2010年7月5日月曜日

守武『誹諧独吟百韻』への評

守武『誹諧独吟百韻』への評 
          in 金子金次郎『連歌俳諧集』日本古典文学全集

「次に百韻としての行様を見ると、大綱として本連歌に準じてはいるもののきわめて自由である。それに顕著なことは雑の句の多いことで四割を占める。俳諧句の当然の傾向ではあるが、雑の句ばかりが続いて、その意味で変化に乏しい恨みは免れない。

三句の移りになると、まま本説三句にわたって重くなるものがある。付合になると詞付が多い。また一句として独立せず、前句との関連ではじめて叙述を完結するような句の多いことも目につく。

しかし一方では、庶民的な心情を引き出すもの、場面に劇的要素を加えるもの、会話的な付合になるものなど、俳諧なればこその変化に富んだ付合も見られる。」
  
  松やにはたゞかうやくの子日哉 
    かぜはひくとも梅にほふころ
  春寒み今朝もすゝ鼻たるひして

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