2010年4月1日木曜日

四道九品

宗牧『四道九品』 in 『中世の文学 連歌論集四』三弥井書店

「四道とは、さかふ 引はなつ 
 したがふ そふ。
                (太田氏蔵本)(伊地知氏蔵本)
  音する水は氷とけけり
 雪埋む深谷の小川春寒て       添     逆

  時のまにいたるとぞきく西の空
 唐土までの春のはつかぜ       随     放      

  たもとにかすむありあけの月
 鳥のこゑ花のにほひに山こえて    放     添 

  鳴とりもあはれとやみむ谷の庵
 夕かぜあらき花のしたかげ 」    逆     随

さかふは逆ふ。引はなつは引き放つ。したがふは随ふ。そふは添ふであるが、上の四組の付合いの付け方が、逆・放・随・添のどれにあたるのかは蔵本で違う。話の展開の順番としては、添・随・放・逆が論理的であろうが、宗牧は逆から展開し、その例句がその順ではないというミスを犯したのかも知れない。私は太田氏蔵本の見方が正しいように思われる。

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