『近づいて』の巻
                    2010.6.27〜7.16

1 発句  近づいてはなれて静か花菖蒲    百  夏
2 脇     曇天低くつばめ飛び交ふ    春蘭 夏
3 第三  古里へ先を急がぬ旅をして     百
4       高速降りて寄る道の駅     草栞
5     仕訳け人これでいいのだ野菜買う  百
6       見てくれよりも中身肝心    蘭
7     月ならで餡を気にせり三笠山    栞  秋月
8       鹿に聞き入る留学の僧     百  秋 
ウ 
9     忍草便のなきままうち過ぎて    蘭  秋
10      見合話に心乱れる       栞  恋
11    任務あり封印をする恋心      百  恋
12      生還むなし君は人妻      蘭  恋
13    熱情も消え復讐の鬼となり     栞  恋
14      色即是空ついに悟れり     百
15    地球とて宇宙の隅の星の屑     蘭
16      ジャズナンバーを聴けば月冴ゆ 栞  冬月
17    誰彼と踊りあかして忘年会     百  冬
18      蝋燭の赤ひとり点して     晶子
19    妖怪も驚くほどの貧に堪へ     蘭
20      楽しみながら摘み草をする   百  春
21    乙女らも花見の宴に加はりぬ    栞  春花
22      若い衆競ひすすむ独活和へ   蘭  春
二オ
23    遠足の弁当褒めてくれるかな?   栞  春恋
24      彼と同班A子きがかり     蘭  恋
25    逢引を見つけ手紙を破り捨て    栞 (恋)  
26      七夕飾りと川面へ流す     晶子 夏
27    骨肉の貸し布施銭と鳧つけて    蘭  夏
28      簿外資産は帳消しとなり    栞
29    送金は地下銀行の口座より     百
30      まじで夢見る世界征服     蘭
31    秋葉系軍事オタクの成れの果て   栞
32      夜の半仙戯腰掛けたまま    百  春
33    おぼろ月単身赴任はまだ三日    蘭  春月
34      ミモザ満開ブローニュの森   百  春
35    ピクニック名画真似して草の上   栞
36      打ちそこないもまじる鐘の音  蘭
二ウ
37    人妻と夕べのミサで偲び逢う    百  恋
38      偽りの愛悛ひて涙す      栞  恋
39    ふたまたの相手は彼があまたにて  蘭  恋
40      我にかえれば水澄めるなり   百  秋
41    息あがり足はあがらぬ秋の山    蘭  秋
42      木の実拾ってシノアな部屋に  百  秋
43    廻り込む嫦娥の影もやはらかく   栞  秋月
44      あるかなきかに光る哀れ蚊   蘭  秋
45    口蹄疫の伝播おさまる宮崎県    百
46      千々の想ひは国に届くや    栞
47    ほんたうの攘夷は力をつけること  蘭
48      入学試験湯島で祈願      百  春
49    花便り隣の絵馬の友と聞く     栞  春花
50      今年はまれな山の残雪     蘭  春
三オ
51    ほととぎす棚田を広く輝かす    百  夏
52      ザリガニ捕りに子らは夢中で  栞  夏
53    名栗川をちこちけぶるBBQ     蘭  夏
54      巨樹名木を知る人ぞ知る    百
55    山道に色づく木々を見あげたり   晶子 秋
56      簑虫の鳴く庵寂しき      栞  秋
57    月と酒きどる孤高の友とせむ    蘭  秋月
58      畳一枚起きてもひとり     百
59    逆玉に憧れつつも当てはなし    栞
60      だんだんゆるくなりし条件   蘭
61    蕎麦打ちの弟子入り修行達磨いて  百
62      匠の技に手も足も出ず     栞
63    名物の茶杓写して削る竹      蘭
64      囲炉裏開きて煤竹作る     百  冬
三ウ
65    垢落し柚子湯に浸かり一磨き    栞  冬
66      大志秘めたるひなの美丈夫   蘭
67    意気込みは直木賞などうららけし  百  春
68      佳人麗句に募る春興      栞  春(恋)
69    花見でも世紀の恋の話題にて    蘭  春花恋
70      愛の館を出るに出られず    百  恋
71    望郷の念掻き立てに父来る     栞
72      えんぴつ書きの母の仮名ぶみ  蘭
73    恙なく御身おらせよ月清か     百  秋月
74      天子に捧ぐ処暑の挨拶     栞  秋
75    はとバスのガイドの健気身に入みて 蘭  秋
76      訳あり部屋でがまんしており  百
77    サッカーも淋しく一人ビューイング 栞
78      矢鱈声出し小腹減りけり    蘭 
名オ
79    着膨れておでんを買いにコンビニへ 百  冬
80      いつもの彼女いるクリスマス  栞  冬(恋)
81    異端では花嫁といふマグダレネ   蘭  恋
81    さだかなる固めなきまゝ許嫁    蘭  恋
82      ふかーくあいしながくつれそう もも 恋
83    浅はかにゑひて約束するなかれ   栞
84      揚げ足とって煽るマスコミ   蘭
85    八本をすべて当てれば文句なし   栞
86      片肌脱ぎの立射凛々しき    蘭     
87    ロビンフッド今ぞ恨みの矢を放つ  も
88      のさばる悪は仕置するまで   栞
89    謹慎じゃぁ痛くも痒くもないだろう 蘭
90      後の出替りしたばかりでは   も  秋
91    ありがたく月見団子を頬ばりて   栞  秋月
92      雑草ガーデンすだく虫の音   蘭  秋
名ウ
93    髪染めてゴールド免許スピード狂  も
94      助手席降りて脚がふらふら   栞
95    テイクオフ!セスナでめぐる珊瑚礁 蘭
96      何時か行きたい夕陽ながめに  も
97    暮れなずむ街はずれより戻り来て  栞  春
98      休耕田に雉子みえかくれ    蘭  春
99    初花の見まごうばかり朝日出で   も  春花
挙句      お蔭参りの支度整ふ      栞  春   

百韻『長廊下』の巻


#jrenga 連歌 俳諧 連句

       百韻『長廊下』の巻
                   2010.6.30〜7.17

1 発句 長廊下ごとりと寝入る蝉時雨    夏  がじゅまる
2 脇    まづは木の葉の告げる夕立   夏  私 
3 第三 さくさくと足下かろき遊歩道       彼郎女
4      更待月を待てど空しく     秋月 玄碩
5    子と共に食ひ尽くしたる栗や豆   秋  氷心
6      テストパターン映る朝寒    秋  不夜
7    目で追うも影だけ残すジョウビタキ 秋  海霧
8      笛に誘はれ行く村芝居     秋  草栞

9    越後獅子山路ふみわけ急ぎをり      百
10     思ひのほかに遠き鞍馬よ       私
11   繰り返すGPSの合成音         不夜
11   好いひとを雪がへだてる露天風呂  冬恋 氷心
12     ここにいるわと氷柱で合図   冬恋 栞 (両句に)
13   囚われし姫居る塔の朧なる     春恋 がじゅまる
14     リボンの騎士の駆るは若駒   春  不夜
15   シチリヤの花を散らしてタンクレディ 花 百
16     いづれしぶさのよさわかるらん    私
17   舌でなく喉で飲めとや缶ビール      私
17   古道具素性は実はゴミの山        私
18     汗の一日終へて腑抜けに    夏  不夜(両句に)
19   竹婦人冷たくなって待ってます   夏  百
20     夫はわたしに母をみてゐる      私
21   書斎より計ったやうにお〜いお茶     不夜
22     依存体質変へるのは骨        私
二オ
23   我が祈願キャリーオーバー年越して 新春 私
24     リターンマッチを誓ふ松すぎ  新春 不夜
25   東風吹きてやけ棒杭に火が点きて  春恋 がじゅまる
26     嬉し恥ずかし老いらくの恋   恋  玄碩
27   さりげなく統一感でペアルック   恋  私
28     時に訪ねる阿吽の仁王        海霧
29   あをによし寧楽の都の遷都祭       栞
30     バス乗り継いで自転車を借り     百
31   岩鼻に我も真似せむ月の客     秋月 不夜
32     おもはず口に尾花一本     秋  私
33   騙し合ひ果てるともなく露に濡れ  秋  栞
34     先陣競ふ生食磨墨          百
34     素鞍の青を包む朝霧      秋  氷心
35   満々と長江の面冬近し       秋  海霧
36     租界守れと並ぶ砲艦         不夜
二ウ
37   楽しみは夕食後の酒保開け        氷心
38     外人部隊明日を知らざり       不夜
38     無礼講ゆめこころ許すな       私
39   いずこより機密事項が洩れたやら     彼郎女(両句に)
40     なりすましには注意あそばせ     栞
41   あめんぼうおのれは蜘蛛か馬なのか 夏  氷心
42     青鷺じつと池面うかゞふ    夏  私
43   夏暁の陽昇るごとくに立ちにけり  夏  がじゅまる
44     揃ひの寝巻きで宿前の浜       私
45   号令は竹刀片手の鬼コーチ        不夜
46     家に帰れば満点パパで        百
47   逢引を重ね浮名を流したり     恋  栞
48     わが子の父は妻の愛人     恋  蘭
49   あらだてゝ地獄見るより知らんぷり    私
50     浮世くらませ散る花の蔭    春花 がじゅまる
三オ
51   猫の子と遊ぶ画伯は坊主刈     春  不夜
52     老いの春にて娶る新妻     春  私
53   婿殿も紋付袴新調し        恋  百
53   末の児も無事に大学卒業し     春  彼郎女
54     期待ふくらむデジタルネイティブ   栞
55   飯だけは三度三度を定時刻        氷心
56     切羽詰まればわざと懲役       私
57   網笠の瓶底めがね枯野行く     冬  不夜
58     しぐれてなにも見えぬふるさと 冬  氷心
59   洋館の裏にはたしか詫助が     冬  海霧
60     主人なき庭色々の満つ        がじゅまる
61   ゆふされば蛍の生ふるやへむぐら  夏  私
62     飽かず眺むる短夜の月     夏月 栞
63   あがひざを枕にをとこねまるなり  恋  氷心
64     縁と思へばにくさいとしさ   恋  不夜
三ウ
65   じゃじゃ馬を馴らしたはずが馴らされて  私
66     老舗の系譜婿の代々         がじゅまる
66     カウボーイもとメジャーリーガー   不夜
67   仕込まれて大食いになり廃業す      百
68     どすこい根性役に立つらん      私
69   雨のたび崩れし巣口なほす蟻    夏  私
70     賽の河原に積む石の数        不夜
71   すれ違ふツアー登山の列長く       私
72     日もとっぷりと暮れ道遠し      栞
73   独り身のどこか落ち着くネットカフェ   百
74     作家きどりでリレー小説       私
75   入力の画面に落花二三片      春花 不夜
76     朧な松に一句つぶやく     春  私
77   望の夜に手枕なんて夢ばかり   春月恋 栞
78     汝れ酔ひつぶれ我れゑひもせず 恋  私
名オ
79   常になく愛い奥さんは超肥えて   恋  氷心
80     神に捧げるフラは海辺で       海霧
81   豊年の来る方より風の吹く        がじゅまる
82     季節感なき市の食材         不夜
83   もちまるめ万作祝ふも雑のうち?     千
84     幕間芸にて人間国宝         私
85   なにごとも日々精進の積み重ね      私
86     滅私奉公報はれずとも        栞
87   我が命ささげ今さら悔ひもせず      彼郎女
88     ゲリラ豪雨のメール警告       百
88     大海となれ一滴の水         私
89   オフィス街色とりどりの傘の行く     不夜(両句に)
90     あしもとみつつわれつゆ知らず    がじゅまる
91   「満月が綺麗ですよ」とメールあり 秋月 彼郎女
92     秋の七草葛たらずとも     秋  百
名ウ
93   荻のこゑせめて飾らん庵の床    秋  私
94     名残を惜しむ風炉もやつれて  秋  栞
95   入院をあすに控えた日曜日        氷心
96     空気察すや猫のまつはる       私
97   公園の植ゑ込みまでも花筵     春花 私
98     風船売の声はハスキー     春  不夜
99   春泥は子犬を抱いて初散歩     春  百
挙句     空見上ぐれば鳥雲に入る    春  彼郎女(執筆)

2010年7月12日月曜日

民愚愚民

民主党も、民衆も、マスコミに煽られふらふら踊らされ、共に愚だなと、民愚愚民という造語が頭に浮かんだ。用例はないかネットをサーチしたら、若干ニュアンスは違うが中国のサイトがヒットした。『愚民与民愚』

   『愚民与民愚』 愚民と民愚

愚民日久致民愚 愚民は日久しく民愚を致らしむ
民愚转而兴愚民 民愚は転じ而して愚民を興す
愚民民愚携手进 愚民と民愚は手を携えてほとばしる
咄咄怪事一特色 咄咄怪事の一特色は
皇帝万岁百姓醉 皇帝万歳と百姓は酔ひ
代代相传育奴性 代々相傳し奴性を育てること
民主之路何难寻 民主の路は何と尋ね難きや
酱缸文化挡前程 醤缸文化は前程を覆い隠す

注:咄咄怪事(とつとつかいじ) :非常に奇怪でけしからぬこと
  奴性(ぬーしん(中国よみ)):奴隷根性
  醤缸(しょうこう)     :味噌がめ(伝統・慣習の象徴)
  前程(ぜんてい)      :行く先、前途、将来

