2010年3月29日月曜日

平句(ひらく)

丈石『俳諧名目抄』には、「発句・脇・第三・挙句・四本の花の句、これ以外はみな平句といふ」とある。(『連歌辞典』)

なるほど。平句と言えば前田雀郎の川柳論、これだ。

前田雀郎『川柳と俳諧』  
「川柳を俳諧につないで考えたのは、私が早いかと思っております。したがって私のいま川柳に於てこころざすところもそこにあります。つまり俳諧の平句の心持に立って川柳する。これが私の、主張というよりも実践であります。」

なるほど。逆に言えば川柳の心持ちで俳諧の平句を詠むことであろう。俳諧の下地は川柳。

前田雀郎『川柳探求』『川柳と俳諧』

2010年3月28日日曜日

twitter連歌百韻『花曇る』の巻



式目<ーこちら

    連歌百韻『花曇る』の巻
                  2010.3.28〜4.9

発句 花曇るしばしは乙にいりびたる  春花 小日山
脇   春という名のコップ酒飲み   春  リュウ
第3 休日に隣りの畑も打ち終えて   春  不夜
4   西の斜面にあつき陽の差す   夏  ふない
5  豆腐屋が喇叭ふきふき漕いでゆく    私
6   オフのビートであわす口笛      リュウ
7  寝待月遠くに汽笛聴きながら   秋月 不夜    
8   野をよこぎるは瓜坊の影    秋  海霧
初折裏
9  子どもらの行進今日は運動会   秋  さわ
10  好きと言えずにあかんべえする 恋  リュウ
11 透きとおる碧き瞳に魅せられて  恋  私  
12  文読み返す午後のひととき   恋  不夜
13 夕餉にはあるじの好きな蕪汁   冬  リュウ 
13 思い立ち夏山目指す単独行    夏  リュウ
14  無人の部屋で回るクーラー   夏  ふない
15 ナイターの声援流る月の下    夏月 海霧   
16  プロを夢みし少年時代        さわ
17 落ちぶれて終の住みかぞ段ボール    不夜  
18  空き缶御殿夢のあとさき       小日山  
19 自然こそ最も偉大なアーティスト    私
20  離れ小島に渡るすべなし       ふない
21 足摺の僧を和ませ舞う桜     春  リュウ
22  濡れ衣まとふ海女のたくまし  春  私
二折表
23 高らかに黄砂を飛ばすワルキューレ春  リュウ 
23 手にカメラそぞろ歩けば風光る  春  不夜
24  姿は見えぬ鳥のさえずり    春  さわ
25 放課後の小学校の敷地裏        ふない
26  ルールくどくど俄かコーチが     海霧
27 ツイッター連歌と称しあやしくも    私
28  零と壱もて繋ぐ万国         不夜
29 ねむこ様京の夕日はきれいです     小日山
30  人恋しさにコンビニへ行く      さわ
31 三日目が一つの山か山籠り       私
32  ピースとばかり鳴かぬ鳩なり     リュウ 
32  煤払いする寒山拾得      冬  リュウ
33 道具屋の奥より漏れるテレビの音    ふない
34  高々笑う西太后をり         海霧
35 有明に貴種流離譚読了し     秋月 リュウ
36  裏の空き地にすすき波打つ   秋  さわ 
二折裏
37 小牡鹿の声する森は夕映えて   秋  私   
37 小牡鹿は声うら返るほどに啼き  秋  私  
38  霧のグランド試合中断     秋  不夜
39 きゅうくつな簡易合羽を身にまとい   ふない
40  震える肩をそっと抱き寄せ   恋  リュウ
41 懐炉なり子猫一匹懐に         さわ  
41 ささめごとふと途切れたる折ふしに恋  不夜
42  言ひ尽くせない好きな気持は  恋  私 
43 西行の歌をつぶやく花の本    春花 不夜
44  まだまだ早いと孫と草摘む   春  ふない
45 大漁と活気満ちたりいかなご船  春  海霧
46  夕月かゝり霞む島々      春月 私
47 のがれきてみやこはるかなわびずまひ  〃 
48  NO WAY OUT クレムリンまで     リュウ  
49 救出を信じて耐える地下の部屋     不夜 
50  おが屑詰めし箱の球根        ふない
三折表
51 営業も出荷手伝う忙しさ        不夜
52  電話機鳴れど手は届かざり      ふない
53 冬帽にゆるキャラのロゴ縫いつけて 冬 リュウ 
54  ふたりでひとつ長い襟巻き   冬恋 私
55 だしぬけにキスの気配に目をつむり 恋 海霧
56  共に奈落に堕ちる悦楽      恋 リュウ
57 端赤きコルクの栓の転がりぬ      ふない
58  百科全書の厚い背表紙        不夜
59 予約する英吉利仏蘭西船の旅      リュウ
60  バイトで足りず親に借金       私
61 ロードバイクやはり目がゆく高級車   私
62  お遍路さんにつづれさせさせ   秋 リュウ
62  赤灯遠く釣瓶落としに      秋 海霧 
63 月の出に気を入れ直す旅やつれ  秋月 私
64  踏み出せば止む畦の虫声     秋 さわ
三折裏
65 武蔵野をほっくり返し腰痛め      百
66  小人閑居YouTube三昧     草栞
66  遠眼鏡にて定点観測         リュウ
67 剣玉で昔の技を自慢せり        リュウ
67 ライトアップ瞬きできぬ花の精  春花 百
68  常に上向く花粉症の妻      春 私 
69 入学の暮らし知らせる文受けて   春 ふない
70  いつまで経てど桜ちりぬる    春 小日山
70  やはり気になるタテの関係      リュウ
71 また雨と寺の瓦の色は濃く       海霧
72  ガムランの音のかすかに漏るる    不夜
73 月明かり熱き視線の島娘     夏月 私
74  瀧岩を打つ風のさ中に      夏 不夜
75 おのが身の虚空に同ず只管打座     私
76  ふと気がつけば膝に猫寝る      〃
77 船を漕ぐ主と振幅同じにし       狸
78  涎垂らして陽だまりの中       〃
名残折表
79 不覚にも酔吟先生度を越して      私
80  松の内まで続く休診      新年 草栞
81 書き初めは習い覚えしドイツ文字 新年 不夜
82  ウチの婿さん金髪碧眼        リュウ
82  後生大事にヘッセの詩集       海霧
83 愛読の書に因みしといふ命名      さわ
84  淡き想いと苦き想いと        狸
85 氷雨降る護岸の上に尻を据え    夏 ふない
85 冬安居剃りの青さに胸打たれ   冬恋 リュウ
86  芽の伸びるのを凝視している 春/雑 狸
87 高級なお茶の畝には黒シート    春 私
88  隙間に出ずる菫二株       春 不夜
88  日陰ものにも春はあまねく    春 私
89 地位も無き権力も無きひさかたの    不夜
90  盗み酒され壜もなくなる       百
91 しみじみと昔語りのこの良夜   秋月 私
92  楊子を伸ばす大皿の梨      秋 ふない
名残折裏
93 秋団扇土佐のうたげの豪快に    秋 不夜
94  還暦過ぎて紅白に出る        リュウ
95 残り火は掻き立てずおく同期会     リュウ
96  形は変はれどよみがへるとき     私 
97 千歳ふる花の大樹に掌をふれて  春花 〃
98  全山覆う木の芽草の芽      春 不夜
99 ハーレーを飛ばし弥生野駆け抜ける 春 リュウ
100 ピチピチピチピチ揚雲雀鳴く   春 私
100 飛燕の影がよぎる坂道      春 海霧


