2010年9月30日木曜日

山小屋の主人の知恵袋


『山小屋の主人の知恵袋 生き字引に学ぶ登山術』、工藤隆雄、東京新聞出版局

「危険は山以上に自分の中にある」「遭難は自然に対する無知・傲慢・油断から起きる」「ロープウェイで手軽に登れるといっても山の厳しさや危険はかわらない。」

   たしかに今まで初心者の怖い物知らず、無謀であったと反省。この前同行者が下り
   で4、5回滑ったり転んだりしたが、もしねんざや骨折をしていたらどうなってい
   ただろう(汗)裂いて使える手ぬぐい。

「日帰りでもヘッドランプとツェルト(簡易テント)は必要」

   早速注文。

「金をかけるべきは靴、雨具、下着、ズボン、ザック」「上着、帽子、着替、手袋、防寒
 具は自前のでよい。」

   今まではビニールの雨具。ゴアテックスは高いので東レの透湿防水素材エントラン
   トの安目のを注文。

「ザックは30リットルで十分、男は8Kg、女は5Kg」

「歩き始めは30分〜1時間はゆっくりしたペースで」

   いきなり勇んで早足となり決まって最初に息が上がっていた。

「50分歩いて5分休むというが適宜疲れすぎないよう休憩を」「休憩では水分と食べ物をとるように」

   一時間単位で行程をとらえるとわかりやすいし、長い道のりを思うより気が楽にな
   るかもしれない。

「急坂はストックをしまい三点確保」

   あくまでダブルストックを使おうとする人も見かけたことがある。

「早立ち、早着き」「山頂には11時頃には到着し、12時頃には下山、3時頃には近くの日帰り温泉というのが理想的」

   山小屋泊まりの場合は「できれば午後1時、どんなに遅くても午後3時には宿泊地
   に到着」

「雷が鳴ったら、高度を下げよ」

「道に迷ったら今来た道を確認して忠実に引き返す。してはならばいことは谷や沢筋に下ること、尾根を目指せ」「濃霧の時は雨具を着込み晴れるまで動かない」

   地図、コンパスは必須
  
■常識の嘘と思われるような意見を発見!

「(初心者の)山歩きは軽いスニーカーでよい。その方が動きやすい。(某氏)」

   好日山荘の最新の冊子でも登山ガイド氏がそう言っている。

「ストックがなくても登山できるような体力を付けよ。流行のダブルストックは特に山
 を崩す。(某氏)」

   折角買ったばかりなのに(^^;) 下りで膝が痛くなったときだけ使うことにしようか。
  
  

2010年9月28日火曜日

山歩き

「屋久島は別格」

「この間初心者連れて八ヶ岳に出かけて、赤岳鉱泉と行者小屋を回って八ヶ岳(注:赤岳)に登らず帰ってきました。初心者でも場所さえ選べば大丈夫なんですよ。山の世界がハードルを上げて、山って大変なんだよっていう発信をしないようにしなければ ...」

「本当は『山登り』という言葉も変えたいんです。でもいい言葉がなくて、たぶん正しいのは『山歩き』なんですね。 ... 『何が何でもピークを踏まなければ』ではなく、さっきの『山を歩く』ということですね。自然の中で解放されるために行ってるんだったら、登頂するのがそもそもの目的じゃないんです。楽しく安全なところへ行って帰ってきたらいいんです。」

「そう、東京に出て来てからは八ヶ岳が好きになりました。アクセスが便利だから週末ふらっと行けて、季節の変わりでいろんな顔を見せてくれるんです。紅葉もあるし温泉も楽しめるし、『アクセスのいい上高地』って感じです。」

「岩場を登らないんだったら、靴底は柔らかい方がいいんです。日本の山歩きには、柔らかい靴底の方が適しています。硬い靴を樹林帯ではくと、靴ずれを起こしたり足が痛くなったりしますよ。ウェアにしてもダウンを着る時にレイヤリングしすぎず、下はできるだけ薄着でいい。寒い時には靴下を3枚重ねるより2枚にした方が血行がよくなって結果暖かくなるとか、細かいところがいっぱいあるんですね。『おばあちゃんの知恵袋』のように(笑)」

引用文献
登山ガイド 山田淳 巻頭ロングインタビュー, Magazine for You on The Mountain guddei research, 2010 Autumn, 好日山荘

山岳・山楽・山学



朝NHKで鏡平小屋の壁の絵を紹介していた。山楽、山学、いい言葉だ。
鏡平小屋への地図

2010年9月22日水曜日

はやぶさ

  創痍にて帰郷かなへしはやぶさの最期の使命燃え果つること

2010年9月18日土曜日

牛首山



9月17日(金)晴れ 同行S氏

 8:00  美し森駐車場
 8:15  美し森展望台 1543m
 9:00  羽衣池    1610m
 10:00 賽の川原   1900m
 11:15 牛首山    2280m

途中、真教寺尾根から見る富士山と南アルプスは絶景であった。この前西側から登った権現岳は岩だらけだったが、東側から見ると樹林に覆われている。牛首山の山頂には黒摩利支尊天と書いた石が中程から割れて木に無造作に立てかけてあった。割れ目を合わせ後ろに石を置いて動かないようにした。三人の登山者に出会ったがみな赤岳に向かったのであろう。次回を期す。棒2本と膝のサポーターのお陰で下りでも足は痛くならなかった。S氏は下りで四回ほど転んだり滑ったり、ちょっと彼にはタフだったか。懇願されて、帰りは賽の河原の近くにあるゴンドラ(片道1000円)に乗った。パノラマの湯に入りタッチダウンビール(私はノンアルコール^^;)と蕎麦を食ったら大部彼も元気を回復した。

地図:牛首山
写真提供はGoogle画像検索さん

2010年9月15日水曜日

一茶の連句 七

   せい出して蝶舞へ翌は十五日  相我  春
    朝顔も蒔く春風も吹     一茶  春
   うすがすみほろ味噌うりに始りて ろ芳 春
    車法度と書るかり橋      が
   有明の月にすじかふ壁の穴   春甫  秋月
    なぐさみがてら衣打也     茶  秋
ウ  やよやまて其柿買んよしの馬   茶  秋
    忍ぶたよりに植る松の木    我  恋
   来るとしも古き都になぶられて  甫  恋
    雪でつくねし那古の観音    茶  冬
   世中はたゞ丸かれとなく烏    我
    客の馳走にいぶす豆殻     甫
   湖の月のてら/╲涼しさよ   春和  夏月
    見て居るうちにひらく姫百合 きくと 夏
   鼓打て終に吃を直す也     看薺  
    いせの勅使を送る山駕     我
   仮小屋の貧乏樽に花咲て     茶  春花
    雛の市のはや過にけり     和  春
ナ  鴬にいさゝか鞠を蹴ならひぬ   和  春
    寿永二年の夢がたりして    我
   ねんごろに朝な/╲のかし小袖  甫
    肴の安いみのゝ大垣      茶
   只たのめ草の中でも鐘が鳴    和
    ざぶととび込居風呂の月    我  秋月
   秋風に昔歌舞伎がはやる也    茶  秋
    硯へこぼす刈かやの露     薺  秋
   嬉しさに諏訪の御灯吹けして   我  恋
    妹が名にせようね火香具山   茶  恋
   離家に梓の声の細々と      薺
    しぶ/╲晴る空の夕暮     甫
ナウ 五六人酒塩とりに舟さして    茶
    芥けぶりも春は来にけり    我  春
   たのしさは赤土染の花衣     茶  春花
    茶つみの唄を二ツ覚る     我  春
   暖さうに南下りの片山家     茶  春
    かまくら殿を祭る酉の日    ろ  
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 六