連歌百韻『近づいて』の巻


#jrenga 連歌 俳諧 連句

       百韻『近づいて』の巻
                   2010.6.27〜7.16

1 発句  近づいてはなれて静か花菖蒲    百  夏
2 脇     曇天低くつばめ飛び交ふ    春蘭 夏
3 第三  古里へ先を急がぬ旅をして     百
4       高速降りて寄る道の駅     草栞
5     仕訳け人これでいいのだ野菜買う  百
6       見てくれよりも中身肝心    蘭
7     月ならで餡を気にせり三笠山    栞  秋月
8       鹿に聞き入る留学の僧     百  秋 
ウ 
9     忍草便のなきままうち過ぎて    蘭  秋
10      見合話に心乱れる       栞  恋
11    任務あり封印をする恋心      百  恋
12      生還むなし君は人妻      蘭  恋
13    熱情も消え復讐の鬼となり     栞  恋
14      色即是空ついに悟れり     百
15    地球とて宇宙の隅の星の屑     蘭
16      ジャズナンバーを聴けば月冴ゆ 栞  冬月
17    誰彼と踊りあかして忘年会     百  冬
18      蝋燭の赤ひとり点して     晶子
19    妖怪も驚くほどの貧に堪へ     蘭
20      楽しみながら摘み草をする   百  春
21    乙女らも花見の宴に加はりぬ    栞  春花
22      若い衆競ひすすむ独活和へ   蘭  春
二オ
23    遠足の弁当褒めてくれるかな?   栞  春恋
24      彼と同班A子きがかり     蘭  恋
25    逢引を見つけ手紙を破り捨て    栞 (恋)  
26      七夕飾りと川面へ流す     晶子 夏
27    骨肉の貸し布施銭と鳧つけて    蘭  夏
28      簿外資産は帳消しとなり    栞
29    送金は地下銀行の口座より     百
30      まじで夢見る世界征服     蘭
31    秋葉系軍事オタクの成れの果て   栞
32      夜の半仙戯腰掛けたまま    百  春
33    おぼろ月単身赴任はまだ三日    蘭  春月
34      ミモザ満開ブローニュの森   百  春
35    ピクニック名画真似して草の上   栞
36      打ちそこないもまじる鐘の音  蘭
二ウ
37    人妻と夕べのミサで偲び逢う    百  恋
38      偽りの愛悛ひて涙す      栞  恋
39    ふたまたの相手は彼があまたにて  蘭  恋
40      我にかえれば水澄めるなり   百  秋
41    息あがり足はあがらぬ秋の山    蘭  秋
42      木の実拾ってシノアな部屋に  百  秋
43    廻り込む嫦娥の影もやはらかく   栞  秋月
44      あるかなきかに光る哀れ蚊   蘭  秋
45    口蹄疫の伝播おさまる宮崎県    百
46      千々の想ひは国に届くや    栞
47    ほんたうの攘夷は力をつけること  蘭
48      入学試験湯島で祈願      百  春
49    花便り隣の絵馬の友と聞く     栞  春花
50      今年はまれな山の残雪     蘭  春
三オ
51    ほととぎす棚田を広く輝かす    百  夏
52      ザリガニ捕りに子らは夢中で  栞  夏
53    名栗川をちこちけぶるBBQ     蘭  夏
54      巨樹名木を知る人ぞ知る    百
55    山道に色づく木々を見あげたり   晶子 秋
56      簑虫の鳴く庵寂しき      栞  秋
57    月と酒きどる孤高の友とせむ    蘭  秋月
58      畳一枚起きてもひとり     百
59    逆玉に憧れつつも当てはなし    栞
60      だんだんゆるくなりし条件   蘭
61    蕎麦打ちの弟子入り修行達磨いて  百
62      匠の技に手も足も出ず     栞
63    名物の茶杓写して削る竹      蘭
64      囲炉裏開きて煤竹作る     百  冬
三ウ
65    垢落し柚子湯に浸かり一磨き    栞  冬
66      大志秘めたるひなの美丈夫   蘭
67    意気込みは直木賞などうららけし  百  春
68      佳人麗句に募る春興      栞  春(恋)
69    花見でも世紀の恋の話題にて    蘭  春花恋
70      愛の館を出るに出られず    百  恋
71    望郷の念掻き立てに父来る     栞
72      えんぴつ書きの母の仮名ぶみ  蘭
73    恙なく御身おらせよ月清か     百  秋月
74      天子に捧ぐ処暑の挨拶     栞  秋
75    はとバスのガイドの健気身に入みて 蘭  秋
76      訳あり部屋でがまんしており  百
77    サッカーも淋しく一人ビューイング 栞
78      矢鱈声出し小腹減りけり    蘭 
名オ
79    着膨れておでんを買いにコンビニへ 百  冬
80      いつもの彼女いるクリスマス  栞  冬(恋)
81    異端では花嫁といふマグダレネ   蘭  恋
81    さだかなる固めなきまゝ許嫁    蘭  恋
82      ふかーくあいしながくつれそう もも 恋
83    浅はかにゑひて約束するなかれ   栞
84      揚げ足とって煽るマスコミ   蘭
85    八本をすべて当てれば文句なし   栞
86      片肌脱ぎの立射凛々しき    蘭     
87    ロビンフッド今ぞ恨みの矢を放つ  も
88      のさばる悪は仕置するまで   栞
89    謹慎じゃぁ痛くも痒くもないだろう 蘭
90      後の出替りしたばかりでは   も  秋
91    ありがたく月見団子を頬ばりて   栞  秋月
92      雑草ガーデンすだく虫の音   蘭  秋
名ウ
93    髪染めてゴールド免許スピード狂  も
94      助手席降りて脚がふらふら   栞
95    テイクオフ!セスナでめぐる珊瑚礁 蘭
96      何時か行きたい夕陽ながめに  も
97    暮れなずむ街はずれより戻り来て  栞  春
98      休耕田に雉子みえかくれ    蘭  春
99    初花の見まごうばかり朝日出で   も  春花
挙句      お蔭参りの支度整ふ      栞  春   

※同じ番号の句はことわりがなければ最後の句に次の番号の句が続いたことを示す。
千句:十百韻の第二百韻

  オ  123456月8       (1〜8)
  ウ  12345678月012花4 (9〜22)
  二オ 123456789012月4 (23〜36)
  二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
  三オ 123456789012月4 (51〜64)
  三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
  名オ 123456789012月4 (79〜92)
  名ウ 123456花8       (93〜100)

式目  
作法:正風芭蕉流準拠十カ条 

写真提供はフォト蔵さん

2010年7月5日月曜日

守武『誹諧独吟百韻』への評

守武『誹諧独吟百韻』への評 
          in 金子金次郎『連歌俳諧集』日本古典文学全集

「次に百韻としての行様を見ると、大綱として本連歌に準じてはいるもののきわめて自由である。それに顕著なことは雑の句の多いことで四割を占める。俳諧句の当然の傾向ではあるが、雑の句ばかりが続いて、その意味で変化に乏しい恨みは免れない。

三句の移りになると、まま本説三句にわたって重くなるものがある。付合になると詞付が多い。また一句として独立せず、前句との関連ではじめて叙述を完結するような句の多いことも目につく。

しかし一方では、庶民的な心情を引き出すもの、場面に劇的要素を加えるもの、会話的な付合になるものなど、俳諧なればこその変化に富んだ付合も見られる。」
  
  松やにはたゞかうやくの子日哉 
    かぜはひくとも梅にほふころ
  春寒み今朝もすゝ鼻たるひして

2010年7月2日金曜日

連歌千句は三日

千句=百韻十巻

初日三百韻 中日四百韻 三日目三百韻(追加一巻)

発句は、通例四季とし、春三句、夏二句、秋三句、冬二句。追加は当季。(注:俳諧の守武千句、正章千句もその形式を踏襲している。)また、十巻ともに花あるいは月の句を発句とした花千句、月千句などもある。

引用文献:
 『守武千句注』飯田正一編、古川書房、1977年

俳諧の独立宣言だった守武千句の跋

#jrenga 連歌 俳諧 連句

守武千句

  跋

【右誹諧は、そのかみどくぎん千句立願ありけれど、うちまぎれ、又は成がたく過しけるも、そらおそろしく、いかゞはせんの余りに、鬮(くじ)をとるべきに、一ならばもとより、二ならばはいかいのあらましごとにて、哀れ二をりよと念じければ、二をりぬ。】

 解釈:(右の俳諧の経緯を述べる。以前、独吟千句を立願したことはあったが、日々うち紛れ、また出来そうもないと過してきた。空恐ろしくもあり、どうしようか思いあまって神意をうかがった。一なら成就しない、二なら俳諧の念願成就するとして、どうか二が下るようにと念じたら二が下った。)

【有がたさ限なく、大かた千句は三日なれば、これわづかに二日にもたらざらんに、おもひの外に永びき、夜はね覚がちにもよほし、かのえさるには二百いんにて、五日につゞりぬ。】

 解釈:(成就するであろうと神意が下りその有り難さは限りない。連歌千句は大方は三日の興行である。俳諧なら二日で十分だろうと思ったが、思いのほかに長引いて庚申の日は二百韻、全部で五日かかった。)

【其おりふしにや有けん、周桂かたへ、「此道の式目いまだみず、都にはいかん」と、大かたのむねたづねしかば、「かゝる式目は、予こそさだむべけれ。定めよ。其を用ふべきの」ざれたる返事くだりあはせ、さらば此度斗(ばかり)心にまかせんと、所にいひならはせる俗言、わたくしびれたる心詞、一向はうほつ、うつゝなき事のみもなれど、あまたの中なれば、うすくこく打まぜけり。】

 解釈:(その折だったか、周桂に「俳諧の式目をまだ見ないが、京ではどうか」と大方の状況を尋ねたところ、「そういう式目は、あなた(守武)が定めるべきだ。定めなさい。そうしたらそれをこっちも利用しますよ」と戯れた返事だった。じゃぁ今度ばかりは自分の心にまかせ土地土地の俗言と自己一存の心と詞で詠もうと考えたものの、一向にはっきりとしなかった。千句という数多い句の中では、その方針をあるときはうすくあるときはこくとうち混ぜて詠んだ。)

【さて、はいかいとてみだりにし、わらはせんと斗はいかん。花実をそなへ、風流にして、しかも一句たゞしく、さておかしくあらんやうに、世々の好士のをしへ也。此千句は、其をもとぢめず、とくみたし度き初一念斗に、春秋二句結びたる所も有ぬべし。されども、正風誰人の耳にも入るまじきに、いさゝかもきこえん、はからざるさいはいならん哉(や)。】

 解釈:(さて、俳諧と言ってみだりに、笑わそうとばかりするのはいかがであろうか。花実(詞・心)をそなえ風雅で一句として正しく(独立して意味がわかり、前句に付いている=前句と二句一連の短歌として意味が通じる)した上で、おもしろいように詠むべしと先人の連歌師たちも教えている。しかし、この千句ではそれを全体にわたって、し遂げ詠んだわけでもない。早く千句の結果がみたいという初一念ばかりが先行し、春秋が二句で終わった所もあるだろう。しかし、正風というものは誰の耳にも入るわけではなく、そういう人達にはこういったことはすこしも理解できないだろうから、自分の不行き届きに気付かれず、望外の幸いなのかも知れない。)

【其うへ、ふんこつの妙句なきにしもあらず。又さしあひも、時代によるべきにや。しいてなをさんも、しうしんいかゞ也。然るに、はいかい何にてもなきあとなしごとゝ、このまざるかたのことぐさなれど、何か又世の中其れならん哉。本連歌に露かはるべからず。大事ならん歟(か)。】

 解釈:(その上、渾身の妙句は中にないこともない。また指合いも時代によって違うであろう。無理に去り嫌い等の式目を適用して句を直すことに執着するのもどうであろうか。俳諧は連歌の余興の取りとめないもので言い捨てるべきものという、私には好ましくない言葉があるけれども、どうしてまた世の中の大勢もそうなのだろうか。俳諧は連歌の付け足しの余興ではなく、また連歌に置き換えられるものでもない。俗言による連歌として独立した大事なものなのである。)

【兼載このみにて、心ものび、他念なきとて、長座には必ずもよほし、庭鳥がうつぼになると夢をみせ、むこ入りに一つばしをわたり、宗碩は文かよはしの自讚に、入あひのかねをこしにさし、宗かんよりたびたび発句などくだし侍り。近くは宗牧一二座忘れがたく、其らをたよりにて、おもひよる事しか也。追加五十いんおほけれど、祇公三嶋にて千句二おりを、おもひいづるものならし。】

 解釈:(兼載は、俳諧が好きで心ものびのびと雑念が入らないと長い座では必ず催し、

  こころぼそくもときつくるらん/庭とりがうつぼになるとゆめにみて (犬筑波)
  あぶなくもありめでたくもあり/むこいりの夕べにわたるひとつばし (同)
 と詠み、宗碩は、
  ほんには人のかよふたまづさ/むかしよりその文月のこひのみち   (同)
  けふのくるるとかへるばんじやう/山寺のいりあひの鐘をこしにさし (同)

 と詠み宗鑑(犬筑波編著)からたびたび俳諧の発句の仰せがあった。近年の人では宗牧の俳諧の一二座が忘れられない。それらを根拠にして思い寄せたことが以上述べて来たことである。追加の五十韻は多いが、宗祇公の三嶋千句を思い出してあやかったものである。)
 
【さて、古来まれなるどくぎん千句成就、松のはの正木のかづら、目出たくや侍らん。】

 解釈:(さて、古来まれな独吟千句がここに成就した。松の葉ように常緑で変わらない定家蔓ともたとえるべき俳諧千句の成就、目出たいことだ。)

引用文献:
 『守武千句注』飯田正一編、古川書房、1977年

※其角の『類柑子』には、其角が勢州山田の住反朱子がもとに、右(跋文)の真蹟があるを涼菟斎をして書写せしめた旨の記事がある。

※私の解釈はかなりいい加減かつ意訳以上なので注意w 

2010年7月1日木曜日

守武千句の月花

#jrenga 連歌 俳諧 連句

○守武千句(俳諧独吟)     
百韻   初オ 初ウ 二オ 二ウ  三オ 三ウ  名オ 名ウ  計
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第一   月  花     月花     月花        3花3月
第二      月花        月花 月   月花 花月 4花5月
第三   花月 月  花      月花 月   月  月  3花6月
第四      花月    花   月花 月   花  月  4花4月
第五   花  花  月  花   月  花月  月  花  5花4月
第六   花        花      月   花月    3花2月
第七   月  花  花月            花月    3花3月
第八   月  月花    月   花?     月  花  3花4月
第九   月  花月        花  花?  月  花? 4花3月 
第十   月  花  花      月      月  月花 3花4月
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                             35花38月
                           平均: 4花4月

                      花?=さくら花 花じやくろ
参考:
○守武『誹諧独吟百韻』
百韻   初オ 初ウ 二オ 二ウ  三オ 三ウ  名オ 名ウ  計
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     月  花  月  月花    月花月  月  花  4花6月

○正章千句(俳諧独吟、貞徳評点)
百韻   初オ 初ウ 二オ 二ウ  三オ 三ウ  名オ 名ウ  計
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第一   月  花月 月  月花  月  月花  花月    4花7月

感想:
守武千句で本当に千句形式が確立したのか(^^;) 平均をとり四捨五入すると、百韻で4花4月というところが妥当かも知れない。通常の百韻では4花7月(古式4花8月)、歌仙では2花3月と名残裏を除く各面で月を詠むことになっている。また月か、と常に月につきまとわれている感じがするが、その点、守武千句では月がかろうじて折(二面)で一つであり、面ごとに律儀に月を詠むことから解放されている。
参考:守武千句 in 日文研俳諧データベース

2010年6月30日水曜日

千句に特化した式目(案)

@zrenga #jrenga 連歌 俳諧 連句

1、千句を構成する十の各百韻は四花四月とする。花は折に一つ、月は折に一つ。定座なし。

2、千句一座にわたる一座一句物は、鬼、龍、狼、血、屍、幽霊、天狗などの類のみとし、その他の一座一句物は、従来通り各百韻の範囲内で適用することとする。

調査を続行し判明次第、変更する可能性あり。
                            定座なし
 初折表 12345678       (1〜8)   花、月一つ
 初折裏 12345678901234 (9〜22) _______
 二折表 12345678901234 (23〜36) 花、月一つ
 二折裏 12345678901234 (37〜50)_______
 三折表 12345678901234 (51〜64) 花、月一つ
 三折裏 12345678901234 (65〜78)_______
 名残表 12345678901234 (79〜92) 花、月一つ
 名残裏 12345678       (93〜100)______

参考:
(1)文和千句第一百韻 良基、救済他、新潮日本古典集成『連歌集』
(2)守武千句第一第二百韻、日文研 俳諧データベース
 分析:守武千句の月花

2010年6月29日火曜日

連歌百韻『はらからと』の巻 満尾


座・ツイッター連歌 @zrenga 2010.6.21〜6.29 #jrenga 連歌 俳諧 連句 
アバターrenga.heroku.com  式目  正風芭蕉流準拠十カ条 

1 発句  はらからと夕餉囲むや梅雨晴れ間   夏  海霧 
2 脇     はたとせほどもふりし風鈴    夏  氷心
2 脇     色よく漬かるなすびに胡瓜    夏  百
3 第三  怪談を銷夏の友に蟄居して      夏  草栞 (両句に)
3 第三  村おこし思案のさなかミスが出て      私
4       ひとり増えたが席足りており      彼郎女(両句に)
4       肩書きに付く代理心得         がじゅまる
4       断酒の誓ひいともはかなき       私  (両句に)
5     疾きこと風のやうなるお膳立て       不夜 (4の三句に)
6       枝折れそうに葡萄鈴生り     秋  百
7     だれかれの言い出すでなく月を待ち  秋月 リュウ
8       聞こし召しては紅葉狩るらむ   秋  玄碩

9     思ひ人目礼かへす冬隣        秋恋 百
10      湖畔の宿でメール re:re:re と   恋  リュウ
11    バーバリのコート目印改札で     恋  海霧
12      忍び逢ふほど情にほだされ    恋  栞
13    時は今つひに出廬をする臥龍        私
14      閑職なれば遊ぶ鳳雛          不夜
15    御曹司アクウェリアムにお忍びで      百
15    ツイッターでライバル他社をフォローして  彼郎女
16      にやつき殺しふりの眉皺        私 (両句に)
17    底冷えをつらしと思ふ嫦娥なり    冬月 リュウ
18      今更ながら鴛鴦を羨む      冬  彼郎女(おし)
19    さまざまな形に立ち枯れ蓮の骨    冬  私  (なり)
20      四阿よりの視界広々          不夜
21    花のころ摩天楼さへ霞みけり     春花 玄碩
21    隣から酒をつがれる花の宴      春花 百
22      女神の如き君麗かに       春  がじゅまる(両句に)
22      曲水のごと歌をせがみぬ     春  彼郎女  (両句に)
二オ
23    長閑なるカラオケ締める音大出    春  私    (両句に)
24      サイン求めて紳士群がる     恋  栞
24      慣れ親しめば料理マンネリ    恋  百
25    にぎやかに「チューボーですよ!」楽屋入り 不夜   (両句に)
26      鳴り物いりで百物語       夏  百
27    釣竿に蜘蛛糸垂すかわたろう     夏  栞
28      釈迦牟尼仏は笑みておはせり      リュウ
29    延々と甲までつづく生命線         私
30      行くべき道を示す如くに        彼郎女 
31    投げあげて落ちて止まった棒の先      不夜
32      押しかけられて有難迷惑        栞
33    壁中のグラビア写真はがされる       私
34      住み替る世のさだめ悲しも       不夜
35    ありあけをもどるあてなき旅に立つ  秋月 私
36      イカロス飛べり秋の明星     秋  がじゅまる
ニウ
37    きぬぎぬの帰したくない露時雨    秋恋 百
37    冷やかなベッドサイドの千羽鶴    秋  氷心
38      ブブゼラ響きヘ音まぎれる       栞    (両句に)
39    ダメ出しの合図ミキサールームより     不夜
40      オーバー・アクションみなに伝染    私
41    監督が「それはないよ」と猛抗議      彼郎女
42      鳶が油揚さらふ昼時          氷心
43    鴨川の岸に寄り添ふ影ふたつ        不夜
44      すみれに染まる誰そ彼の空       私
45    月の出の街に夜店のさんざめき    夏月 不夜
46      金魚掬いに名人来たり      夏  彼郎女
47    日向水このごろ眼がねしなければ   夏  百
48      3Dでは身体をよけて         海霧
49    降りかかる高精細の花に酔ふ     春花 栞
50      息弾ませて降りるぶらんこ    春  不夜
三オ
51    陽炎に里帰りする姉みえて      春  私
52      南ア連邦るつぼ沸騰          百
53    其処此処に山と積まれたインゴット     氷心
54      碧き制服微動だにせず         不夜
54      PC専用メガネ誂え          リュウ
55    SFの映画の様な国に住み         がじゅまる
55    休戦の監視団より報ありて         栞 (両句に)
56      陸海空を自由往来           氷心(両句に)
57    片恋に障害などはありはせぬ     恋  彼郎女
57    ゆったりと髪結ひあげて花菖蒲    夏  百
58      浴衣そんなに似合ふ君とは    夏恋 私 (両句に)
59    気の利いた言葉出てこずいふ駄洒落  恋  不夜
60      子にも受けねば親自虐的        栞
61    詩に痩せて迷路の出口牡丹鍋     冬  百
62      ミノタウロスの皿に供せし       がじゅまる
63    夜桜の宴照らすや小望月       春月 玄碩
64      佐保姫の頬朱に染まりけり    春  彼郎女
三ウ
65    いたづらな東風にまくれる衣の裾   春  私 (こち、きぬ)
66      ガラス戸前のダンス練習        不夜
67    脳内にバンドネオンの音色聴き       栞
68      銃身磨くドンの後継ぎ         不夜
69    七光り親の目光る間だけ          私
70      手のひら返すときの速さよ       不夜
71    夏至迎え山のホテルで月眺む     夏月 海霧
72      シャワーのあとにシャネル5番を 夏  リュウ
73    目をやるは金魚掬える娘のうなじ   夏  玄碩
73    新任の教師はタイトスカートで       不夜
74      力を入れて描く絵日記         栞 (両句に)
74      恋泥棒をリクエストする     恋  氷心(両句に)
75    頬染めし君のクレヨン見つからぬ   恋  がじゅまる
76      世話が焼けるぜペアの遠足    春  私
77    いづ方も花盗人を咎めせず      春花 不夜
78      見て見ぬふりの春の酔興     春  百
名オ
79    浅草で賽銭箱を遠回り           海霧
80      心のなかで手を合わせつつ       彼郎女
81    晩餐会主賓の国のマナーにて        がじゅまる
82      ずるずる啜る蕎麦のお作法       0chika
83    粋が無理まとひ野暮なる半可通       私
84      真打を待つ寄席の片隅         不夜
85    年明けの襲名披露に備へたり     新年 栞
86      淑気漂ふ玉砂利の道       新年 リュウ
87    散歩する成人病の予備軍も         百
88      七夕竹にふと目を止めぬ     秋  彼郎女
89    Fly me to the Moon と口ずさみ   秋月  栞
90      襟やや寒きトレンチコート    秋  不夜
91    今頃は安達が原で薬掘る       秋  百
92      蜂の仔なども珍重されて     秋  海霧
名ウ
93    一見で話が弾む父と彼        恋  氷心
94      彼女が裾をついと引っ張る    恋  彼郎女
95    寝乱れて黒髪なおす衣々に      恋  私
96      素知らぬ顔で朝の挨拶         栞
97    よく見れば路地を飛び交ふつばくらめ 春  不夜
98      子等は連なり野外授業か     春  がじゅまる
99    風狂の千句成したり花のもと     春花 百
100     年輪の笑み大樹のどらか     春  リュウ
100     終の棲家で春を惜しまん     春  栞

※同じ番号の句はことわりがなければ最後の句に次の番号の句が続いたことを示す。

  オ  123456月8       (1〜8)
  ウ  12345678月012花4 (9〜22)
  二オ 123456789012月4 (23〜36)
  二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
  三オ 123456789012月4 (51〜64)
  三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
  名オ 123456789012月4 (79〜92)
  名ウ 123456花8       (93〜100)

※twitterで巻かれた百韻
一、自由連歌百韻 初懐紙     3.8〜3.28
二、連歌百韻『花曇る』の巻   3.28〜4.9
三、連歌百韻『つみ草や』の巻  4.10〜4.16
四、連歌百韻『阿蘭陀を』の巻  4.16〜4.21
五、連歌百韻『人垣を』の巻   5.10〜5.15
六、連歌百韻『蚊柱を』の巻   5.17〜5.23
七、連歌百韻『ナイターに』の巻  5.26〜6.2
八、連歌百韻『目にしみる』の巻  6.4〜6.11
九、連歌百韻『翁逝き』の巻    6.13〜6.18
十、連歌百韻『はらからと』の巻  6.21〜6.29

写真提供はフォト蔵さん

2010年6月26日土曜日

季移り

歌仙 ウ8秋月〜ウ11春花

◯冬の日 炭売の
 血刀かくす月の暗きに   荷兮  秋月 ウ8 
霧下りて本郷の鐘七つきく  杜国  秋  
 冬まつ納豆たゝくなるべし 野水  秋  納豆
はなに泣桜の黴とすてにける 芭蕉  春花 ウ11 

◯ひさご 木のもとに
 月見る顏の袖おもき露    碩  秋月 
秋風の船をこはがる波の音   水  秋
 鴈ゆくかたや白子若松    翁  秋  雁
千部読花の盛の一身田     碩  春花

◯猿蓑 灰汁桶の
 あつ風呂ずきの宵/\の月  兆  秋月
町内の秋も更行明やしき    来  秋
 何を見るにも露ばかり也   水  秋  露
花とちる身は西念が衣着て   蕉  春花

◯炭俵 梅が香に
 こんにやくばかりのこる名月 蕉  秋月
はつ雁に乗懸下地敷て見る   坡  秋
 露を相手に居合ひとぬき   蕉  秋  露
町衆のつらりと酔て花の陰   坡  春花

◯続猿蓑 いさみ立ち
 伊駒気づかふ綿とりの雨   沾  秋
うき旅は鵙とつれ立渡り鳥   里  秋
 有明高う明はつるそら    莧  秋月 有明 
柴舟の花の中よりつと出て   沾  春花

◯続猿蓑 猿蓑に
 山に門ある有明の月     蕉  秋月
初あらし畠の人のかけまはり  考  秋
 水際光る浜の小鰯      然  秋  鰯
見て通る紀三井は花の咲かゝり 蕉  春花

2010年6月24日木曜日

点取俳諧・前句付・川柳

●点取俳諧とはなにか、前句付の点取と同じことか

点取とは、歌や句を評価して点を付け、名誉、賞品、賞金を競うことで、和歌、連歌の時代から存在し俳諧においても隆盛した。評価するひとを点者と呼ぶ。

点取俳諧にも、参加者(e.g 弟子)に歌仙や百韻の独吟を提出させて点者が各句の採点(5点句何句。。。)するもの、実際の張行(e.g旦那衆)をして採点するものなど、連句を対象にしたものがまずあった。これらは特定少数が対象と言える。