※ 同じ番号の句は、最後の句に次の句が続いたことを示す。

写真(上)提供はフォト蔵さん 写真(下)は連歌百韻の懐紙の折り方と綴じ方。

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(8)一座三・四・五句物



底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字で一部のみ。[ ]は訳者注。ここで言う一座とは連歌百韻一巻のこと。

一、一座三句物

 春月 夏月 冬月 神 花(近年為四句物) 藤 柳 桜 紅葉
 落葉 荻 薄 都 塩 瀧 岸 文 狩 鶏 鹿 車 草花過て
 花の草の庵 花の草枕各詞をかへてすへし 燈 獨

一、一座四句物

 雪 有明 関 氷 鐘 空 宮 朝風 朝霜などの朝字 夕風 夕霧の夕字
 鳥 火 玉字 葉字 寝字 天字 屋の字 戸

一、一座五句物

 世 梅 橋
 
 To Be Continued. 

『連歌辞典』



正風連歌にフォーカスし、連歌の用語、作法、式目、歴代の連歌師、連歌作品、連歌論、紀行文などを網羅している。俳諧の連歌は対象外。目が止まり書き留めて置きたいと思った箇所は以下の三つ。

QT @連歌辞典: はじめに
とは言うものの実は、現在、連歌は意外に盛んなのです。どこの話かと疑われるかも知れませんが、主としてインターネット上での話です。 ・・・ ネット上に多くの連歌会が開かれ、不特定多数の人々が連歌(らしきもの)を作っているのです。
(同じくらしきものを詠んでいるうちらの存在も確認してくれたかしら(^^))

QT @連歌辞典: 取りなし
付け方の一体。前句の言葉や意味を、もとの意味と違ったものに取りなして転じる手法をいう。二条良基『撃蒙抄』にも見える同音異義(「恨み」を「浦見」など)に転換する詞の取りなしと、前句の場面や動作主体を転化する心の取りなしとがある。宗牧『当世連歌秘事』によれば、宗砌はこれも大事であるとしたが、宗祇は『長六文』で好ましくない例を挙げて批判した。宗長『連歌比況集』では前句のもとの内容を無視することのないように注意すべきと説く。
(俳諧の連歌では、基本原理の一つに昇格している。見立て替え。平易に言えば曲解。)

QT @連歌辞典: 二五三四の句
短句の下七音が、二音と五音に分かれずに、三音と四音になるのがよいということをいう。」『肖柏伝書』には「二五」の句として「山の遠きやまづ暮れぬらん」を挙げ、「まづ」と「暮れぬらん」と切れるので、「ことのほか句がら切れ切れにて聞きにくきや」とし、「山の遠きや夕べなるらん」とすれば、「夕べ」と「なるらん」となり、「これはのびのびとしてしかるべく候ふ」と述べる。宗牧『四道九品』では「下句の習ひ」として、「二五三四はよきなり」、「五二四三は悪きなり」としている。
                 *
    肖柏  宗牧  通泰  茂吉  猿蓑  私
二五  ●   ○   ー   ー   ●   ○
五二  ー   ●   ー   ー   ○   ○
三四  ○   ○   ○   ○   ○   ○
四三  ー   ●   ●   ○   ●   ●

短歌に於ける四三調の結句

2010年3月27日土曜日

連歌用式目 for 百韻/千句

#jrenga 連歌 俳諧 連句 @zrenga アバターrenga.heroku.com

■ 百韻
         
 初折表 123456月8       (1〜8)
 初折裏 12345678月012花4 (9〜22)
 二折表 123456789012月4 (23〜36)
 二折裏 12345678月012花4 (37〜50)
 三折表 123456789012月4 (51〜64)
 三折裏 12345678月012花4 (65〜78)
 名残表 123456789012月4 (79〜92)
 名残裏 123456花8       (93〜100)

式目
1、四花七月 花は折に一つ。月は面に一つ(名残裏除く)。定座は任意。
2、春秋は、三句から五句まで。五句去り。
  夏冬は、一句から三句まで。二句去り。
3、恋は、 一句から五句まで。二句以上がベター。三句去り。