   夕暮や蚊が啼出してうつくしき 一茶  夏
    すゞしいものは赤いてうちん 一瓢  夏
   露しぐれはら/╲松も宝にて   茶  秋
    筆一本に秋は来にけり     瓢  秋
   月かげの翌日は湖水のなきやうに 茶  秋月
    蒲団の下へ草鞋かいこむ    瓢  冬
ウ  西念は願の通りなられたり    茶
    雨の相手にかきたてる灯か   瓢
   桐のはなしのび車を筋違せ    茶  夏恋
    絵かきの袖はひくによごるゝ  瓢  恋
   蕎麦切の寝覚の里に年寄て    茶  秋
    丸くなくとも八月の月     瓢  秋月
   召給へ蛼轡きりぎりす      茶  秋
    しびれさましに河岸へふと出る 瓢
   肥後米の買そこなひを笑はれて  茶
    人にかくして笠に字をかく   瓢
   おほとけの花ことごとく咲にけり 茶  春花
    蒙古追討このかたの東風    瓢  春
ナ  蛤のもれば崩るゝ大座敷     瓢  春
    よい夢見する薬くれたり    茶
   ひとりでも馴れば旅は歩行るゝ  瓢
    あらことごとしつごもりの雪  茶  冬
   膳棚は鼠のものかとばかりに   瓢
    二人がふたり京ぎらひ也    茶
   碁にまけて詠むる空も青くこそ  瓢
    野なら山ならみなころもがへ  茶
   押出す七里の船に素湯焚て    瓢
    南無観世音ありあけの月    茶  秋月
   白露の足はいづれへさし入む   瓢  秋
    伐ことなかれ窓の葛華     茶  秋
ナウ 宗旦が末の弟子とも成たれば   瓢
    深山しぐれのうれぬ日もなし  茶
   をしまれて死るは人のまうけ物  瓢
    そのきさらぎのみごとなる空  茶  春
   うめぼしの核をはうるも花ごゝろ 瓢  春花
    文化八年日暮里の春      茶  春
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

2010年9月14日火曜日

一茶の連句 五

   蝿打てけふも聞けり山の鐘   一茶  夏
    松葉散りうく水のうれしき  乙因  夏
   麻畠ちいさき人の見え初て   成美  夏
    薄きいなづまおちつきもせず 浙江  秋
   乗ものゝ戸をなくしたる月の夜に 因  秋月
    雁鳴門や餅を搗らむ      茶  秋
ウ  風の吹小塩の宿に朝寝せし    江
    古もの買に顔を見しられ    美
   馬の背に十月桜ゆひ付て     茶  冬
    とび/╲濡るゝ枯原の雨    因  冬
   つれづれをおもしろがりて人に恋 美  恋
    軒の瓢は夢にからつく     江  秋
   月にさへ隠す刀を抜て見て    因  秋月
    吉次も参れ秋の志賀山     茶  秋
   竹九本其まゝほしき壁隣     江  
    冷ためしにも花の香ぞする   美  春花
   君が代は奈良鴬も声上て     茶  春
    酔万歳をおくる川風      因  春
二  春霞留守じやと書て張られたり  美  春
    山おかしさに又笛を吹     茶
   搗栗をしろき扇にならべ置    江
    光広どのへ念珠を参らす    美
   茶の花も鶴も久しき在所也    茶
    銭がふる程雪のつのりし    江  冬
   五十日御油の宿屋に病臥て    美
    恋しき外にけぶり立なり    茶  恋
   指の爪噛とて星をかぞへつゝ   江  恋
    家越せばやと月の夜を待    美  秋月恋
   粟酒のはやり初たる笹の露    茶  秋
    きたなく成りしかうろぎの声  江  秋
ナ  玉川を鍋ずみかきに踏こへて   美
    朝から辻に放下はじまる    茶
   状箱をかざして見たる閻魔堂   江
    雨にぬれたる鶏盗むらん    美
   百年も一人寝て見る花植て    茶  春花
    鼠のへらす春のうちまき    江  春
  