また、前句付(短連歌)といい、前句(たいてい七七)を点譜として事前に呈示し、万句合への参加の募集を行い、参加者は付句して応募するものがあった。そこで高点をとった付句を集めた前句付高点付句集(武玉川、二葉之松、童の的、俳諧ケイなど)は、座の機関紙的なものとなり出版され隆盛を極めた。これは不特定多数が対象。
 
さらに一句立で一句としての面白さを競うものもあった。上5に75を付ける(笠付)、下5に57(沓付)を付けるなどいろいろな趣向があった。前句付とこれらを総称して雑俳とも呼ぶ。

やがて、前句付から前句のない川柳が生まれるが、それもこの仲間とされるむきもある。

●前句付からどうやって川柳が生まれたか

数ある前句付の一介の点者として柄井川柳は1757年ごろから登場。そのとき寄せられた句は207句。翌年5千、1762年一万句以上が3回と人気に。理由は、点料安い、入選率高い、選句が誠実、熱心、観賞能力高い、機関紙柳多留(川柳点、可有選)が面白い。

寄句が207句しかなかった万句合の点譜と入選句

 点譜
  祝ひこそすれ祝いこそすれ  この3つが前句付用。      
 ○はずかしい事はずかしい事  ○△は対応関係を示す記号。
 △にぎやかな事にぎやかな事
  がってんじゃ        これらは上5の笠付用
 ×おびただし         ×も対応関係を示す記号。

 入選句
  死跡の弔ひ永き一の鋸    広徳寺    みどり
 ○十月には弘めぬ先の月を入れ 浅草阿部川町 若葉
 △ふる雪の白きを見せぬ日本橋 市谷     初瀬

前句付でありながら前句無視の傾向があり庶民の身辺生活のうがちを詠む風潮がその当時にあった。武玉川は前句が省かれた付句集であるが、付句だけで十分面白いことを証明しており、前句がなくてもいいという動機付けに大いに役立ったとか。

1768年、前句のない点譜で万句合。ここに前句付から独立した「川柳」が誕生した。前句のない「川柳」が大部分の『柳多留』と、本来前句がある付句集『武玉川』は、非常によく似ていることに誰でも驚くはずである。川柳のずっと前から川柳はあったのかと。

参考:江戸川柳辞典、江戸座点取俳諧集、川柳雑俳集

付け過ぎ・離れ過ぎの病ひ

引用:『連句入門』臼杵游児著  #jrenga 連歌 俳諧 連句

 前句: 小さき流れに河鹿戻りし  游児

      クーラーの冷え過ぎゆえに風邪をひく × 離れ過ぎ(付いていない)

      浴衣着の岩に降り立ち耳澄ます    × 付け過ぎ

      合唱の声の流れるキャンプ場     × 声、流れのダブり

      しみ透る涼しさに刻忘れおり     ○

      嵩低き母の膝より団扇風       ○

      しんがりの帽を目深に登山道     ○

2010年6月21日月曜日

李白『春夜宴桃李園序』


夫天地者萬物之逆旅 夫れ天地は萬物の逆旅にして
光陰者百代之過客  光陰は百代の過客なり
而浮生若夢     而して浮生は夢の若し
爲歡幾何      歡を爲すこと幾何ぞ
古人秉燭夜遊    古人燭を秉(と)り夜遊ぶ
良有以也      良(まこと)に以(ゆえ)有るなり
況陽春召我以煙景  況んや陽春我を召くに煙景を以てし
大塊假我以文章   大塊の我を假(か)すに文章を以てするをや
會桃李之芳園    桃李の芳園に會し
序天倫之樂事    天倫の樂事を序す
群季俊秀      群季の俊秀なるは
皆爲惠連      皆惠連たり
吾人詠歌      吾人の詠歌は
獨慚康樂      獨り康樂に慚づ
幽賞未已      幽賞未だ已まざるに
高談轉清      高談轉(うた)た清し
開瓊筵以坐花    瓊筵(けいえん)を開いて以て花に坐し
飛羽觴而醉月    羽觴(うしょう)を飛ばして月に醉ふ
不有佳作      佳作有らずんば
何伸雅懷      何ぞ雅懷を伸べん
如詩不成      如(も)し詩成らずんば
罰依金谷酒數    罰は金谷(きんこく)の酒の數に依らん

※ 芭蕉『おくの細みち』
   月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也 

李白『哭晁卿衡』


日本晁卿辭帝都  日本の晁卿は帝都を辭し
征帆一片遶蓬壺  征帆一片蓬壺を遶(めぐ)る
明月不歸沈碧海  明月歸らず碧海に沈み
白雲愁色滿蒼梧  白雲愁色蒼梧に滿つ

※晁卿衡 阿倍仲麻呂 天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも
 蓬壺  蓬莱 方壷

写真提供はウィキペディアさん

李白『遊洞庭』

洞庭西望楚江分  洞庭西に望めば楚江分かる
水盡南天不見雲  水盡きて南天雲を見ず
日落長沙秋色遠  日は長沙に落ちて秋色遠し
不知何處弔湘君  知らず何れの處にか湘君を弔らはん

李白『山中與幽人對酌』

山中與幽人對酌  山中幽人と對酌す

兩人對酌山花開  兩人對酌すれば山花開く
一杯一杯又一杯  一杯一杯又一杯
我醉欲眠君且去  我醉うて眠らんと欲す君且(しばらく) 去れ
明朝有意抱琴來  明朝意有らば琴を抱いて來たれ

李白『山中答俗人』

問余何意棲碧山  余に問ふ何の意ありてか碧山に棲むと
笑而不答心自閑  笑って答へず心自のづから閑なり 
桃花流水杳然去  桃花流水杳然と去る
別有天地非人間  別に天地の人間(じんかん)に非ざる有り

第二千句 第一百韻『長廊下』の巻


       百韻『長廊下』の巻
                   2010.6.30〜7.17

1 発句 長廊下ごとりと寝入る蝉時雨    夏  がじゅまる
2 脇    まづは木の葉の告げる夕立   夏  私 
3 第三 さくさくと足下かろき遊歩道       彼郎女
4      更待月を待てど空しく     秋月 玄碩
5    子と共に食ひ尽くしたる栗や豆   秋  氷心
6      テストパターン映る朝寒    秋  不夜
7    目で追うも影だけ残すジョウビタキ 秋  海霧
8      笛に誘はれ行く村芝居     秋  草栞

9    越後獅子山路ふみわけ急ぎをり      百
10     思ひのほかに遠き鞍馬よ       私
11   繰り返すGPSの合成音         不夜
11   好いひとを雪がへだてる露天風呂  冬恋 氷心
12     ここにいるわと氷柱で合図   冬恋 栞 (両句に)
13   囚われし姫居る塔の朧なる     春恋 がじゅまる
14     リボンの騎士の駆るは若駒   春  不夜
15   シチリヤの花を散らしてタンクレディ 花 百
16     いづれしぶさのよさわかるらん    私
17   舌でなく喉で飲めとや缶ビール      私
17   古道具素性は実はゴミの山        私
18     汗の一日終へて腑抜けに    夏  不夜(両句に)
19   竹婦人冷たくなって待ってます   夏  百
20     夫はわたしに母をみてゐる      私
21   書斎より計ったやうにお〜いお茶     不夜
22     依存体質変へるのは骨        私
二オ
23   我が祈願キャリーオーバー年越して 新春 私
24     リターンマッチを誓ふ松すぎ  新春 不夜
25   東風吹きてやけ棒杭に火が点きて  春恋 がじゅまる
26     嬉し恥ずかし老いらくの恋   恋  玄碩
27   さりげなく統一感でペアルック   恋  私
28     時に訪ねる阿吽の仁王        海霧
29   あをによし寧楽の都の遷都祭       栞
30     バス乗り継いで自転車を借り     百
31   岩鼻に我も真似せむ月の客     秋月 不夜
32     おもはず口に尾花一本     秋  私
33   騙し合ひ果てるともなく露に濡れ  秋  栞
34     先陣競ふ生食磨墨          百
34     素鞍の青を包む朝霧      秋  氷心
35   満々と長江の面冬近し       秋  海霧
36     租界守れと並ぶ砲艦         不夜
二ウ
37   楽しみは夕食後の酒保開け        氷心
38     外人部隊明日を知らざり       不夜
38     無礼講ゆめこころ許すな       私
39   いずこより機密事項が洩れたやら     彼郎女(両句に)
40     なりすましには注意あそばせ     栞
41   あめんぼうおのれは蜘蛛か馬なのか 夏  氷心
42     青鷺じつと池面うかゞふ    夏  私
43   夏暁の陽昇るごとくに立ちにけり  夏  がじゅまる
44     揃ひの寝巻きで宿前の浜       私
45   号令は竹刀片手の鬼コーチ        不夜
46     家に帰れば満点パパで        百
47   逢引を重ね浮名を流したり     恋  栞
48     わが子の父は妻の愛人     恋  私
49   あらだてゝ地獄見るより知らんぷり    私
50     浮世くらませ散る花の蔭    春花 がじゅまる
三オ
51   猫の子と遊ぶ画伯は坊主刈     春  不夜
52     老いの春にて娶る新妻     春恋 私
53   婿殿も紋付袴新調し        恋  百
53   末の児も無事に大学卒業し     春  彼郎女
54     期待ふくらむデジタルネイティブ   栞
55   飯だけは三度三度を定時刻        氷心
56     切羽詰まればわざと懲役       私
57   網笠の瓶底めがね枯野行く     冬  不夜
58     しぐれてなにも見えぬふるさと 冬  氷心
59   洋館の裏にはたしか詫助が     冬  海霧
60     主人なき庭色々の満つ        がじゅまる
61   ゆふされば蛍の生ふるやへむぐら  夏  私
62     飽かず眺むる短夜の月     夏月 栞
63   あがひざを枕にをとこねまるなり  恋  氷心
64     縁と思へばにくさいとしさ   恋  不夜
三ウ
65   じゃじゃ馬を馴らしたはずが馴らされて  私
66     老舗の系譜婿の代々         がじゅまる
66     カウボーイもとメジャーリーガー   不夜
67   仕込まれて大食いになり廃業す      百
68     どすこい根性役に立つらん      私
69   雨のたび崩れし巣口なほす蟻    夏  私
70     賽の河原に積む石の数        不夜
71   すれ違ふツアー登山の列長く       私
72     日もとっぷりと暮れ道遠し      栞
73   独り身のどこか落ち着くネットカフェ   百
74     作家きどりでリレー小説       私
75   入力の画面に落花二三片      春花 不夜
76     朧な松に一句つぶやく     春  私
77   望の夜に手枕なんて夢ばかり   春月恋 栞
78     汝れ酔ひつぶれ我れゑひもせず 恋  私
名オ
79   常になく愛い奥さんは超肥えて   恋  氷心
80     神に捧げるフラは海辺で       海霧
81   豊年の来る方より風の吹く        がじゅまる
82     季節感なき市の食材         不夜
83   もちまるめ万作祝ふも雑のうち?     千
84     幕間芸にて人間国宝         私
85   なにごとも日々精進の積み重ね      私
86     滅私奉公報はれずとも        栞
87   我が命ささげ今さら悔ひもせず      彼郎女
88     ゲリラ豪雨のメール警告       百
88     大海となれ一滴の水         私
89   オフィス街色とりどりの傘の行く     不夜(両句に)
90     あしもとみつつわれつゆ知らず    がじゅまる
91   「満月が綺麗ですよ」とメールあり 秋月 彼郎女
92     秋の七草葛たらずとも     秋  百
名ウ
93   荻のこゑせめて飾らん庵の床    秋  私
94     名残を惜しむ風炉もやつれて  秋  栞
95   入院をあすに控えた日曜日        氷心
96     空気察すや猫のまつはる       私
97   公園の植ゑ込みまでも花筵     春花 私
98     風船売の声はハスキー     春  不夜
99   春泥は子犬を抱いて初散歩     春  百
挙句     空見上ぐれば鳥雲に入る    春  彼郎女(執筆)

※同じ番号の句はことわりがなければ最後の句に次の番号の句が続いたことを示す。

                            定座なし
 初折表 12345678       (1〜8)   花、月一つ
 初折裏 12345678901234 (9〜22) _______
 二折表 12345678901234 (23〜36) 花、月一つ
 二折裏 12345678901234 (37〜50)_______
 三折表 12345678901234 (51〜64) 花、月一つ
 三折裏 12345678901234 (65〜78)_______
 名残表 12345678901234 (79〜92) 花、月一つ
 名残裏 12345678       (93〜100)______

式目 正風芭蕉流準拠十カ条 

※twitterで巻かれた百韻
◯第一千句:
 一、 自由連歌百韻 初懐紙     3.8〜3.28
 二、 連歌百韻『花曇る』の巻   3.28〜4.9
 三、 連歌百韻『つみ草や』の巻  4.10〜4.16
 四、 連歌百韻『阿蘭陀を』の巻  4.16〜4.21
 五、 連歌百韻『人垣を』の巻   5.10〜5.15
 六、 連歌百韻『蚊柱を』の巻   5.17〜5.23
 七、 連歌百韻『ナイターに』の巻  5.26〜6.2
 八、 連歌百韻『目にしみる』の巻  6.4〜6.11
 九、 連歌百韻『翁逝き』の巻    6.13〜6.18
 十、 連歌百韻『はらからと』の巻  6.21〜6.29
◯第二千句:
 一、 連歌百韻『長廊下』の巻   6.30〜7.17