■ 千句
                            定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
 初折裏 12345678901234 (9〜22) __________
 二折表 12345678901234 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
 二折裏 12345678901234 (37〜50)__________
 三折表 12345678901234 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
 三折裏 12345678901234 (65〜78)__________
 名残表 12345678901234 (79〜92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93〜100)_________

式目
1、千句を構成する十の各百韻は四花四〜七月とする。定座なし。
2、千句一座にわたる一座一句物は、鬼、龍、狼、血、屍、幽霊、天狗などの類のみとし、
  その他の一座一句物は、従来通り各百韻の範囲内で適用することとする。

 その他のこまごました式目については、正風芭蕉流準拠、臨機応変の沙汰。芭蕉翁(永遠の宗匠)は、連歌新式以降の後世の式目書はすべて信用しがたしと断じ自身では式目書を残しておりませんので、『去来抄』『三冊子』『貞享式海印録』など信用のおける俳書にしたがうことといたします。  

 式目以前の基本的な作法は、正風芭蕉流準拠十カ条 に従います。 以上

2010年3月26日金曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(7)一座二句物



底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字で一部のみ。[ ]は訳者注。ここで言う一座とは連歌百韻一巻のこと。

一、一座二句物
 暁 代[よ] 春風 秋風 松風 五月雨 夕 今日 庵 古郷 岡 
 池 湊 宿 庭 雁 猿 旅字 命 老 男 佐保姫 橋姫之類 
 なりにけり おもひしに 物を 戀しく こひしき うらみ うらむ
 時雨 朝 鶴 名残 面影 さびしき 玉緒 梢 稲葉 塵 法 嶺
 海 野邊 小野 軒垣 籬 待戀 逢戀 別戀等之類 をち はなし
 もなし 詞 莚 ながめ 涼

 これらの語は、百韻一巻で二回使ってよいのだが、同じ字面、同じ趣向、
 同じ季節などにならないように工夫すべきとして、各語に小文字でコメ
 ントが付いている。例えば五月雨は、一回は五月雨として使い、もう一
 回は梅雨とせよ。名残は、一回は恋で使い、もう一回は花(桜)で使え
 などとの指示が記述されている。(繁雑なので省略)
 
 To Be Continued. 

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(6)一座一句物


底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字で一部のみ。[ ]は訳者注。ここで言う一座とは連歌百韻一巻のこと。

一、一座一句物

若菜 款冬[やまぶき]躑躅 杜若 牡丹 橘 女郎花 檜原 櫨(如此植物)
鴬 喚子鳥 顔鳥(春也)郭公[ほととぎす]蛍 蝉 日晩 松虫 鈴虫 
蛬虫[きりぎりす]熊 虎 龍 猪(如此動物)鬼 女 昔 古 夕暮 昨日 
夕立 村雨 雨(但近年為二句之物) 碪[砧]嵐(近年為二句) 木枯 
朝月 夕月 隠家 外面 なるこ ひだ 樞[とぼそ]閨(如此類)松虫 鈴虫
蛬虫 春雨 小雨等 あまそゝぎ 雨夜 馬 遅日 春寒 秋寒 砌 床

2010年3月25日木曜日

木香薔薇の芽吹き


   透く垣をふさぐ若葉よ雨しづく 
       
      #575 #jhaiku 五七五 俳句 (木香薔薇の芽吹きのスピードはすごい)

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(5)雑物躰用事



底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
   上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

    後普光園御筆
    [二条良基]
  
 源氏物語は大部のものなれは三句すへし但同所は二句はかりすへき也(雖有此説
 不庶幾也用本哥用古事之条重畳可有斟酌云々況於同物語乎)

   源氏物語は大部のものなれば[連歌百韻一巻で]三句すべし。ただし同じ所
   は二句ばかり[続ける]すべきなり。(この説あるといえども庶幾[しょき
   :切望する、こいねがう]せぬなり。本歌に用い故事に用いるの条[条項]
   は重畳にして斟酌あるべし、うんぬん。いわんや同じく物語においてをや。)

一 雑物躰用事
 雑物体用の事

 假令春と云句に弓と付て又ひくかへるをすなと付へからす是用なる故也本末とは
 付へし 是躰なるゆへなり

   けりょう[たとえば]春という句に弓と付きてまた引く・返る・押すなど付
   くべからず。これ用[例:動詞]なるゆえなり。本[もと]・末[すえ]とは付
   くべし。これは体[例:名詞]なるゆえなり。
   
   春を張るに取り成して弓が付いた、これに引くの類を付けると張る(用)、
   弓(体)、引く(用)で用体用の繰り返し(打越)となる。 
                     
   [春(張る)/弓/ひく・かへる・をす ×]
      用   体   用

   [春(張る)/弓/本・末 ◯]
      用   体   体

 打越に躰あらは本末又不可然長と云句に縄と付て又短なと是を付す是躰なる故
 也くる引なとは可付之是用也

   打越[前々句]に体あらば、本・末はまた然るべからず。長という句に縄と
   付きてまた短などこれを付けず。これ体なるゆえなり。繰る・引くなどはこ
   れ付くべし。これ用なり。

   [長/縄/短 ×]
    体 体 体
 
   [長/縄/繰る・引く ◯]
    体 体 用

   [要するに、打越が同じものだと×、違っていれば◯

         体用体 用体用 用用用 体体体 ×
         体用用 用体体 用用体 体体用 ◯

    体用とは何か、辞書によれば、主体・本体となる詞(体)と、その作用・
    属性を表す詞(用)のこと。例えば、「海・浦」が体、「浪・氷」が用と
    なる類。長・短が体とはちょっと解せない。]
   

 参考文献:岩波書店 日本古典文学大系 連歌論集・俳論集 連理秘抄

 To Be Continued. 

2010年3月24日水曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(4)本歌事




底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

一 本歌事
 本歌の事

 三句にわたるへからす(本説物語同之)但迯哥あらは不可嫌之凡新古今已来作者
 不可用之 但(至續後撰集可用本哥之由被定)
   三句にわたるべからず。(本説[漢詩・故事・俗諺等を引用]・物語これに
   同じ)ただし逃歌[言い逃れできるような歌]あらばこれを嫌らうべからず。
   およそ新古今以来、作者はこれを用いず。(ただし続後撰集に至り本歌を用
   すべし。このよしまた定めらる。)
 
 本哥堀川院百首作者まてをとるへし 雖為近代作者證哥には可用之  
   本歌は堀川院百首[後拾遺和歌集と金葉和歌集の間に成立した初の組題百首
   ・部類百首]の作者までを取るべし。近代作者といえども証歌[本歌取りす
   る歌]にはこれを用すべし。

 堀川院両度百首作者まて縦雖入近代集可為本歌之例但人のあまねく不知哥をは付
 合に是をこのむへからす依事可引用證哥也
   堀川院両度百首の作者までたとえ近代集に入るといえども本歌の例と為すべ
   し。ただし人のあまねく知らぬ歌をば付合いにこれを好むべからず。事に依
   り証歌を引用すべきなり。
  
 To Be Continued. 

2010年3月23日火曜日

雪解水



  森切れてとみに高鳴る雪解水  

                #jhaiku 俳句 (ゆきげみず)

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(3)遠輪廻事



底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

一 遠輪廻事
 遠輪廻の事[遠輪廻:とおりんね 打越より離れた同意同想の語句趣向の繰り返し]

 假令花と云句に風とも霞とも付て又不可付之数句をへたつといふとも一座に可嫌之
 (他准之) 
   たとえ[ば]、花という句に風とも霞とも付けてまた[花に風や霞を]付けるべ
   からず。[打越よりも]数句隔つというとも一座[連歌一巻]にこれを嫌うべし。
   (他これに准ずる。)

   [花/風・霞。。。。花/風・霞 ×]

 花に付る風霞の類近来強不及沙汰歟(用此儀)若猶可守新式歟又竹と云句に世と
 付て又夜字不付之如此之類又遠輪廻也
   花に付ける風・霞の類、近来強いて沙汰に及ばずや(此の儀用す)。もしなお
   新式を守るべきか。また竹という句に世と付けてまた夜の字はこれに付けず。
   かくの如き類はまた遠輪廻なり。

   [竹/世。。。。竹/夜 ×]
  
 To Be Continued. 

2010年3月22日月曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(2)輪廻事


底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

一 輪廻事
 輪廻の事[輪廻:同意同想の語句趣向の繰り返し]
  
 薫といふ句にこかると付て又紅葉を付へからす。舟にて是を付へし。こかると云字
 かはる故也
   薫という句にこがると付けてまた紅葉(もみぢ)を付くべからす。舟にてこれを
   付くべし。こがると云う字は替わるゆえなり。

   [薫/こがる/紅葉 ×(同想)、薫/こがる/舟 ◯(焦がるを漕がるに見立
    て替え)なるほど、多義的な言葉はひらがなにしておくとよいのかもw] 

 煙と云句に里と付て又柴焼なと薪の類を不可付(他准之)夕立に雲を付て打越に
 電雷不可然
   煙という句に里と付けてまた柴焼きなど薪の類を付くべからず。(他これに
   准ずる)夕立に雲を付けて打越に電雷は然るべからず。

   [煙/里/柴焼・薪 ×、電雷/夕立/雲 ×]

 雪に冨士を付て又氷室不可然(他准之)夢と云句に面影と付て月花を付る事面影
 ものと云て近代不付之更無其理曾以不可嫌之
   雪に富士を付けてまた氷室は然るべからず。(他これに准ずる)夢という句
   に面影と付けて月花を付けること、面影ものといいて近代はこれを付けず。
   更に其の理なし。かつてもってこれを嫌うべからず。

   [雪/富士/氷室 ×、夢/面影/月花 △] 


 To Be Continued. 

2010年3月21日日曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(1)韻字事











底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

一 韻字事
   韻字の事[韻字:句の留め]

  物名(朝夕の字同之他准之)与詞字不嫌之

   物の名(朝夕の字はこれに同じ。他これに准ずる。)と詞の字
  [助詞や助動詞など]はこれ[打越]を嫌わず。

  物名与物名可嫌打越(時雨夕暮なと留事近代不嫌之)

   物の名と物の名は打越を嫌うべし。(時雨夕暮など留まる
   事は近代これを嫌わず。)

  詞字つゝけりかならんして(如此之類可嫌打越他准之)

   詞の字 つゝ けり かな らん して (かくの如き類
   は打越を嫌うべし。他これに准ずる。)

  哉字近代発句の外ねかひかなとて或一用之此外ハ不可用之ね
  かひかな懐紙をかへて可用之

   哉の字近代発句の外はねがひかなとて或は一つこれを用す。
   此の外はこれを用いず。ねがひかなは懐紙を替えて[別の
   巻で]これを用いるべし。

  To Be Continued. 