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 四

   蛙なくそば迄あさる雀かな   成美  春
    春めくものに門で薪をわる  一茶  春
   旅人の小雨にかすむ顔見へて   美  春
    かさごの安き浦のおもむき   茶
   階子貸す騒ぎも過て小夜月    美  秋月
    木履をはけばきりぎりす鳴   茶  秋
ウ  清澄の堂の油の秋も尽      美  秋
    肱一尺の総や染らん      茶
   もどりには首に引まく小鳥罠   美
    行灯めぐりて春を待つとか   茶  冬
   粕汁にむせかへる程泣出して   美  冬
    うそつかぬ木を立しあさぢふ  茶
   する事の何にもなさに百合の咲  美  夏
    けたゝましさよ入梅の夕月   茶  夏月
   筆とりの大津の長に名を問れ   美
    鈴ふらぬ日ぞ嬉しかりける   茶
   死ぬ事のなくばなをさら春の花  美  春花
    わり竹しめす水のやまぶき   茶  春
二  菅笠をきればすぐさま東風の吹  ゝ  春
    三輪の餅屋に見しられにけり  美
   檜さす弥勒祭の鐘なりて     茶
    ぬれて菖蒲を人跡にふく    美  夏
   二の宮の御意そむかねど先涙   茶
    射散らす鏑矢拾ひ人もなし   美
   高砂は榎の声もなつかしく    茶
    寺にも寝たる細きあきなひ   美
   名月の一年ましに寒うなり    茶  秋月
    松葉にまじるはらゝごの塩   美  秋
   萩の露目へさし消やすおもしろさ 茶  秋
    鹿島の舟にかるたうつらん   美    
ナ  方々にまな板たゝくむ月とて   茶  春
    淡雪そふる紙子浪人      美  春
   五六本寝て見る花の目利せん   茶  春花
    鋸借に扉たゝくか       美
   初霜の瓶の中迄夜は明て     茶  冬
    もろこし舟に身をたとへけり  美
   
引用:『一茶の連句』高橋順子

一茶の連句 三

   枯葎かなぐり捨もせざりけり  一茶  冬
    月も出よとたゝく納豆    双樹  冬
   むら烏染物取に棹さして     ゝ
    遅い梅さへほと/╲とちる   茶  春
   朔日の薄縁めくる春霞      ゝ  春
    綿を蒔ても井戸掘が来ぬ    樹  春
ウ  燈灯に牡丹餅ほどの紋書て    樹
    紫陽花咲ば粕漬をうる     茶  夏
   ぬすまれし子猫二ツにねそびれし 樹
    嵯峨の松葉をいぶす村雨    茶
   槻の臼たゝいて何か唄ふらむ   樹
    別の月の鼻先に出る      茶  秋月
   蒲生の穂の少し散ても秋なれや  樹  秋
    仏の柿をひとつふるまふ    茶  秋
   朝日陰たま/╲寺に土こねて   樹
    宰相どのゝ鑓みゆる也     茶
   旅寝せよ野はさまざまの花の雪  樹  春花
    鍋つゝかけて娵菜をぞつむ   茶  春
二  場ふさげにたが竹削る春の末   ゝ  春
    里にかぶさるかゞの白山    樹
   風呂敷の御骸にかゝる横時雨   茶  冬
    仮のけぶりの低き行燈     樹
   いさゝかな隙をぬすんで打粧ひ  茶
    さら/╲竹の薮蚊にくがる   樹  夏
   真桑めせ伊豆の島までみゆるなり 茶  夏
    仏掘たる跡にあさら井     樹
   菊の露薄紙染る淋しさに     茶  秋
    破たひさしも月は嬉しき    樹  秋月
   はつ雁に風呂のたつらん鐘鳴て  茶  秋
    薬ぎらひが松をたはめる    樹
ナ  君が代の旅に出かける小鍋売   ゝ
    蚤の湧かぬ守ある家      茶  夏
   酒壷の欠を大事に持古し     樹
    今木因と人のいふらむ     茶
   蒟蒻の苞をかけたる花の枝    樹  春花
    露うつくしき草の萌際     茶  春