写真提供はフォト蔵さん

2010年6月19日土曜日

芭蕉臨終記『花屋日記』

   発句  翁逝き腐草ほたるになりにけり    夏  百
   脇     風やむ森になくほととぎす    夏  私

芭蕉臨終記『花屋日記』僧文暁著、小宮豊隆校訂、岩波書店

師の言「きのふの発句はけふの辞世、今日の発句はあすの辞世、我生涯言い捨し句々一句として辞世ならざるはなし。」

若し我辞世はいかにと聞く人あらば、
「此年頃いひ捨ておきし句、いづれなりとも辞世なりと申たまはれかし。諸法従来常示寂滅相、これは是釈尊の辞世にして、一代の仏教、此二句より外になし。

     古池や蛙とび込む水の音

此句に我一風を興せしより、初めて辞世なり。其の後百千の句を吐くに、此意ならざるは
なし。ここをもって、句々辞世ならざるはなし。」と申侍る也と。

次郎兵衛は傍らより口を潤すにしたがひ、息のかぎり語りたまふ。此語実に玄々微妙、翁の凡人ならざるをしるべし。(支考記)

     此道やゆく人なしに秋のくれ
     此秋は何でとしよる雲に鳥
     白菊の目にたてゝ見る塵もなし

     旅に病で夢は枯野をかけ廻る

コメント:
通説では偽書とされている。其角『芭蕉翁終焉記』、支考『前後日記』、路通『行状記』が付録として載っており、これらを基に文暁が創作したとされる。しかしそれを知ってか知らずか、これを読んだ子規は感涙しきりだったという。上の記述等に真実味とおのれの境遇と似たものを感じたのであろうか。

ゴーヤ


     正されてネット這はさるゴーヤかな

from iPod touch

写真提供はフォト蔵さん

李白捉月


李白捉月 in 『李白の月』南伸坊、マガジンハウス

  その晩も詩人はひどく酩酊していた
  月が川面に揺れるのを掬いとろうとするらしかった
  旦那様、いい月ですね
  ・・・・・・・・
  グラリと舟が傾き船頭は目のはしに
  詩人が大きく身を翻すのを見た
  不思議なことに水音が聞こえなかった

 ※李白の捉月伝説
   当塗にほど近い長江の景勝采石磯で、李白は月夜に舟を浮かべて大酒した。
   場違いにきらびやかな錦袍を着け、まるで傍りに人無きがごとくであった
   という。酔余、水に映る月を捉えんとして転落しそのまま溺死した。


     をりをりの月に妙なる詩を吐いて朝寝朝酒咎められずに 

                        ( 連歌百韻『翁逝き』)

昼暗き切通し行く肩に花そこともわかず鐘霞むこゑ

  発句  翁逝き腐草ほたるになりにけり    夏  百
  脇     風やむ森になくほととぎす    夏  私
            。。。

      昼暗き切通し行く肩に花       春花 海霧
  挙句    そこともわかず鐘霞むこゑ    春  私  (孕み句)

※ 孕み句の供養w

連歌百韻『翁逝き』の巻


ほととぎすの鳴き声

座・ツイッター連歌 @zrenga 2010.6.13〜6.18 #jrenga 連歌 俳諧 連句 
アバターrenga.heroku.com  式目
               
1 発句  翁逝き腐草ほたるになりにけり    夏  百
2 脇     風やむ森になくほととぎす    夏  私
3 第三  傍らの小さな流れ瓶に汲み         不夜
4       杜氏やうやう得心のかほ        氷心
5     杉玉をはずし軒先掃き清め         草栞
6       同じく始む新しき朝          がじゅまる
7     カーテンを開ければ空に残る月    秋月 彼郎女
8       秋航ルート地図で確認      秋  リュウ

9     時折はV字に変わる雁の列      秋  海霧
10      家路は暮れて鍋ぞ恋しき        玄碩
11    帰ろうとするたびにまた手を引かれ     ふない
12      みごと生還夢の「はやぶさ」      百
13    ふるさとはサッカー熱で沸騰中       私
14      テレビ横目に角の立ち飲み       不夜
15    雑踏で名を呼ばれしは空耳か        栞
16      四半世紀も顔を見ぬまま        ふない
17    満を持し文壇デビュー放浪記        私
18      上弦詠め笑ふドラキュラ     秋月 がじゅまる
18      股火鉢して願掛けの月      冬月 リュウ
19    ストールを巻いて隠したキスの痕   冬恋 彼郎女
20      なにやら甘きかをりただよふ   恋  氷心
21    初デート花もはぢらふ南禅寺    春花恋 私
22      しき石ふめば歩みうららか    春恋 不夜
二オ
23    ねこ柳大門くぐり摘む男       春  百
24      今は昔の里の夕暮れ          栞
25    ぬばたまのゆめがたり子にせがまれて    氷心
26      絵本開けば立ち上がる城        不夜
27    ぺたぺたと小さな手形残されし       ふない
28      大衆芸のメッカ浅草          私
29    ロック聴くオンザロックを嘗めながら 夏  リュウ
30      真空管をあおぐ絵団扇      夏  不夜
31    かにかくに世々の移りの万華鏡       リュウ
32      変はらないもの?きみとこの僕     私
32      オート三輪いまだ現役         不夜
33    先代の形見を孫が修理して         ふない
33    毛筆で受けて返して有明に     秋恋月 リュウ(32両句に)
34      露もて墨をするふみ机      秋  不夜 (33両句に)
35    糸瓜忌の箭弓稲荷で願をかけ     秋  栞
36      礼の揃ひし野球少年          私
二オ
37    よく見れば一人少女も交じりおり      ふない
38      幼き恋を秘めた雪投       冬恋 彼郎女
39    ふりむけばスキーウエアの君にきゅん 冬恋 がじゅまる
39    手袋にイニシャル編んでくれた君   冬恋 不夜
40      炬燵の猫を探る手が触れ     冬恋 玄碩
41    月曜日通勤地獄はじまれる         百
42      見えるバリアと見えないバリアと    リュウ
43    雨空の木下闇いで魑魅となる     夏  百
44      ドリアン投げて追い払いませ   夏  彼郎女
45    芳香も食の好みもお国柄          リュウ
46      桂男や噎せむ蓼の芽       春月 不夜
47    あのひとの来そうで来ない霾ぐもり  春恋 氷心
48      蜃気楼でもいいから見せて!   春恋 栞
48      ふぃーほーふぃーほと松に鷽姫  春恋 私(うそひめ)
49    砂浜に誰が脱ぎ捨てし花衣      春花 リュウ
50      汐干狩する子を打ち置いて    春  彼郎女
三オ
51    茫々と風紋語る幾年を           海霧
52      チャイを振る舞ふ民の微笑み      私
53    ゲルとやら中々心地よきもので       彼郎女
54      ながなが止まぬドラクエの曲      氷心
55    アイマスク耳栓毛布機内泊         海霧
56      北風強く揺れに揺れたり     冬  不夜
57    トナカイの橇の免許は試験なし    冬  百
58      地図がなければサンタ苦労す   冬  栞
59    煙突のかたちは何処も似通ひて       不夜
60      露台哀しき雁首上        夏  氷心(がんくびあがり)
61    顔文字もイラストも添え夏見舞い   夏  リュウ
61    0%のビールでなぜか酔ひの来て   夏  私
62      孫のたよりに一人乾杯         がじゅまる(両句に)
63    月見れば腹が鳴るなり蕎麦にしよ   秋月 栞
64      主も客も紅葉マークで      秋  百
三ウ    
65    鈍ったり熟知のはずが毒茸      秋  海霧
66      己の名前新聞に載る          氷心
67    日本で1位は田中実にて          私
68      体育館の上に青空           ふない
69    准教授肩書きあれど個室なく        不夜
70      失礼しますおずおずノックを      百
71    地震多しやはり地球は怒ってる?      リュウ
72      発射間近か夏の弓張       夏月 栞
73    片肌を脱いで鯔背なニクイ奴     夏恋 リュウ
74      難儀救はれ娘うつとり      恋  私
74      畳ののの字娘もじもじ      恋  氷心
75    永遠の少年コナンに囚はれて     恋  栞 (74両句に)
76      エカテリーナに成れもせぬのに     リュウ
77    若き血の流れた跡に花落ちる     春花 彼郎女
77    心中を気取られまいぞ飛ぶ花に    春花 海霧
78      古城遙かに蜃気楼立つ      春  リュウ(両句に)
名オ
79    白鳥の帰るまほらは神つ国      春  百
80      あつといふ間にかまひ時なり   春  彼郎女
81    自律するロボットなりと威張れども     ふない
82      心あるかとアトム悩める        不夜
83    言の葉は似て非なるもの多ければ      栞
84      まづは駄洒落でつかみOK       私
85    今時の生徒寒がりばかりなり     冬  氷心
86      石焼き芋と手温めのパイ     冬  リュウ
87    奥座敷障子穴から大きな目      冬  海霧
88      ゲゲゲの女房ただ今参上        栞
89    掌上に遊べるおやじ風呂に入る       がじゅまる
90      朝寝朝酒咎められずに         玄碩
91    をりをりの月に妙なる詩を吐いて   秋月 私
92      虫の声にも賛美惜しまじ     秋  不夜
名ウ
93    地芝居の準備おさおさおこたらず   秋  百
94      菊人形の立居艶やか       秋  栞
95    歓声を吸い込んでいる高い空     秋  氷心
96      スカイツリーを見あげ口開く      海霧
97    苗床の手入れを終えて一休み     春  彼郎女
98      遠き嶺嶺笑う雪形        春  がじゅまる
98      蟇穴を出づ古戦場跡       春  百
99    昼暗き切通し行く肩に花       春花 海霧
100     春の名残に持ちて帰らむ     春  彼郎女

 ※ 同じ番号の句は、ことわりがなければ最後の句に次の番号の句
   が続いたことを示す。

  オ  123456月8       (1〜8)
  ウ  12345678月012花4 (9〜22)
  二オ 123456789012月4 (23〜36)
  二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
  三オ 123456789012月4 (51〜64)
  三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
  名オ 123456789012月4 (79〜92)
  名ウ 123456花8       (93〜100)

 ※ twitterで巻かれた百韻
  一、自由連歌百韻 初懐紙     3.8〜3.28
  二、連歌百韻『花曇る』の巻   3.28〜4.9
  三、連歌百韻『つみ草や』の巻  4.10〜4.16
  四、連歌百韻『阿蘭陀を』の巻  4.16〜4.21
  五、連歌百韻『人垣を』の巻   5.10〜5.15
  六、連歌百韻『蚊柱を』の巻   5.17〜5.23
  七、連歌百韻『ナイターに』の巻  5.26〜6.2
  八、連歌百韻『目にしみる』の巻  6.4〜6.11
  九、連歌百韻『翁逝き』の巻    6.13〜6.18
  十、連歌百韻『』の巻  7.〜7.

写真提供はフォト蔵さん

2010年6月18日金曜日

李白『春日醉起言志(はるひ酔ひより起きて志を言ふ)』

處世若大夢  世に處(を)るは大夢の若し
胡爲勞其生  胡爲(なんすれ)ぞ其の生を勞する
所以終日醉  所以(ゆゑ)に終日醉ひ
頽然臥前楹  頽然として前楹に臥す
覺來眄庭前  覺め來りて庭前を眄 (なが)むれば
一鳥花間鳴  一鳥花間に鳴く
借問此何時  借問す此(いま)は何の時ぞと
春風語流鶯  春風に流鶯語る
感之欲歎息  之に感じて歎息せんと欲し
對酒還自傾  酒に對して還(ま)た自ずから傾く
浩歌待明月  浩歌して明月を待つに
曲盡已忘情  曲盡きて已(すで)に情を忘る

※前楹(ぜんえい):前の柱

李白『送友人』

青山橫北郭  青山北郭に橫たわり
白水遶東城  白水東城を遶(めぐ)る
此地一爲別  此地一たび別れを爲し
孤蓬萬里征  孤蓬萬里に征く
浮雲遊子意  浮雲遊子の意
落日故人情  落日故人の情
揮手自茲去  手を揮って茲より去る
蕭蕭班馬鳴  蕭蕭として班馬鳴く

李白『夏日山中』

懶搖白羽扇  懶(ものう)く搖(うご)かす白羽の扇
裸袒青林中  裸袒す青林の中
脱巾掛石壁  巾を脱いで石壁に掛け
露頂灑松風  頂を露(あら)わして松風に灑(あら)わしむ

※裸袒(らたん):はだぬぎになる

李白『独座敬亭山』

衆鳥高飛尽  衆鳥高く飛び尽くし
孤雲独去閑  孤雲独り去って閑かなり
相看両不厭  相看みて両(ふたつ)ながら厭わざるは
只有敬亭山  只だ敬亭山有るのみ

李白『静夜思』

牀前看月光  牀前 月光を看る
疑是地上霜  疑ふらくはこれ地上の霜
挙頭望山月  頭を挙げて山月を望み
低頭思故郷  頭を低れて故郷を思ふ

李白『贈内(つまに贈る)』

三百六十日  三百六十日
日日醉如泥  日日醉うて泥の如し
雖爲李白婦  李白の婦(つま)と爲ると雖も
何異太常妻  何ぞ太常の妻と異ならん (太常:神主)

     をりをりの月に妙なる詩を吐いて朝寝朝酒咎められずに 

                   ( 連歌百韻『翁逝き』)

李白『自遣』

對酒不覚瞑  酒に対して瞑を覚えず
落花盈我衣  落花我が衣に盈つ
酔起歩溪月  酔より起きて溪月に歩めば
鳥還人亦稀  鳥還って人また稀なり

杜甫『初月』

光細弦欲上  光細くして弦上らんと欲す
影斜輪未安  影斜にして輪未だ安からず
微升古塞外  微に升る古塞の外
已隱暮雲端  已に隱る暮雲の端
河漢不改色  河漢色を改めず
關山空自寒  關山空しく自ら寒し
庭前有白露  庭前白露有り
暗滿菊花團  暗に菊花に滿ちて團なり

李白『月下独酌』

花間一壺酒  花間 一壺の酒
独酌無相親  独り酌みて相ひ親しむ無し
挙杯邀明月  杯を挙げて明月を邀へ
対影成三人  影に対して三人と成る
月既不解飲  月既に飲むを解せず
影徒随我身  影徒らに我が身に随ふ
暫伴月将影  暫らく月と影とを伴って
行樂須及春  行樂須らく春に及ぶべし
我歌月徘徊  我歌へば月徘徊し
我舞影零乱  我舞へば影零乱す
醒時同交歓  醒むる時同に交歓し
醉后各分散  醉ひて后は各おの分散す
永結無情遊  永く無情の遊を結び
相期邈雲漢  相ひ期せん 邈かなる雲漢に

李白『峨眉山月歌』

峨眉山月半輪秋  峨眉山月 半輪の秋
影入平羌江水流  影は平羌江水に入って流る
夜発清溪向三峡  夜 清溪を発して三峡に向かう
思君不見下渝州  君を思えども見えず 渝州に下る
 
君とは月のこと。
   

2010年6月13日日曜日

連歌百韻『翁逝き』の巻


ほととぎすの鳴き声

座・ツイッター連歌 @zrenga 2010.6.13〜6.18 #jrenga 連歌 俳諧 連句 
アバターrenga.heroku.com  式目
               
1 発句  翁逝き腐草ほたるになりにけり    夏  百
2 脇     風やむ森になくほととぎす    夏  私
3 第三  傍らの小さな流れ瓶に汲み         不夜
4       杜氏やうやう得心のかほ        氷心
5     杉玉をはずし軒先掃き清め         草栞
6       同じく始む新しき朝          がじゅまる
7     カーテンを開ければ空に残る月    秋月 彼郎女
8       秋航ルート地図で確認      秋  リュウ

9     時折はV字に変わる雁の列      秋  海霧
10      家路は暮れて鍋ぞ恋しき        玄碩
11    帰ろうとするたびにまた手を引かれ     ふない
12      みごと生還夢の「はやぶさ」      百
13    ふるさとはサッカー熱で沸騰中       私
14      テレビ横目に角の立ち飲み       不夜
15    雑踏で名を呼ばれしは空耳か        栞
16      四半世紀も顔を見ぬまま        ふない
17    満を持し文壇デビュー放浪記        私
18      上弦詠め笑ふドラキュラ     秋月 がじゅまる
18      股火鉢して願掛けの月      冬月 リュウ
19    ストールを巻いて隠したキスの痕   冬恋 彼郎女
20      なにやら甘きかをりただよふ   恋  氷心
21    初デート花もはぢらふ南禅寺    春花恋 私
22      しき石ふめば歩みうららか    春恋 不夜
二オ
23    ねこ柳大門くぐり摘む男       春  百
24      今は昔の里の夕暮れ          栞
25    ぬばたまのゆめがたり子にせがまれて    氷心
26      絵本開けば立ち上がる城        不夜
27    ぺたぺたと小さな手形残されし       ふない
28      大衆芸のメッカ浅草          私
29    ロック聴くオンザロックを嘗めながら 夏  リュウ
30      真空管をあおぐ絵団扇      夏  不夜
31    かにかくに世々の移りの万華鏡       リュウ
32      変はらないもの?きみとこの僕     私
32      オート三輪いまだ現役         不夜
33    先代の形見を孫が修理して         ふない
33    毛筆で受けて返して有明に     秋恋月 リュウ(32両句に)
34      露もて墨をするふみ机      秋  不夜 (33両句に)
35    糸瓜忌の箭弓稲荷で願をかけ     秋  栞
36      礼の揃ひし野球少年          私
二オ
37    よく見れば一人少女も交じりおり      ふない
38      幼き恋を秘めた雪投       冬恋 彼郎女
39    ふりむけばスキーウエアの君にきゅん 冬恋 がじゅまる
39    手袋にイニシャル編んでくれた君   冬恋 不夜
40      炬燵の猫を探る手が触れ     冬恋 玄碩
41    月曜日通勤地獄はじまれる         百
42      見えるバリアと見えないバリアと    リュウ
43    雨空の木下闇いで魑魅となる     夏  百
44      ドリアン投げて追い払いませ   夏  彼郎女
45    芳香も食の好みもお国柄          リュウ
46      桂男や噎せむ蓼の芽       春月 不夜
47    あのひとの来そうで来ない霾ぐもり  春恋 氷心
48      蜃気楼でもいいから見せて!   春恋 栞
48      ふぃーほーふぃーほと松に鷽姫  春恋 私(うそひめ)
49    砂浜に誰が脱ぎ捨てし花衣      春花 リュウ
50      汐干狩する子を打ち置いて    春  彼郎女
三オ
51    茫々と風紋語る幾年を           海霧
52      チャイを振る舞ふ民の微笑み      私
53    ゲルとやら中々心地よきもので       彼郎女
54      ながなが止まぬドラクエの曲      氷心
55    アイマスク耳栓毛布機内泊         海霧
56      北風強く揺れに揺れたり     冬  不夜
57    トナカイの橇の免許は試験なし    冬  百
58      地図がなければサンタ苦労す   冬  栞
59    煙突のかたちは何処も似通ひて       不夜
60      露台哀しき雁首上        夏  氷心(がんくびあがり)
61    顔文字もイラストも添え夏見舞い   夏  リュウ
61    0%のビールでなぜか酔ひの来て   夏  私
62      孫のたよりに一人乾杯         がじゅまる(両句に)
63    月見れば腹が鳴るなり蕎麦にしよ   秋月 栞
64      主も客も紅葉マークで      秋  百
三ウ    
65    鈍ったり熟知のはずが毒茸      秋  海霧
66      己の名前新聞に載る          氷心
67    日本で1位は田中実にて          私
68      体育館の上に青空           ふない
69    准教授肩書きあれど個室なく        不夜
70      失礼しますおずおずノックを      百
71    地震多しやはり地球は怒ってる?      リュウ
72      発射間近か夏の弓張       夏月 栞
73    片肌を脱いで鯔背なニクイ奴     夏恋 リュウ
74      難儀救はれ娘うつとり      恋  私
74      畳ののの字娘もじもじ      恋  氷心
75    永遠の少年コナンに囚はれて     恋  栞 (74両句に)
76      エカテリーナに成れもせぬのに     リュウ
77    若き血の流れた跡に花落ちる     春花 彼郎女
77    心中を気取られまいぞ飛ぶ花に    春花 海霧
78      古城遙かに蜃気楼立つ      春  リュウ(両句に)
名オ
79    白鳥の帰るまほらは神つ国      春  百
80      あつといふ間にかまひ時なり   春  彼郎女
81    自律するロボットなりと威張れども     ふない
82      心あるかとアトム悩める        不夜
83    言の葉は似て非なるもの多ければ      栞
84      まづは駄洒落でつかみOK       私
85    今時の生徒寒がりばかりなり     冬  氷心
86      石焼き芋と手温めのパイ     冬  リュウ
87    奥座敷障子穴から大きな目      冬  海霧
88      ゲゲゲの女房ただ今参上        栞
89    掌上に遊べるおやじ風呂に入る       がじゅまる
90      朝寝朝酒咎められずに         玄碩
91    をりをりの月に妙なる詩を吐いて   秋月 私
92      虫の声にも賛美惜しまじ     秋  不夜
名ウ
93    地芝居の準備おさおさおこたらず   秋  百
94      菊人形の立居艶やか       秋  栞
95    歓声を吸い込んでいる高い空     秋  氷心
96      スカイツリーを見あげ口開く      海霧
97    苗床の手入れを終えて一休み     春  彼郎女
98      遠き嶺嶺笑う雪形        春  がじゅまる
98      蟇穴を出づ古戦場跡       春  百
99    昼暗き切通し行く肩に花       春花 海霧
100     春の名残に持ちて帰らむ     春  彼郎女

 ※ 同じ番号の句は、ことわりがなければ最後の句に次の番号の句
   が続いたことを示す。

  オ  123456月8       (1〜8)
  ウ  12345678月012花4 (9〜22)
  二オ 123456789012月4 (23〜36)
  二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
  三オ 123456789012月4 (51〜64)
  三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
  名オ 123456789012月4 (79〜92)
  名ウ 123456花8       (93〜100)

 ※ twitterで巻かれた百韻
  一、自由連歌百韻 初懐紙     3.8〜3.28
  二、連歌百韻『花曇る』の巻   3.28〜4.9
  三、連歌百韻『つみ草や』の巻  4.10〜4.16
  四、連歌百韻『阿蘭陀を』の巻  4.16〜4.21
  五、連歌百韻『人垣を』の巻   5.10〜5.15
  六、連歌百韻『蚊柱を』の巻   5.17〜5.23
  七、連歌百韻『ナイターに』の巻  5.26〜6.2
  八、連歌百韻『目にしみる』の巻  6.4〜6.11
  九、連歌百韻『翁逝き』の巻    6.13〜6.18
  十、連歌百韻『はらからと』の巻  6.21〜6.

写真提供はフォト蔵さん

2010年6月12日土曜日

連歌百韻『目にしみる』の巻




座・ツイッター連歌 @zrenga 2010.6.4〜6.11 #jrenga 連歌 俳諧 連句 
アバターrenga.heroku.com  式目
               
1 発句  眼にしみる苔の御廟や鑑真忌    夏  草栞
1 発句  マズルカに揺れる故郷のあやめかな 夏  草栞
2 脇     吹かるゝままにまかす薫風   夏  私  (発句両句に)
3 第三  大広間ボンボン時計掛けられて      リュウ
3 第三  店先に玻璃の器を並べ立て        氷心
4       カランコロンと呼び出しのベル    彼郎女(3の両句に)
5     校庭を腰手拭ひの禿頭          不夜
6       時に変身ねずみ小僧で        海霧
7     高みへと少年跳びて月を蹴る    秋月 がじゅまる
8       金銀砂子棚田のうねり     秋  百

9     さらしなに遊子露けしからみ蕎麦  秋  私
10      寂しさばかりそぞろ身に入む  秋  栞
11    思い知る女心と秋の空       秋恋 彼郎女
12      口紅の味覚え初むるも     恋  不夜
13    赤紙を震はす君の泣き笑ひ     恋  氷心
14      軍事郵便一銭五厘          百
15    鳩兵の波郷の微熱下がらぬと       不夜
16      掃き清めたる小屋の隅々       氷心
17    帰れずにすすき河原の秘密基地   秋  がじゅまる
18      月面よぎる自転車の影     秋月 栞
19    秋の夜をポップコーンが弾け飛ぶ  秋  氷心
20      ディズニー通は帰る頃来る      私
21    花巡りあちらこちらに誘はれて   春花 不夜
22      胡蝶の恋は夢か現か      春恋 氷心
二オ
23    狂ほしく眠れぬままに春の鐘    春恋 栞
24      嫁菜を摘みし指の傷痕     春  彼郎女
24      ならのゝづらはかすみたつらん 春  私
25    写経する般若波羅蜜多はみだして     百(24両句に)
26      カタリ傾くジュリーの写真      不夜
27    黒き肌椰子の木漏れ日斑を作り      玄碩
28      帰路のクルーズシャンペンディナー  海霧
29    もう次にルパン三世ガンをつけ      百
30      女装は無理かとなでる青髭      私
31    どさ廻り子役スターもはたちすぎ     不夜
32      只人超えて罌粟粒に堕つ    夏  栞
33    誘惑の虫もあつめる走馬燈     夏  彼郎女
34      ほのと沈香にほふ濡れ縁       不夜
35    有明の月を寝息のにくいひと    秋月恋私
36      忘れ団扇に似顔したため    秋恋 栞
二ウ
37    きれぎれの情け残して別れ蚊帳   秋恋 百
38      大きな隈の目許うるわし    恋  彼郎女
39    見得を切る歌舞伎役者へ飛ぶ屋号     不夜
40      受けがいいのはハニードリンク    氷心
41    さつぱりと柚子湯を浴びて灯を点す 冬  栞
42      小愛男年用意する       冬月 リュウ
43    骨董市釜の蓋だけ何にする        百
44      卜伝流は一子相伝          不夜
44      護美とArtは際びめうなり     私
45    胎教によき楽をきく真剣さ        氷心(44両句に)
46      あいまいもこの梅雨の月あり  夏  百
47    涼風に晴雨兼用傘を干す      夏  彼郎女
48      隣家の刀自の江戸しぐさ美し     リュウ
48      真世に捧げるベルばら讃歌      栞
49    書きかけの和紙の便りに花数片   春花 海霧
50      夢を託して放つ風船      春  リュウ
三オ
51    行く春を惜しむかのよな影ふたつ  春  氷心
52      風に光りの縞走る湖      春  私
53    ヨットマン巧みに帆先操って       リュウ
53    暖かき雨にうたれる亀の子等    春  がじゅまる
54      艇庫の側の砂に足跡         不夜 (53両句に)
55    伝統の対校戦を見納めて         ふない
56      満を持してのコーチ就任       栞
57    ひな壇へフラッシュ雨と降り注ぎ     不夜
58      時の内閣奇兵隊らし         海霧
58      僕のハートはストップモーション 恋 氷心
59    夜も昼も想うは理系のやさ男    恋  玄碩
60      国文だけど話下手な娘     恋  ふない
61    合コンでもぢもぢ残つたもの同士  恋  私
62      甘いカクテル初めてのキス   恋  がじゅまる
63    ビル影は幾何学模様月涼し     夏月 不夜
64      蚊を叩く間に終わるテトリス  夏  彼郎女
三ウ
65    度胸決めお化け屋敷の最後の日   夏  海霧
66      社長呼び出し賃上げ迫る       不夜
67    営業の三羽がらすが酔いどれて      ふない
68      口約束は知らぬ存ぜぬ        栞
69    形見分けしたら出てきた遺言書      彼郎女
70      そつとのぞいてどつと冷や汗     私
71    驚かすつもりで裏の戸をくぐり      ふない
72      草の陰よりすだく虫の音    秋  不夜
73    箱根路を駕籠かき下る背なに月   秋月 海霧
74      湯気立ち昇る秋の朝焼け    秋  がじゅまる
75    珈琲は止して紅茶にしておくれ      氷心
76      文句いいつつ見入る昼ドラ      私
77    古民家の竃のぞく花の冷え     春花 百 (へっつい)
77    花守は継ぎますずいーっとご贔屓に 春花 リュウ
78      やんはり伸ばす畦塗りの腰   春  氷心(77両句に)
名オ
79    鶯の囀り少しフェルマータ     春  栞
80      口説き続けて終着駅まで    恋  リュウ
81    古女房騙し騙しの洗濯機      恋  がじゅまる
82      これ見よがしにパンフ集める     私
83    キッチンの隅にわづかな我が領土     不夜
84      御用はないか介護犬伏す       海霧
85    そんな目でこちら窺う健気さよ      彼郎女
86      オランダ坂の猫はいポーズ      栞
87    荒波に頬被して投げる餌      冬  不夜
88      長靴の中かゆい霜焼け     冬  リュウ
88      結果次第じゃ出るぞボーナス  冬  私
89    貯金する・しないで揉める雨の道     彼郎女(88両句に)
89    頑張ろう!掛け声だけの煤払い   冬  百  (88両句に)
90      明日になれば風向き変わる      不夜 (89両句に)
91    ビル街を睥睨してる真夜の月    秋月 リュウ
92      さんまを炙る屋上の人     秋  ふない
92      露けき肌の鉄人の吼ゆ     秋  がじゅまる
名ウ
93    あと一品どう料理する?松茸を   秋  栞  (92両句に)
93    表彰状その他は香港バスツアー      私  (92両句に)
94      アグネス・チャンは日本大好き    不夜 (93両句に)
95    地球儀で己の居場所確かめて       リュウ
96      小惑星の塵持ち帰り         海霧 
97    風光る空に手を振る幼子は     春  彼郎女
98      ほほえみさそうのどらかなうた 春  氷心
99    ほんのりと和紙染め上がる花の色  春花 百
100     家中揃ひて草餅の八つ     春  氷心