越生墓参










家族が唱題をし出し私は黙って経の文字を追っていたとき、後ろの山からうぐいすが啼きだ出した。私の代わりに唱和してくれたのだ(^^)
 
    うぐひすも唱題和する墓参かな

2010年3月17日水曜日

twitter自由連歌 初懐紙 百韻満尾

























    twitter自由連歌 初懐紙  
                  2010.3.8〜3.28
                  at @rengawatashide
           
1  ひともとをさながら梅の林かな    大虫 
2   藁屋まばらに冴かへる丘      石友
3  軽袗の色あたらしく猿曳て      嶷北
4   磯がこっぱか実は葎か      小日山
5  綾瀬なす当駅始発外したる     小日山   
6   我等ある中友の会哉       小日山
7  よくぞまぁここまできたよ夫婦坂    私
8   垣の股根に煉瓦敷くべき     小日山
9  時間軸空間軸をも錯雑地      小日山
10  青首大根月に肩脱ぐ         私
11 独り身の食は大儀とおでん買ふ     私
12  似たもの喰らふ者はあらむや   彼郎女
13 ひとしれずひなにほころぶ花折つて   私
13 有機物全対応の燃料電池      小日山
14  かたき心も揺り動かさむ     彼郎女  
15 吾の心しろき扉を開く鍵      小日山
16  ゆきげの川に立つる朝もや      私
17 河原なるテレビに磁石白南準    小日山
18  興味津々お目目白黒         私
18  お気に召すまま国をうつして   彼郎女
19 青丹よし寧楽に大仏開眼す       私 
20  罪の記憶から目をそらすまじ   彼郎女
21 扉開く歪んだあいがつまってる   小日山
22  なみだはぢらふしぐさかはゆき    私
23 花束をうつむいたまま手に取りて  彼郎女
24  わたしまけないこっぱのきもちよ 小日山
25 蒼穹の昴が星と占に出て        私
26  遥かな地より時は流転す     彼郎女
27 高円寺此処も未来地開演だ     小日山
28  カフェをすっくとひとり出で立つ   私
29「わたしには男を見る目がなかったわ」彼郎女
30  たにやまひろこひとりただよう  小日山
31 夕暮れてまちがふ街の曲がり角     私
32  誰そ彼などと問ふ心地せむ    彼郎女
33 ドッペルという猫鮫を見てるなう  小日山
34  鼬・鼠もある魚の名        さわ
35 やらせより記録映画が面白い      私
36  これがわたしのありのままです  彼郎女
37 分枝する連歌拡散多様体      小日山
38  老若男女大乗の船          私
39 春の朝満員電車に今日も乗り     さわ
40  皆すこしずつ目をそらしつつ   彼郎女
41 微光さすプラハの春も暮れゆかむ  小日山
42  千秋のだめの指揮はあたはず     私
43 幕下りて火照りに夜風こころよし   さわ
44  さて目が覚めた早朝出勤     小日山
45 鶯の声の眩しき美山かな     不夜あん
46  かすみに幽かうごく野良人      私
47 ノラ人間さては俳諧労働者     小日山 乙
48  つかつがねるらにゃにゃもすてってや 同 乙
49 南米の赤いダイヤと人は呼ぶ    ふない 乙
47 菜の花の沖を今行く黒船に    不夜あん
48  龍馬あ然と立ち尽くすのみ      私
49 ちょっと待て俺がドラマの主役だと?!郎女
50  ファミレスの窓人影繁く     ふない
51 向かい側あれは交通事故かしら   彼郎女
52  主のいない自転車停まる      さわ
53 行きずりの事故のごとくにおわるこひ 小日山
54  塀の隙間を抜けて猫逃ぐ     ふない
55 声高にこわつぱどもが帰るらん     私
56  そうか昨日は卒業式か      彼郎女
57 ホームより見返る山の残り雪     さわ
58  幼馴染は嫁ぎしと聞く        私   
59 はるなのにお別れですかと芳恵詠む 小日山
60  いつまで経ってもアイドルぶりっこ  私
61 黄砂飛ぶ墓地にレースの日傘さし  ふない
62  さらさらくずれおちてゆく影   彼郎女
63 衣擦れの音にふるへる朧月       私
64  小さきボート岸を離れり     ふない
65 全てはね、夜のあいだの出来事さ  小日山
66  夢の記憶はすでに薄れて      さわ
67 大学に新たに出来しカフェテラス  ふない
68  しばらく営業準備中です     彼郎女
68  椅子をずらして白木蓮見る     海霧
69 さっとひくルージュの色は桜色    海霧
70  千年変わらぬ心ときめき      さわ
71 万葉の和歌を連綿散らし書き      私
72  すでに清書はプリントアウト    不夜
73 朝ぼらけコンビニまでの下り坂   ふない
74  三日の月は朧のままで       海霧
74  もはや何時に寝ても早起き      私 
75 ほろ酔いのままにふらふら歩く道  彼郎女
76  終夜営業建装事業部       小日山
77 彼の人の博多土産に触れもせで   ふない
78  われのよそみをあだといふらん    私
78  一人寂しく啜る冷酒        ひろ
79 窓のそと横切ってゆく影ふたつ   彼郎女
80  着膨れ爺を呼び寄せる声     ふない
81「予報では暑くなるって言ってたよ?」彼郎女
82  つばくろやけに低く飛び交ふ     私
83 くれなゐの薔薇の新芽の針に触れ   さわ
84  アウトブレイク接触感染     小日山
85 日課なるプールウォーキング復活祭  海霧
86  細りし足に水の冷たさ      ふない
87 潮騒の音ささやかに春の宵     彼郎女
88  はにかみながら花の咲き初む     私
89 場所取りが新入社員の初仕事      同
90  待ちくたびれた目に缶麦酒    彼郎女
91 懐中のパンフレットも読み尽くし  ふない
92  ようやく呼ばる歯科治療室     海霧
93 もう今日で終わるはずだと言い聞かせ 彼郎女
94  九十四では終えるすべ無く    小日山
95 あまたたび心に誓ふ「次こそは」   さわ
96  拍手喝采氷上の金          私
97 子供らしき頬の丸みもいつか消え  ふない
98 「彼がいるの」と打ち明けメール   さわ
99 知りし事過去log精査朝の酒   小日山
100 カッコウカッコウと郭公のなく    私

       大虫  一  
       石友  一
       嶷北  一
       小日山 二十三
       彼郎女 二十一
       さわ  十
       不夜  二
       ふない 十一
       海霧  五
       ひろ  一
       私   二十七

