2011年4月19日火曜日

百韻『垂乳根の』の巻


第二千句第八百韻

         百韻『垂乳根の』の巻

                        2011.4.1〜4.18

 1 発句 垂乳根の母ふと寂し弥生尽      春   朧月夢
 2 脇    はらはら肩にかゝる花びら    春花  私
 3 第三 洋上の東風異国より来たるらむ    春   ね子
 4      小瓶に詰めた手紙拾ひて         草栞
 5    モチベーション溢れるままに曲作り      リュウ
 6      気づけば空のいろ移りけむ        郎女
 7    黙つても気詰まりしない旧き友        私
 8      汝が名忘るる我を許せよ         不夜

 9    秋彼岸一輪早き契草         秋   夢
10      蟷螂なればいつそ食はれん    秋恋  ね  たうらう
11    共寝して月を見上ぐる怠け者     秋月恋 ふない
12      若き牡鹿の声懐かしき      秋恋  夢
13    立ち寄ったマンガ喫茶はレトロ風       リ
14      一反もめん暖簾にいかが         栞
15    もの売りの吐く息白き勝手口     冬   不
16      討ち入りの日は遂に決せり    冬   私
17    ネクタイを結んでほどきまた結ぶ       ふ
18      迷路のごとき地下駐車場         ね
19    買ひだめは駄目と知りつゝ弥次郎兵衛     私
20      両手に何を持ちて帰らむ         郎
21    倒産の倉庫整理の明易し       夏   不
22      酒酔星は泪色して        夏   リ
二オ
23    短冊に夢書きし子も嫁ぎ行き         夢
24      猫と煮干を分け合うてゐる        ね
25    幸せは己が心で決めるもの          私
26      レモンかじりし君の目が言ふ   秋   夢
27    密やかな仕掛けのごとく稲つるび   秋   栞
28      花野に落ちる鉄塔の影      秋   ふ
29    有明にシベリア鉄道驀進す      秋月  リ
30      寡黙な客の髪は砂色           不
31    吉原の遊びが過ぎて縁切られ         ね
31    同じ席いつものあれを注文す         郎
32      忘れられぬは馴染みのにほひ       郎  両句に
33    一押しのパン屋にはかに店仕舞        私
34      霙の濡らす貼り紙の文字     冬   不
35    束の間に聖樹映せるマッチの火    冬   栞
35    かたしきの袖の時雨も氷つき     冬恋  夢
36      覚めぬ夢こそ永久に見まほし   恋   夢  両句に
二ウ
37    ときめきの薄れるころにつぎの恋   恋   私
38      自転車操業せねば回らず         栞
39    母の日は母を休ませ母代はり     夏   ね
40      白玉茹でる大鍋の湯気      夏   ふ
41   「トルコ風呂」淫らと言われ丸くなり      夢
42      絵は省略とデフォルマシオン       私
43    爆発の後もじわじわ熱帯びて         栞
44      空と海とのまぐはひの刻         リ
45    明星が口に飛び込み大悟する         私
45    見つけたよ、何を?ってほら永遠を      夢
46      理解者なくば天才ならず         不  両句に
47    むだ口を叩き喫茶の夜は更けぬ        ふ
48      入学式を終えて一息       春   郎
49    花見する人を横目の忙しさ      春花  不
50      芋は煮えれど棒鱈煮えず     春   夢
三オ
51    レシピには載せぬ秘伝のありぬべし      私
52      微妙な違ひたれも解らず         栞
53    八百長の噂に力士押し切られ         ね
54      切り返せずに首捻りつつ         私
55    仮免許にて舵をとる無鉄砲          不
56      由良のと渡るお七じゅうろく   恋   夢
57    愛しさの増せば苦もます狂ほしさ   恋   私
58      文も寄越さぬ君のつれなさ    恋   郎
59    巻き湯葉に結び針魚の春の椀     春   夢  さより
60      ちらちら雛をみてはおすまし   春   私
61    篝火のただ煌めきて朧月       春月  夢
62      橋のたもとに狂女舞ふゆめ        ね
63    語り聞く遠き昔の人柱            不
64      伝へる術も今はブログに         栞  すべ
三ウ
65    あへてする告白炎上期してをり        私
66      時に汚名も売名となる          〃
67    上げ下げはムードで変はるマスメディア    〃
67    ロックスタードラッグの沼玻璃の蓮  夏   夢
68      うつけ者こそ覇王の乱世         夢  両句に
69    創造に必要なのは非常識           私
70      グラスの底に顔よあれかし        不
71    二丁目に河岸を変へたか人相見        ね
72      おねえ口調は処世術なり         私
73    ACのリフレインには愛想尽き        栞
74      カフェdeブレイク気分さはやか 秋   私
75    はじかみの鮮烈にして秋の鯖     秋   夢
76      柿の一葉を添える去来忌     秋   栞
77    風そばふ嵯峨のまほらの花紅葉    秋花  私 
77    面影や仕舞ひも出来ぬ花灯籠     秋花  夢
78      消せぬ炎のいと浅ましき     恋   夢  ほむら 両句に
ナオ
79    我が魂を結び留めむ君いづこ     恋   ね
80      祈れば来たるものならなくに       郎
81    みちのくのしのぶるたみにさちよあれ     私
82      ラピスラズリの夕闇の下         栞
83    工房に絵の具をつくる音しきり        不
84      身を粉に砕く様のうつくし        私
85    香味触フリーズドライで進化して       夢  こうみそく
86      軽さの価値を思ひ知る山         私
87    朝寒に師僧笑って震へをり      秋   ふ
88      敗荷といふ美学もありて     秋   ね  やれはす
89    名月の酒に飛び出すアート論     秋月  私
89    夜も更けて猪口に映るは後の月    秋月  栞
90      飲み干したればしばし去れ友       不  両句に
91    ひもとけば古今の知己のそこにあり      夢
92      頁のノドに紙魚が隠れる     夏   ふ
ナウ
93    暑がりにあはせ設定する温度     夏   私
94      ウルトラマンも弱る節電         栞
95    ヒーローになるもなれぬも時の運       郎
96      ただひたすらに追ひかける夢       不
97    帰郷する球児の頬に花の風      春花  夢
98      斑雪は吉と出でし山肌      春   私  はだれ
99    げんげ田に農作業車を走らせて    春   ふ
100挙句   春祭り待つ友ら楽しも      春   ね

縦書き版 by ふないさん

                            定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
 初折裏 12345678901234 (9〜22) __________
 二折表 12345678901234 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
 二折裏 12345678901234 (37〜50)__________
 三折表 12345678901234 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
 三折裏 12345678901234 (65〜78)__________
 名残表 12345678901234 (79〜92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93〜100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条 
転記用:http://zrenga.ya-gasuri.com/
写真提供はフォト蔵さん

 

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