 ※ 同じ番号の句は、ことわりがなければ最後の句に次の番号の句
   が続いたことを示す。

  オ  123456月8       (1〜8)
  ウ  12345678月012花4 (9〜22)
  二オ 123456789012月4 (23〜36)
  二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
  三オ 123456789012月4 (51〜64)
  三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
  名オ 123456789012月4 (79〜92)
  名ウ 123456花8       (93〜100)

 ※ twitterで巻かれた百韻
  一、自由連歌百韻 初懐紙 3.8〜3.28
  二、連歌百韻『花曇る』の巻  3.28〜4.9
  三、連歌百韻『つみ草や』の巻  4.10〜4.16
  四、連歌百韻『阿蘭陀を』の巻  4.16〜4.21
  五、連歌百韻『人垣を』の巻  5.10〜5.15
  六、連歌百韻『蚊柱を』の巻  5.17〜5.23
  七、連歌百韻『ナイターに』の巻  5.26〜6.2
  八、連歌百韻『目にしみる』の巻  6.4〜6.11


写真提供はフォト蔵さん

2010年6月9日水曜日

連歌百韻『ほとゝぎす』の巻


ほとゝぎすの鳴き声

座・mixi連歌 2010.5.30〜6.14 #jrenga 連歌 俳諧 連句

1 発句  ほとゝぎす啼きつゝよぎる山路かな  春蘭 夏
2 脇     めざす高みは雲の峰なり     蘭  夏
3 第三  原点に戻るは難の多くして      同
4       ばねに転ずる負のスパイラル   草栞
5     ニッポンはもつか二度目のせんたく中 蘭
6       波の向こうに目指せ喜望を!   栞
7     月満ちて潮のうねるやいさり船    蘭  秋月 
8       ぼら番小屋に煙たなびき     栞  秋

9     色かへぬ松のこずゑは琴を弾く    蘭  秋
10      横笛の音に虫の合唱       栞  秋
11    夕霧のなびける友の未亡人      蘭  秋恋
12      小説よりも奇なる再会      栞  恋
13    埋み火をこころの奥に宿しきて    蘭  恋
14      生きる支えも人はそれぞれ    蘭
15    犬猫に慰められて世を忍ぶ      栞
16      挙句にはまるネットはいかい   蘭
17    現実と仮想の境あやふやに      栞
18      自他を超えよとしなる警策    蘭
19    場違いの派手なシャツ着て叩かれる  栞
20      爺の田打を手伝へば月      蘭  春月
21    土肥えて枯れ木に花の甦り      栞  春花
22      茶屋の行列あては菜飯か     蘭  春
二オ
23    噂の娘一目見たさに通ひ詰め     栞  恋
24      恋煩ひの秘薬飲まさる      蘭  恋
25    イゾルデの想ひ空しく愛果てぬ    栞  恋
26      幕が下りても去らぬひとびと   蘭
27    もう辞める言ひ続け早や年の暮れ   栞  冬
28      門松だけは山で調達       百  新年
29    その昔肥汲みに来し土地成金     蘭
30      黄綬褒章貰ひそこねて      栞
31    草の根の力を示すチャンス来る    百
32      かじりついてもまづは一年    蘭
33    石橋を叩いて渡る時は過ぎ      栞
34      離婚届も共に済たり       百
35    月に使者討入りの日を告げて消え   蘭  冬月
36      雪箒なく急ぎ竹取る       栞  冬
二ウ
37    手遊びに茶杓を作る世捨て人     百
38      句を詠む農婦みかねさし入れ   蘭
39    甘酒と団子を三串平らげる      栞  夏
40      麦藁帽子笑めば白き歯      百  夏
41    つかまえて見せてはにがす雨蛙    蘭  夏
42      ゲーム中では進化忽ち      栞
43    経済は理論どおりに動かない     蘭
44      春は曙プラス痴呆で       百  春
45    本懐を伏見の花にうち隠し      蘭  春花
46      杯流しの醍醐味に酔ふ      栞  春   
47    序の舞はまなじり紅き白拍子     蘭
47    行きずりの恋に萌えるも朧月     栞  春月恋
48      恋に身を焼く分別盛り      百  恋
49    義理チョコにしては皆より大きくて  蘭  恋  
50      気があるものと勘違いされ    栞  恋  
三オ
51    それとなく意中の人を口に出す    百  恋
52      あのひとは今的なタレント    蘭
53    晴々と近くて遠い雪解富士      百  夏
53    更衣してみたもののぎごちなく    栞  夏
54      三県またがる電車通勤      蘭   (53両句に)
55    火宅の身寄せし翁のゆかりの地    百
56      こゝらもうどん激戦区かも    蘭
57    かくなれば伝家の宝刀競ひ合ふ    栞
58      あとは買ったぁと叫ぶ読み売り  蘭
59    そそられてテレビショッピングやめられぬ 百
60      集団心理に弱い国民       蘭
61    政権もパチンコ屋のごとリニューアル 栞
62      適材適所は無げのことばよ    蘭 (なげ)
63    学級の委員選挙はうけ狙ひ      蘭
64      ボケとつっこみ上弦下弦     栞  秋月  
三ウ
65    蘊蓄を言ふは好きだが菊の酒     蘭  秋
66      時代祭の誰そあの媛は      栞  秋
67    さにつらふいろにどどめしさはやかさ 蘭  秋恋
68      帯にあわせしぽっくり履いて   百
69    どおどすえ舞子変身ぎをんまち    蘭
70      クールジャパンと皆が礼賛    栞
71    茅葺きの建て替へ寸前指定うけ    蘭
72      うなぎの寝床奥を座敷に     百
73    底冷えの夜半に差し込む月明り    栞  冬月
74      燠かきよせてくべる榾ぐい    蘭  冬
75    温め酒脚本にない本物を       百
76      真に迫つてハラハラドキドキ   栞
77    当て馬が仕切る花見に想ひ人     蘭  春花恋
78      愛しい声の囀りのよう      百  春恋
名オ
79    劇中の椿の姫に惚れ込んで      栞  春恋
80      妬いてふくるゝにようぼかはゆき 蘭  恋
81    額の花スイカ専用改札機       百  夏
82      夕涼みしてから帰ろうか     栞  夏
83    駅までの行く手をはばむビアガーデン 蘭  夏
84      一杯だけよが、きまり文句で   百
85    よくないと分かっちゃいるけどやめられず 栞
86      娘のお古着て若作り       蘭
87    楚々として少女のような含羞を    百  恋
88      赤らむ頬にそつと口づけ     栞  恋
89    懺悔する娼婦の涙に足濡れて     蘭
90      葡萄酒醸すアッシジの丘     百  秋
91    鳥の巣に話しかければ月昇る     栞  秋月
92      ふと読む伝記にふける秋灯    蘭  秋 
名ウ 
93    自分史を書いて置くにも平凡で    百
94      日々のつぶやき波瀾万丈?    栞
95    退いて無趣味ひねもすテレビ漬け   蘭
96      梅の実熟れて塩買いに行く    百  夏
97    川床に瀬音聞きつつ句を捻る     栞  夏
98      かたびら雪の頬をぬらして    百  春
99    追ひかけて花背あたりの花に酔ふ   蘭  春花
100     鞍馬の冠者の遅日儚き      栞  春 
 
 
※ 同じ番号の句は、ことわりがなければ最後の句に次の番号の句
  が続いたことを示す。

 オ  123456月8       (1〜8)
 ウ  12345678月012花4 (9〜22)
 二オ 123456789012月4 (23〜36)
 二ウ 12345678月012花4 (37〜50)
 三オ 123456789012月4 (51〜64)
 三ウ 12345678月012花4 (65〜78)
 名オ 123456789012月4 (79〜92)
 名ウ 123456花8       (93〜100)

写真提供は フォト蔵さん

2010年6月5日土曜日

新しみ ー 俳句と連句の違い 

#jrenga #jhaiku 俳句 連歌 俳諧 連句
能勢朝次『連句藝術の性格』交蘭社、昭和十八年

「連句における新鮮な感興を惹起するにはいかにすればよいであろうか。その点を考えると、発句においての新しさは、作者と作者の対する対象との関係において存在する。つまり作者が、自然なり人事なりを凝視して、その自然または人事の中から、他人の言い古していないところの新詩趣を探りとってくることが、俳句における新しさである。

俳句に写生などが勧められ、写生によって新生命が得られたのも、こうした立脚地に立つものであったがゆえである。新しき対象を発見し、その把握の仕方と表現の仕方に、個性的な味わいを出すことができれば、俳句としてはそれで十分なる新味を獲得したものと認められるのである。

しかるに、連句の感興は、前句というものに対して、巧妙に応ずるところが眼目である。従って、新しさというものは、前句への応じ方に存しなくてはならない。自己の独創なり個性味なりを主張する点にはなくて、自己を虚にして前句を受け入れ、自己に宿った前句の余情を噛み分けて、その余情に対して応じて行く行き方に新味が求められる。従って、付けた付句自身には、別に素材着眼に新しいところがなくとも、前句との関係において新しさがあればよいのである。」

感想:
連句芸術の核心中の核心をわかりやすく述べていると思う。連句は俳句あるいは川柳を単に連ねるものではない。ともすれば張り合って一句自体で目立ちたがろうとし、結果、前句との二句一連、短歌で読むと、ぎくしゃくごりごりとおさまりのよくないものとなってしまう傾向も一部に見られる。そうならないように、いつも肝に命じておきたい。

2010年6月4日金曜日

芭蕉が大様よろしと言った『俳諧無言抄』

■序
芭蕉は「差合の事は時宜にもよるべし。先は大かたにてよろし」(『三冊子』)と述べ、俳諧の作法式目について臨機応変に大要のみ踏まえればよいとしている。「格は句よりはなるる也。はなるるに習ひなし」とも言い、緩やかで柔軟な姿勢は見習いたいものである。また、それと軌を一にして、芭蕉は作法式目を文書化する意志のないことも表明している。

多くの作法式目書の中では、あえて挙げるとすれば、梅翁(釋了恵)の『俳諧無言抄』だけを「大様よろし」(『三冊子』)、「先ずよろしかるべし」(『旅寝論』)と言った。

●連歌作法式目書
 新式 応安五       二条良基、救済
 追加           二条良基
 今案           一条兼良、宗砌
 連歌新式追加並新式今案等 肖柏(上をまとめ漢和作法含めたもの)
 無言抄(連歌無言抄)   応其(木食上人楚仙?)紹巴序

●俳諧作法式目書
 御傘、その他貞門の諸書  松永貞徳など 「信用しがたし」
 誹諧埋木         北村季吟(貞門)芭蕉の遺品の一つ
 俳諧無言抄 1674年  梅翁(釋了恵)「大様よろし」