発句〜第三は先人の句:幕末の観梅 俳諧

2010年3月10日水曜日

Googleやmixiでtwitter

遅耳でGoogleとtwitterの連携話を聞いたばかりだったが、Googleはすでにtwitterのリアルタイム検索機能を実装していた。試しに<愛子さま>で検索する。検索結果の画面の<検索ツールを表示>をクリックすると左に欄が展開される。その中の<期間指定なし><最新>をクリックすると検索結果にtwitterのつぶやきが表示されている。しかもリアルタイムに更新されるので画面が動く。

GoogleBuzz(バズ)は、現在Gmailに付属しているが、久しぶりにクリックしてみたら、twitterの自分のプロフィールのタイムラインがまるごと表示された。

また、mixiアプリにしらーっとゲームに混じり、テスト版だがmixiとtwitterの連携をするというTweeton mixi α0.2が載っていた。試しに使ってみる。Safariではうんともすんとも言わないのでFireFoxでやったら繋がりmixi側にtwitterのクライアント画面が展開された。画面の見た目はtwitterとは違うが内容(つぶやきのタイムライン)は一緒だ。mixiボイスというのもあり、mixiはどうするつもりなのか。

あるライブTVサイトでは、ライブ映像の脇にTwitterのタイムラインが流れており、出演者と視聴者がtwitterのつぶやきで対話していた。twitterアカウントがない人は、コメントできないが見てはいるわけだ。

twitterを食わず嫌いだとしても知らないうちに使っていたという流れになりつつあるようだ。

2010年3月6日土曜日

川柳

これからの世論調査はツイッター test via mail of iPod touch

川柳

つぶやきが世界を変えるかも知れぬ test via blogpress of iPod touch

2010年3月4日木曜日

俳句と川柳

復本一郎『俳句と川柳 ー 笑いと切れの考え方、たのしみ方』
 講談社現代新書、1999年


エキス:
■ 笑いの後退
 現代の俳句から笑いが消えた。川柳もその恐れがある。笑いを伴う「穿ち」が後退している。両者への笑いの復権を提唱したい。

俳句は俳諧の発句、川柳は俳諧の平句(発句、脇、第三以外の句)をルーツとする。「滑稽のおかしみを宗とせざればはいかいにあらず」と許六も言っている。

その師、芭蕉は古今多くのひとから笑いを後退させた張本人とされている。談林の在色は、蕉風の俳諧を連歌の腰折れと呼んだ。俳諧の滑稽・利口が欠如しているというのだ。

芭蕉は滑稽を最後まで意識していたと思うが、さびなどの強調により滑稽を希薄にしたのはたしかだろう。

子規は俳句の滑稽には雅味、品格、趣きが必要とし滑稽句を詠んでいた。写生説の主張とともに笑いの要素は希薄になっていった。


■ 俳句と川柳の違い
 川柳的俳句、俳句的川柳は両方ともだめだ。特に現代川柳作者に俳句っぽい句が多い。そして両者の違いは微妙と平気で答える。柳俳一如という輩までいる。

<俳句>  <川柳>
季語必須  季語任意 無季俳句を認めると違いがない
自然    人事   そうとも言い切れない 
叙情    批判   そうとも言い切れない
笑い    笑いのある「穿ち」 これが先ず必要
切れあり  切れなし  違いはこの一点である


■「切れ」とは
 著者は一句に完結性と二重構造性(二句一章?)をもたらすものとして独自の論を展開しているが分かりにくい。ネットで素晴らしい説明がみつかったのでそれで代用する。

【「切れ」とは,句の途中に置いて一句を意味的に,もしくは構造的に二つの部分に分けたり,あるいは最後を強く言い切ったりすることにより,俳句に立体感,奥行き,飛躍,そして詩的感動と余韻を持たせる工夫】
http://www.alpha-club.org/page03_01/cut-translation.htm

切れは必ずしも切れ字を必要としないこと。切れ字を使えば必ず切れるというものでもないことを留意したい。


■感想
 俳句も川柳も笑いが後退しているとすると、それらで構成される現代の俳諧(連句)も笑いが後退することになるだろう。たしかに腰折れ連歌風になりがちだ。

川柳には切れ字を使った例がないわけではない。こういうとき切れ字で切れていてはいけないのか。切れ字を使わなくても切れるとすれば、切れている川柳もありそうだが。

私は川柳にはやはりうなづける笑いを伴う「穿ち」があってほしいと思う。江戸川柳(古川柳)のように。

twitterとtumblrの連携によるmixiと外部ブログの同期

今日使ったばかりのtumblr(タンブラー)、かなりいけめんでクール、いきなり惚れたw。twitter+膨大なtwitter関連ツールとtumblrを比較して機能的にどちらがどうとは私は言える段階にはない。twitterの投稿はtumblrに取り込めるし、tumblrの投稿をtwitterに流すこともできる。ならばユーザインタフェースとしては見た目のいい方がよい。140文字の制約もない。他人の記事を検索、選択、集成し新しい記事として発信するのも得意としている感じだ。そしてtwitterでも現段階では今一のコミュニティ機能も期待できそうなのだ。


       t2b          twitterfeed
【mixi】<ーーーーーーー【twitter】<ーーーーーーー【blogger】
             △ |          | ▲(エントリ・ポイント)
             | ▽          | 
            【tumblr】<ーーーーーーーー
              ▲   (オプション:メールによる自動投稿)
             

川柳探求

『川柳探求』前田雀郎著 1958 有光書房

自分の区にはなく、余所の区の図書館から借りて読んだ。川柳と俳諧の部分から、

【谷中竜泉寺に慶紀逸の墓があると聞いて、明治38年、川柳中興の祖、阪井久良伎らが訪ねたら寺の僧は知らず、どうやら無縁仏となってしまったらしい。

紀逸は連句(俳諧)から単独で面白い付句を選んで『武玉川』を編んだ。これは好評を博し、前句付の点者であった柄井川柳はそれに触発されて、前句付から単独で面白い付句を選んだ。それを呉陵軒可有が編んで『柳多留』と題し出版した。

やがて前句が形骸化し、前句なしで独立した面白い句を詠むようになっていった。それは点者の名前をとって川柳と呼ばれるようになる。

これは俳諧の平句が独立したことを意味する。子規は俳諧の発句のみを文学とみなし、俳句として独立させたが、それよりずっと前に平句は川柳として独立していたのだ。

  俳諧 発句ー>俳句 季語を使った花鳥諷詠の詩
     平句ー>川柳 季語からフリーな人間諷詠の詩  】


慶紀逸の『武玉川』がなければ、『柳多留』はなく、<川柳>はなかったと雀郎は言っている。私も谷中散策の折りに竜泉寺に立ち寄ったことがあるが、寺の女に白い目で見られ、とりつく島の無い感じだったので尋ねるのはやめた(^^;)

俳諧(連句)のほとんどは平句(歌仙36句ー発句/脇/第三/挙句4句=32句)であり、平句=川柳とすれば、俳諧はほとんどが川柳からできている。俳諧は俳句を連ねるものではなく、発句の俳句に川柳を連ねるものと言える。俳諧はむしろ川柳なのだ。

しかしながら、俳句は花鳥諷詠に飽き、現代川柳に影響されて、人間諷詠(探求)も範疇にしていったようである。川柳と俳句の違いは季語/切れの有無くらいと言われる。無季俳句や切れのある川柳もあり違いはますます微妙になってきた。俳諧は俳句を連ねる、俳諧は川柳を連ねると言ったところで、今や実質的な違いはないのかも知れない。

柳人 前田雀郎 ー俳諧から川柳への軌跡ー

『柳人 前田雀郎 ー俳諧から川柳への軌跡ー』櫻井子黄


宇都宮出身の柳人前田雀郎の事蹟を資料ベースで克明に記述し
ている。従って資料としては大変有益なものであろう。しかし
惜しむらくは、雀郎の伝記というところまでは構成や描写がこ
なれていない感じがする。

同じ柳人ものでも田辺聖子の『道頓堀の雨に別れて以来なり ー
川柳作家・岸本水府とその時代』などに比べたら大きな差があ
る。学究の素人と大小説家の違いだからいたしかたない。

内容的にメモしたくなったことは、以下の五点。

1、天明期の俳諧(蕪村・太祇など)を新川柳のベースとする。
  ここには西鶴の自由、鬼貫のまこと、芭蕉のわび・さびが調
  和されて含まれており、俳諧の全き姿を見ることができる。

    わびさびてかくてかるみがほしくなり(芭蕉) 蘭

2、川上三太郎と前田雀郎は対立しているように世間では見える
  かも知れないが、本人たちは仲がよくそう思われていること
  を面白がっている。雀郎は川柳とは何かを追求し、三太郎は
  川柳をどうもっていくかを追求するという棲み分けの協定が
  あるという。

3、雀郎「批評というものは褒めるに限ると悟るようになった。
  だから近頃では何も言わない。」思うがままに批評して猛反
  撃の災難を受け懲りたようだ。

    酷評は素直な弟子に限定し(雀郎)      蘭

4、俳諧から川柳が分岐していく分岐点は几圭、蕪村の時代と
  雀郎は主張している。

    貧乏もついに面だましいとなり     雀郎
    母と出て母と内緒の氷水        雀郎
    音もなく花火のあがる他所の町     雀郎

  花火の句などは抒情性と叙景性を兼ね備えたいい句だと思う
  が花火を季語とする俳句と言われても通りそうである(蘭)

5、『川柳と俳諧』と『川柳探求』は参照しているが全貌がわか
  らない。読めば1、4に関してももっと詳細にわかってくる
  だろう(蘭)

川柳の定義・川柳と俳諧

川柳の定義・川柳と俳諧

『川柳の群像』明治・大正・昭和の川柳作家100人
 東野大八著/田辺聖子監修

●川柳の定義  福田山雨楼
「川柳の本質は、所謂川柳味と称せらるる要素、即ち
ユーモア、諷刺、穿ちがその主流をなしている。川柳
味とは人間愛の華である笑いを中核とした、川柳独特
の表現力を指すのであるが三要素に限られたものでは
なく、洒落・機智・軽味・写実味・超越味・感覚味等
をも豊かに包容するものである。この川柳の幅のある
姿は、古川柳から伝承した俳諧の正系をうちたてるも
のである。

 川柳には俳句におけるような季題とか切れ字等の約
束はなく、十七音字定型の中であくまで自由奔放、平
談俗語に親しみ、警抜な表現を上乗とする。俳句が花
鳥諷詠、造化にしたがい四時を友とし、ややもすれば
非人情の境地、風雅と脱俗の世界に憧れるのに対して
川柳は人情の世界、市井田圃の俗っぽい社会行住座臥、
日常茶飯の営み、勤労と余暇生活の真只中から、人生
の歓喜と苦悩を味わい、そこに素の風流、即ち俗の真
を見出さんとするところに真骨頂が存するのである。

 これを要するに川柳を貫く精神は、あくまで民主的
なものであり、時代に即しユーモアを中核とした思想
、生活感情を民衆の立場から自由犀利に表白するもの
である。昭和二十二年五月実施された日本の新憲法が
自由、真理、正義を盛りたてんとする根本精神と一脈
相通ずるところがあり、文化国家として再建を期する
、わが国民大衆の手で伸びてゆく寛ろぎの文学である。」