引用:『一茶の連句』高橋順子 

一茶の連句 二

   正月の子どもに成て見たき哉  一茶  春
    兎をつくれ春の初雪     樗堂  春
   山かぜの末は柳に嵐して     ゝ  春
    雲横をれし日の出詠る     茶
   又立ていづこの月のこも枕    ゝ  秋月
    人にならへと笛呉し秋     堂  秋
ウ  気がゝりの事ある露の宿なれや  ゝ  秋
    物ぬひさして燈火を消す    茶  秋
   鉢たゝき木履の音の行過て    堂
    師走の空と成すましたり    茶  冬
   向直る病眼を袖におし拭ひ    堂
    君の御事ばかり尋ねて     茶
   かゝる時野分の月の打曇     堂  秋月
    鐘竪よこにうねる萩原     茶  秋
   塩苞の背に冷々こぼれけり    堂  秋
    夢見しやふに酒のさめ際    茶
   ぬつぺりと真昼の花の天気にて  堂  春花
    峰かふもとか螺の聞ゆる    茶  春
二ヲ 覗くとて蜂にさゝれし小柴垣  麦士  春
    髭にくむとはしらず恋する   堂  恋
   夜夜中燗鍋の下吹付て      茶
    馬を葬るかた浦の月      士  秋月
   太刀佩し男木槿を踏撓め     堂  秋
    袖に払ふて梨子を参らす    茶  秋
   西むきし窓は昔のあみだ坊    堂
    だまつて居るがおもしろき日や 茶
   二親の不得心なる妻呼て     堂
    他の休むに何を田へ出る    茶
   草の上ほつ/╲蚤を捻り捨    堂  夏
    はやき泊のこゝろ涼しき    茶  夏
ナウ 呪にさつぱりとれし魚の骨    堂
    無尽の銭を提て立るゝ     茶
   春の夜の暮るゝとすれば初夜なりて堂  春
    風呂にびた/╲さわる款冬   茶  春
   馴染あるむつ田は花の這入口   堂  春花
    喜六がよみし山はあの山    茶
   

引用:『一茶の連句』高橋順子 

2010年9月13日月曜日

一茶の連句 一

  冬  初雪や畳の垢の目にかゝる    春耕
  冬   一市過てむら千鳥鳴      一茶
  春  舞々が迹のまひから春立て    同
  春   倒れし梅を人にみらるゝ    成布
  春月 むもれ水おぼろ月夜となるままに 春
  春   笠の祝ひの餅やつくらん    茶
ウ    魚買に越の女の馬引て      布
      赤い御門の昔恋しき      春
  夏  蚊やり火に草をかぶせてしのぶ也 茶
  夏   ばらばら雨にひらく夕顔    春
     鶏の嘴より起る小いさかひ    茶
      けふはから手でもどる乞食   布
  秋月 島舟にきよろりと月のさしかゝり 春
  秋   庭一ぱいに木実ひろげる    茶
  秋  吹風にこゝろ冷つく遠ぎぬた   布
      三かさの山のうつくしき形り  春
  春花 はつ花のちる日/╲を侘ならひ  茶
  春   蝶もとべよと芝に眠れる    布
ナオ春  雲雀鳴名古屋へ駕の値が成て   茶
      幕のうちなる声のやさしき   布
     朝々の膳に涙のかゝる哉     茶
  冬   丗日神楽に交る木がらし    布
     一里は貢の菰の荷拵ひ      茶
      長と呼れて酒をたふるゝ    布
  夏  涼しさは菊も見事に咲にけり   茶
      榎の虻のつかむ程なく     布
     親もたぬ児のづんづと伸過て   茶
      後の咄に豆煎を出す      布
  秋月 少づゝさむく成たる宵の月    茶
  秋   たゞ四五人の踊也けり     布
ナウ秋  大葡萄ぶどうの番の念仏して   知一
      駿河だよりにかへすかな槌   茶
     夕鐘の片々暮て水明り      同
      薮のあちらに家鴨おひ込    布
  春花 塩からき団子の砂も花の山    一
  春   三月七日陽炎の立       茶     

引用:『一茶の連句』高橋順子 
『連句のたのしみ』の著者。一茶が一座した250巻の連句のうち6巻を評釈する。底本は『一茶全集 第五巻』信濃毎日新聞社。ちなみに芭蕉が生涯で一座した連句は340巻、蕪村112巻。