■俳諧無言抄
『俳諧無言抄』の歳時記(季語論)の部分は、(5)に原本の画像が載っている。『俳諧無言抄』の作法式目の部分を翻刻した書籍は未だない。原本でも完本はなく東大本、天理本、岐阜図書館本として分散されて秘蔵されており、一般人は見ようがない。しかし研究者の論文からその内容をうかがうことはできる。

南信一「俳諧無言抄について」は、『俳諧無言抄』と『三冊子』の記述を比較研究し、多くの一致点を明らかにしている。項につけた*は、『三冊子』にほぼ同じ記述があることを示す。

【俳諧無言抄の作法式目】
 序
中興貞徳、連歌無言抄に対して俳諧御傘をつくれり。これよりふたつの道、水と波とに立ち分かれぬ。然るに此の翁は紹巴の門弟ながら師にことなる筆力あり。ここにおいてその師弟のかはれるこころごころをいぶかしうおもひ侍るに、去る人、新式の抄を授しより、この旨に引きくらべて、まぎれたる筋道を正し、又年頃小耳にはさみ置きし先輩の説々を考え合せて、ふたつの書のうち是とおもふところどころを一とおり取り立てて、わたくしにしるせば已に一巻と成りぬ。
 
 俳諧
俳は戯也、諧は和也。古今集にざれ歌を俳諧歌と定め給し也。これになぞらえて連歌のただ言を世に俳諧の連歌と云う也。*
元来連歌の一体なれば新式の法にそむかざるを式目とする也。しばらくも此旨にそむかば此道の異端なるべし。

 俳言
声の字なべて俳也。(声の字とは、訓読でなく音読する言葉のこと。宗祇俳諧百韻で音読みの熟語が多い理由がわかった。)*
            
 輪廻の事
嵐と云に山と付けて、次に富士など付ければ、取りなして打越へかえる也。是等を嫌ふ也。他これに準ず。*

 遠輪廻の事
一巻の内、似たる句嫌ふ也。*

 発句
発句は一座の巻頭なれば、宗匠・貴人・珍客・老人等の他は有べからず*(我々は珍客ということでw)

 可覚悟事
新宅の会には、もゆる・やくるなどの火の類をいみ、。。。追善にはしづむ・おつるなどいむ事。。。*
(連衆の境遇を思いそれにふれそうなことは句に詠まないということ)

 脇の句
脇の句、亭主役といひ来る也。但し賓主の時宜によるべし。又、発句によりて相対して付る有。打ち添へて付る有、違い付、心付、頃留りなどの格はつねのならひ也。又、句の下の字を韻と云う事、てにはにて留らず、文字(漢字)にて留むる故也。*

 第三
惣じてむかしは句の留りの沙汰なし。宗祇よりの格式也。大かたて留り也。うたがいの切字(らん)の発句の時、第三ははね字(らん、ん)ならず。*
第三は、て留りもはね字もならぬようの時も、なし留り、に留り也。

かな留りの(発句の時)第三は「にて」ととまらずと昔はいへれど。。。もし脇の句に、てにをはにて留らば、第三は文字(漢字)にて留る也。常の人は常の留りの外はせぬものとこころうる。*

付心は転ずるを本意とする也。もし、違ひ付、取なし付の脇ならば転ずるに及ばざる也。脇にて転じたるゆへ也。*

 らん留り
惣じてらんはうたがひのはね字也。一句の中に押へ字有る也。はね字の上には、や、か、いつ、何、など等の詞置く事也。(例:何嘆くらん)又、句のしたによりておさへ字なくてもはぬる也。(例:寒からん、折らん)*

 四句目
四句目ぶりとて、也、けりなど軽ろき留りにて節なきをこのむ也。古事、本説などを嫌ふ也。*

 五句目
三て五らんとて、第三て留りならば、はね字あらまほしき也。第三て留りにあらずば、て留りこのましき也。五句目にてのがし侍らば、七句目に、てあらまほしき也。これらは定まりたる法にはあらず。こころへのためまで也。*

初の面に同字をいむと云うも懐紙をたしなむ所也。(懐紙の見栄えをよくするためである。)て留め・はね字(らん等)は句の一体、表道具と也。(懐紙の見栄えをよくするための道具である)*

 裏
連歌(百韻)には四春八木と覚えて、(初折、二折、三折の各裏の)四句目に春をし出さず、八句目に高き植物をし出さざるは、花につかゆる(差し支える)故也。*

(連歌では春の句数3句以上、7句去りであり、四句目で初めて春を出すと、結果的に、花の定座、各裏の13句目で花を詠めない。俳諧では春は5句去りなので、六句目で初めて春を出してはいけないことになる。)

花の前句に秋の字用捨あらまほしきわざ也。又花前より恋の句し出来むづかしきわざ也。*

 揚句
先輩の説に、付かざるがよきと也。是は一句に成て付あぐみ侍らば、一座の興とさむる物也。只あさあさと付るがよき也。又揚句は案じて置くとも云り。*

■感想
『俳諧無言抄』の実体が歳時記部分(5)とここで明らかにされた作法式目を足したものとすれば、とてもシンプルである。芭蕉が「大様よろし」と評した理由がわかるような気もする。昔は作法式目と歳時記(季語論:各季語をどの季節にあてはめるか、各季語ごとの去り嫌いなど)が一体であったようだ。各派が独自の作法式目+歳時記を持っていたということであろう。現在も歳時記の標準化ができないのはそれが理由かも知れない。

■参考文献
(1)南信一「俳諧無言抄について」
  in『国語』東京文理科大学終結記念号、昭和28.9 、都立図書館蔵
(2)東聖子「俳諧無言抄の考察」
  in 『俳文芸の研究』井本農一博士古稀記念、1983、角川書店
(3)服部土芳『三冊子』
(4)北村季吟『誹諧埋木』
(5)尾形仂編『近世前期歳時記十三種本文集成並びに総合索引』勉強社

2010年6月3日木曜日

支考、翁に難破される

『葛の松原』で支考は、余情付として、三つの付け方を提示したが、後に芭蕉に難破され、論を撤回し、別の三法七名八体説※を提唱した。

「世に景気付、こころ付といふ事は侍れど、

○走
     敵よせ来るむら松の音
   有明のなしうちゑぼし着たりけり
○響
     夜明の雉子は山か麓か
   五む十し何ならはしの春の風
○馨
     稲の葉のびの力なき風
   発心の初に越る鈴鹿やま

無所住心のところより付きたらば、百年の後、無心の道人あつて、誠によしといはむ。いとうれしからずや。」 (『葛の松原』支考)


「名目伝(露川)に馨(におい)・走(はしり)・響(ひびき)の事も、葛の松原(支考)を御学びなされ候かな。

これは故翁在世の時に、

 響とは起情の事也、

 走とは拍子の事也、

 馨とは百句が百句ながら二句の間のにほひ

をいへば、付方の一名には如何ならんと、其時に故翁に難破せられて、此たび十論(俳諧十論、支考)に弁義を付て、其誤りを悔み申し候。然ば貴房が名目伝も無用の沙汰と申すべく候。決して抜捨たまふべし。」(『口状 露川責』支考)

※ 三法:    有心付      会釈     遁句
  七名: 有心、向付、起情 会釈、拍子、色立  遁句
  八体: 其人 其場 時節 時分 天象 時宜 観相 面影

2010年6月2日水曜日

連歌百韻『ナイターに』の巻


座・ツイッター連歌 @zrenga 2010.5.26〜6.2 #jrenga 連歌 俳諧 連句 
アバターrenga.heroku.com  式目
               
発句  ナイターに人格かはる女かな     夏  彼郎女
脇     ベランダ越しに響く歓声     夏  ふない
第三  水打てば土の匂ひの立ち籠めて    夏  不夜
4     簾の下に覗く白肌           玄碩
5   白肌を気に病む乙女さつきばれ       蛉
5   茶道部に入りし動機はお菓子なり      私
6     忘れがたきは三笠山かも        がじゅまる
7   九つを数へるまでも愛でし月    秋月  氷心
8     風にまかせる蓑虫らしき     秋  海霧

9   芒の穂揺れて高鳴る胸の内      秋  草栞
10    気になっているネクタイの柄      リュウ
11  彼にまで自分の趣味をおしつけて      百
12    寝るなとつねりつゝの能楽       私
13  ぽぽと打つ手に感覚のなくなりて      不夜
14    画鋲拾ふに役に立つべし        百
15  家も靴アメリカナイズされた奴       私
16    口で詫びるも肩をすくめて       栞
16    キスにとろけるサンタクロース 冬恋  氷心
17  子供たちまだ起きていて鉢合はせ      私(16両句に)
18    入学式を終えし夜の月     春月  不夜
19  祝宴の蛤汁は大好評         春  海霧
20    纏めた髪に貝寄せの風      春  彼郎女
21  ヴィーナスの誕生告げる花吹雪   春花  栞
22    相部屋狭き産院の窓          ふない
二オ
23  捨てられることを知りつつゆるしたの 恋  不夜
24    着信履歴に君の名はなく     恋  彼郎女
25  天国のいつもあなたはわすれぐさ  夏恋  百
26    入道雲に笑顔え見えず     夏恋  がじゅまる
27  たよりなき娘ちぎりしみやこ人    恋  私
28    浦の板屋に聞くは時雨か     冬  不夜
29  風狂のさても哀しきやどりかな       私
30    きょう三度目の職務質問        氷心
31  父親の形見の帽子大きめで         彼郎女
32    片えくぼなる巻き毛の少女       不夜
33  物売りがワットむらがるアンコール     私
34    我に返ればすだく虫の音     秋  氷心
35  宵闇の鳥もかよはぬ関所址     秋月  百
36    秋のあかつき明けの明星     秋  がじゅまる
36    九月初旬の旅は格安       秋  私
二ウ
37  くんちへとブルートレイン駆け抜けぬ 秋  栞(36両句に)
38    トリック見抜く刑事ベテラン      不夜
39  挨拶の後でくるりと振り返り        ふない
40    擦り切れている母の前掛け       氷心
41  名女優年より老けて見せにけり       がじゅまる
42    北窓開き鏡を磨く        春  百
43  石鹸玉ぷかりと吹かす幼子や     春  彼郎女
43  初雷の門前を掃く師範代       春  不夜
44    衣の裾をはしょる春泥      春  氷心(43両句に)
44    そば屋ののれんまくる春風    春  私 (43両句に)
45  いざゆかん天橋立月見の宴     春月  がじゅまる
46    黒松並ぶ海岸の道           ふない
47  ドリフトの二台過ぎたり雲の峰    夏  不夜
48    見送る彼女キャミの短し        玄碩
49  参禅の門の厳めし花紅葉      雑花  私
50    掃き清めたる石庭の閑         リュウ
三オ
51  客の名を高浜虚子と聞きたれば       不夜
52    スケッチブック脇に抱きて       栞
53  手笠してあれは北岳独り言         海霧
54    散歩を様にしてくれる犬        私
55  空っ風次はどちらに吹くのやら    冬  リュウ
56    炬燵の中は己が楽園       冬  不夜
57  さっきから彼のノックを待っている  恋  氷心
58    試練に耐えて熱き抱擁      恋  栞
58    剥がされてゆく感覚が好き    恋  リュウ
59  革命に挫折二人の逃避行       恋  不夜(58両句に)
60    ハート打ち抜く弾を忍ばせ    恋  ふない
61  運動会位置についてと君の声    秋恋  彼郎女
62    釣瓶落として井戸に入る月   秋月  リュウ
63  飯の嵩おぎなふ藷も高くなり     秋  私
64    道の駅にはあまご並びて     秋  海霧
三ウ
65  長良川いまも現役職漁師          不夜
65  奥山で出で湯に浸かり一句詠む       栞
66    表彰状を自慢する父          氷心(65両句に)
67  四十年薄給無遅刻無欠勤          私
68    サマータイムが初の不覚に    夏  ふない
69  身の上を語る酌婦に絆されて        私
70    五右衛門風呂の敷板はずれ       海霧
71  拍子木に見得を切りたる石川屋       不夜
72    夜警廻りの冴えわたる声     冬  氷心
72    合掌造り守る夜廻り          百
73  早々に種火を落とす湯沸し器        ふない
74    ぬる燗を手に朧月見ゆ     春月  彼郎女
75  たゆたひてひとりたのしむひなのまへ 春  百
76    すだちにとりはさびしからずや  春  私
77  ひざ小僧ならべて喋る花の下    春花  不夜
78    弁当箱の包み解きつつ         彼郎女
名オ
79  新妻となりし彼の日を懐かしみ    恋  栞
80    たくましき腕引き寄せてみる   恋  ふない
81  おっちゃんはナックル姫に首ったけ  恋  栞
82    キャッチャーミット叩くどら声     不夜
83  猫一匹おわあおわあと青草に     夏  リュウ
84    対岸の灯は夕凪の街       夏  ふない
85  川べりの道を歩けば父の家         彼郎女
86    天金の書の並ぶ本棚          リュウ
87  ブレイクではっと閃くシャーロック     私
88    ワトソン君は昼寝してます       リュウ
89  音も無く姿見えねど涼新た      秋  氷心
90    ジャングルジムに秋の暮れゆく  秋  がじゅまる
91  満月や怪我なく家路たどる子等   秋月  海霧
92    への字さかさま案山子ほほえむ  秋  不夜
名ウ
93  豊年の清き稲株つらなりて      秋  ふない
94    わらしべ長者の夢よ再び        栞
95  縁日で大安売りの古布切          彼郎女
96    パッチワークと言へば体よき      私
97  春炬燵そろそろ外が恋しくて     春  不夜
98    伸びしてみれば風のやわらか   春  氷心
99  花霏々と熟睡の嬰を被ふなり    春花  リュウ(やや)
100  「にゃぁ」と物憂く去る猫の夫   春  海霧