これは岸本水府の番傘川柳社が昭和二十二年に公募し
た「川柳の定義」の第一席に入選した福田山雨楼の論
文である。
山雨楼は麻生路郎(「川柳雑誌」)に傾倒、昭和二十
九年副主幹に推される。川上三太郎(「川柳研究」)
は山雨楼を譲って貰えないか路郎に幾度も申し入れた
という。

感想:
川柳結社が川柳の定義を一般公募するというのは話が
逆のようで面白い。一口に新川柳と言っても多くの流
派があり、これはという方向を各派が模索していたこ
とをうかがわせる。
三太郎は古川柳、新川柳の二刀流で、上の山雨楼の川
柳の定義はその立場の理論武装にもってこいのように
も見える。

●川柳と俳諧  前田雀郎
「川柳を俳諧につないで考えたのは、私が早いかと思
っております。したがって私のいま川柳に於てこころ
ざすところもそこにあります。つまり俳諧の平句の心
持に立って川柳する。これが私の、主張というよりも
実践であります。

 古川柳については、川柳が柳多留の作品を天井とす
る限り、いつかはまた頭を打って、狂句に堕ちるのほ
かはないと思われます。それが怖いので、そこをつき
ぬけ、もっと自由なものが待つところへ出てみたいの
であります。おそらく初代川柳も、同じような考えを
持って、俳諧に対したに違いありません。そこから彼
は、収月点の前句付を出て、新しい彼の俳諧を生みま
した。私もそうありたいと願っています。」

感想:
わが意を得たりと思う文に出逢った。俳諧心で川柳す
る、川柳心で俳諧する、ともに共感できる。

2010年3月3日水曜日

twitterの活用ツール その3

 哀Twitter : Webを利用したiPhone向けtwitterクライアント。
◯blog it   : bloggerなど13種のブログに一挙に投稿。ただしmixiを除く。やはりmixiは特殊でぼっこかw
◎BBS    : twitterに掲示板(コミュニティ)機能を提供するiPhoneBBS用のiPoneクライアント・アプリ。twitterが提供しているtwiccoは現時点で投稿の反映が一時間ほどかかるのに比べ、瞬時でコミュニテイで使える。ただコミュニティ参加の承認機能はなく全くのオープン。じゃぁ、一般の掲示板と違わないじゃないと言われそうだが、投稿はtwitter経由で、twitterの強力な検索の対象になる。またiPhoneなどからの専用クライアント・アプリもありモバイルで使い易い。

2010年3月2日火曜日

Twitter関連ウェブサービス一覧

これですべてかい。まだありそう。私は全部試すつもりなのか!(^^;) http://twistation.com/list.html  こっちの方がすげぇー。http://usy.jp/twitter/index.php?Twitter関連Webサービス

twitterの活用ツール その2

 kokuru : twitterで掲示板、オープンすぎて特定コミュを乗せるにはどうか。投稿はtwitterからできるのか?
◯splitwit :140字以上のつぶやきを自動分割してtwitterに投稿する。
◯iPhoneBBS:Twitterと連携した掲示板。これは自由投稿のコミュニティとして即時性がありイケそうな気がする。

これからは、
もはや、パソコンの前に朝な夕な晩な、よいこらしょと座ってSNSやブログの投稿をする時代ではないようだ。いつでも、どこでも、だれでも、ネットに繋がる、文字通りユビキタスな環境が整ってきた。いつもかなり遅れをとってITを後追いし、掛ける相手がいないので携帯電話すら持っていない私だが、どこでもWi-FiとiPod touchを持ち歩き、車でも徒歩でも、家の中でも(そんな広くないw) 好きなときにネットにつなぐことができる。そしてtwitterというつぶやきソフトがしゃちほこばったブログやコミュニティのハードルをぐっと下げてしまった。従来のハードルの高いそういうサイトは、つぶやきの取り込みにやっきとなっているようだが、今一とって付けた感じだ。

twitterの活用ツール

twitterの活用ツールは、すでにすごい数がありそう、しかも増え続けているようだ。わけがわからなくなるので、試したものを記録していこう。◯は現在使用中。

◯twicco :twitterでコミュニティ機能を提供。即時性、時系列性で現在難あり。
◯twitterfeed :ブログ(blogger)からtwitterに自動投稿
◯t2b     :twitterからブログ(blogger/mixi)に自動投稿
◯twtr2src  :twitterからブログ(blogger)に自動投稿
 twitter2mixi:twitterからmixiボイスに自動投稿
◯twittbot(twitterボットジェネレータ):登録されたテキストを段落・一行ずつtwitterに自動投稿するロボット
 favotter(ふぁぼったー):twitterの投稿でお気に入り(favorite)の星マークがついたものを収集表示してくれる。
 Togetter (トゥギャッター):いろんな人の投稿を組み合わせて保存、共有するサービス。
◯twitvideo :twitterの投稿にリンクする画像や動画をアップロードできる。
 Twitpic  :twitterの投稿にリンクする画像をアップロードできる。
◯rtm(Remember The Milk):twitterのダイレクトメッセージを使いToDoリスト(スケジュール)を管理し、タイムリに牛さんが知らせてくれる。
◯twilog   :twitterの自分のプロフィール画面をブログっぽい画面にしてくれる。
 tweetmap :自分の位置を登録した人twitterer or tweeter or ついったったー(^^)を地図上にプロットする。

ふぁぼったーやトゥギャッターは面白そうだが、現在のトレンドをリアルタイムに知りたいニーズが自分にないので駆使できていない。天才数学者が軍にやとわれ世の中のあらゆる情報から敵国の機密情報を抽出解読しようとして狂った映画を思い出したw これか、Beautiful Mind(ノーベル経済学賞の天才数学者ノッシュ)

お願い:twitterの活用ツールで、これはいいよという情報がありましたら教えて下さい。

ユビキタス

病院に妻待ちながらつぶやきの流る画面をみればかなしも



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