2011年9月25日日曜日

第三千句 第一百韻『野分雲』の巻


       百韻『野分雲』の巻 
                   2011.9.5~9.24        
発句   野分雲湧きて急かるる家路かな    秋  草栞
脇     すゝきが原のさわぐゆふぐれ    秋  私
第三   いつの世も名月はただ待たれゐて   秋月 ね子
4     鄙人さへもときに句を吐く        私
5    遠方の朋集まりて楽となす         栞
6     箸から滑り落つる湯豆腐      冬  ね
7    ねぇあなた毛皮のコート買っていい? 冬  私
7    省エネで家の中でも着るダウン    冬  私
8     包み隠せぬオーラ立ち出で        栞 両句に

9    ワルツ舞ふ仮面の二人刹那とて    恋  風牙
10    前世来世も夫婦なるべし      恋  ね めをと
11   出任せとおもへどうれし占ひ出       私
12    残り物には福の待つらん         栞
13   行列は流行りの店のAランチ        牙
14    学生気分にかへる古書街         私
15   紙魚の跡辿りてみても一人きり    夏  ね
16    匂ひ袋に仕舞ふ遺言        夏  栞
17   父母逝きしままの家なり草いきれ   夏  牙
17   深淵に波紋残して岩魚消ゆ      夏  牙
18    少年の日を偲ぶふるさと         私
19   ポケットに珈琲飴が溶けてゐた       ね
20    なごり雪さへ何時しか止みて    春  栞
21   青空を暫し隠せよ花の雲       春花 牙
22    子が吹くシャボン玉の煌めき    春  ね
二オ
23   何股もかけるところはママ譲り    恋  私
24    初デートには椿姫観る       恋  牙
25   南仏の海へ私も連れてつて      恋  栞
26    未知を知ることこそ生きる糧       私
27   萌え萌えと会話を交はすメイドカフェ    ね
28    持たす土産はえんま帳なり        栞
29   閉ざされし学舎の窓青嵐       夏  牙
30    夕立のなか跳ぶランドセル     夏  ね
31   夏休み始まるときはえびす顔     夏  私
32    料理自慢の嫁を貰ひぬ          牙
33   けふもまたブログに写真アップして     栞
34    やゝ中毒の紅茶ブレイク         私
35   不知火の揺らめく夜を楽しまむ    秋  ね
36    くノ一潜む朔日の月        秋月 栞
二ウ
37   菱摘みし池遠くなり家並ぶ      秋  牙
38    中古建て売り表札を見る         ね
39   転勤は娘の転校を強ひにけり        私 こ
40    ポストにそっと返す合鍵      恋  牙
41   旧姓の年賀状見てショック受け   新年恋 栞
42    きみ住むかたに澄める初富士    新年 私
43   手に掬ひ雪解の水を味はへり     春  ね
44    仄かに花の匂ふ気がして      春花 栞
45   蝋燭のただ揺らめく夜受難節     春  牙
46    為して成せるか日本再生         ね
47   巌壁に怒涛の砕け散る飛沫         私
48    不良少女は髪を黒くし          牙
49   誘惑の逢魔時に身悶える       恋  栞
50    寄る辺さだめずまよふ浮舟     恋  私
三オ
51   記憶なき人を羨むひともゐて        ね
52    忘年会の幹事頼まれ        冬  栞
53   カラオケの十八番重なり寒に入る   冬  牙
53   星付きの店人疎ら寒きびし      冬  牙
54    懐ぐあひ株価次第に           ね 両句に
55   団塊の加齢でかはる世のしくみ       私
56    引き取る人の無いハムスター       牙
57   役立たぬ縁もゆかりも断捨離で       栞
58    もとは武士とや旅の墨染         私
59   いかやうな人目しのぶの乱れにて   恋  ね
60    一途な想ひ色に出にけり      恋  栞
61   即興の曲は何処かで聴いたよな       牙
62    夢の国なるシンデレラ城         ね
63   こはもても覚えずゑまふ花に月   春花月 私
64    辿々しくも踏む春舞台       春  牙
三ウ
65   蜃楼へ飛んで行きたし念力で     春  栞
66    玄奘の苦労たどるキャラバン       私
67   妖かしの跋扈するらし青き星        ね
68    道理通らぬ政界の闇           栞
69   表情を変えずに待つは絵札なり       牙
70    逆転なるか王手飛車取り         ね
71   ぶつぶつと聞こえよがしに妻の声      私
72    たかべの焼けるまでに一杯     夏  牙
73   目に留るノースリーブの白き腕    夏恋 栞
74    避暑地の恋と思ひたくなし     夏恋 私
75   愛人の五人六人まで数へ       恋  ね
76    博士に返る手帳の記録          栞
77   決め玉を打たれるときの多くなり      牙
78    あれよあれよと神無月入り     冬  ね
ナウ                               
79   散り残る木の葉すがるや初しぐれ   冬  私
80    駆け出し記者は狙うスクープ       牙
81   リツイートされる噂は真ならず       栞
82    避難袋をもどす押入れ          私
83   缶詰の賞味期限を確かめて         ね
84    誰に食はすか秋茄子の山      秋  栞
85   意地悪な雲の邪魔する月今宵     秋月 牙
86    水澄むときに死んでゆきたし    秋  ね
87   芋の露連山影を正しうす       秋  蛇笏(私)
88    最後の授業終へて一礼          牙
89   極上のアルザスワインどうですか?     栞
90    上司にゴマをするも身の為        私
91   セサミンとセシウムときに言ひ違へ     ね
92    毒も薬も隣り合はせに          栞
ナウ
93   やつがれに冬薔薇とは勿体なし    冬  氷心
94    イブの夜なれば奇跡一つも     冬恋 牙
95   気のせいかモテ期に入り紅を差す   恋  ね
96    楽屋入りするあなた浮かべて    恋  栞
97   薄氷の下に蠢くもののあり      春  牙
98    花を訪ねて巡る諸国よ       春花 ね
99   忘れ得ぬ同行二人旅遍路       春  栞
挙句    肩を揉みあふ温き縁側       春  心
  
                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条    
投稿用 
転記用

写真提供はフォト蔵さん

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