2010年2月28日日曜日

萱草第五 恋連歌(七)










2007年05月19日08:30


 いつの一日かやすくすきける
夕ぐれはとひもとはずもたへわびて

 いかなる風の又しぐるらむ
さだめなき人をわすれて待(つ)暮に

  北畠大納言家に奉し追加の百句に
 かぎりをいそぐ世のほどぞうき
まつくれにひかりのかげもわすられて

 人の心にかぎりやはある
  といふ句に
わすれずばこよひならでもとはばとへ

 うらみてまつとつげもやらばや
とはばとへいのちはあすの暮もなし
 

 こゑよはりゆくむしのあはれさ
ひとりぬる霜夜の空に秋深て

 こころをすますよ半をとへかし
つゐの身の夢をも思ふひとりねに

 ふりはへてこぬ人はうらめし
いづかたのたよりに我をとひつらむ

 人のとかをしなともとむらん
いつはりにならへばねぬる夜半もきて

 かよふぞつらきしのぶ夜のみち
たまさかの契とかむな宿直人


参考文献:
京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』 [v.1, pp.102-103]
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0052.html

0 件のコメント: