2011年10月20日木曜日

第三千句 第二百韻『宿直の』の巻


       百韻『宿直の』の巻 
                   2011.10.1~10.20
        
発句   宿直の明くるや窓を律の風      秋  氷心 りち
脇      鳥の食ふまゝ鈴なりの柿     秋  私
第三   名残月池の面に漂ひて        秋月 草栞
4      竹伐る音を夢に聞きけり     秋  ね子
5    早起きは運動会のお弁当       秋  風牙
6      子が乗るはずの馬を気に掛く      心
7    雲の峰山はにはかに列できて     夏  私
8      汗を捧げん世界遺産に      夏  禾

9    監督をノリオと呼んでいざ五輪       ね
10     流れの早き川澄めるごと        栞
11   遠い日の淡い約束胸を絞め         牙
12     色の褪せたる病葉われは     夏恋 禾
13   流し目に流し目かへすショットバー  恋  私
14     お持ち帰りの首尾は上々     恋  ね
15   初雪が盛り上げているクリスマス   冬  心
16     ペチカ燃えろよお話しましょ   冬  白秋(栞)
17   紙芝居正義の味方にあこがれて       ね
18     レトロ気分で結ぶスカーフ       牙
19   蝶々の翅も重たげ昼の月       春月 禾
20     特命おびて花の席取り      春花 私
21   久方に長閑な春を惜しみける     春  栞
22     詞まじへず湖のさざなみ        心
二オ
23   よちよちと紙飛行機を追う児をり      牙
24     空から見れば国境はなし        ね
25   井の中の蛙よ世界に飛び出さう       私 かはづ
26     痩せた詩嚢を肥やすためなら      禾
27   酒煙草博打女と秋時雨        秋恋 心
28     心変りをさせぬ玉の緒      秋恋 栞
29   月の夜は別れた人を思ひ出で    秋月恋 ね
30     ロザリオ祭の聖歌聴こえる    秋  牙
31   慈母よりも厳父恋しやちちろ虫    秋  禾
32     われも同じく器用貧乏         私
33   風まかせ旅の一座は何処へ行く       栞
34     松の木の向く方は南          心 みんなみ
35   軍靴の響きやをらに近付きて        牙
36     絶ゆることなきヒトラーの末      ね
二ウ
37   時を経てどんな歴史も美化される      私
38     それはあなたの忘却のせい       禾
39   部屋中の什器備品に紙貼られ        心
40     年を越せるか瀬戸際の身で    冬  栞
41   ギリシャ危機他人事のやうな顔をする    ね ひとごと
42     見出しにつられ買う夕刊紙       牙
43   春きざすパステルカラーのコンコース 春  禾
44     卒業記念にめぐる大和路     春  私
45   宿坊を後にくぐりし花の門      春花 栞
46     千葉道場のさなは鬼なり        心
47   人づてに消息を知る風雲児         牙
48     ブロックすれど覗くつぶやき      ね
49   サマーハウス境は自然の繁りにて   夏  私
50     木のぼり男爵デートも樹上    恋  禾
三オ
51   抱かれれば肩越しにある天の川    秋恋 心
52     月の光に和せる小夜曲     秋月恋 栞
53   茸飯葡萄も添えてお見舞いに     秋  リュウ
54     病室からの海は遠くて         ね
55   息抜きはぬし寝てる間の散歩なり      私
56     濡れた落葉を避けてゆくべし   冬  仝
57   熟年の離婚届は更に増え          心  
58     控除受くなら1月1日      新年 禾
59   手引き書を読めど変わらぬ「ヲタク」をり  牙
60     御託が技にまさる蕎麦打ち       私
60     家電芸人売り上げも良く        ね
60     野に置きてこそ草はうるはし      心
61   微に細に遍く神の在れぞかし        栞 三句に
62     おカミに勝るウチのカミさん      リ
63   白州なら両成敗と裁くらん         私
64     ストレートにて飲むウヰスキー     牙
三ウ
65   お好きでしょ一杯一杯復一杯        禾
66     浴衣の肩をツイとぶつけて    夏恋 ね
67   二人して何処か遠くへ夏休み     夏恋 牙
68     知らない街で出会ふ元カレ    恋  栞
69   KYも地図読めないもそのまんま      禾
70     いまを是として楽しくをあらな     私
71   少年は傷つき光る硝子玉          牙
72     学んだのちに型を破れよ        私
73   お袋の味は総菜店の味           ね
74     残雪分けて蕗の薹の芽      春  私
75   春まだき花の便りに胸躍る      春花 ね
76     俊寛忌にと記す黒楽       春  栞
77   照りゆたか配所の月もかくあらん   春月 禾
78     ほてりし肌に東風ここちよき   春  私
ナオ
79   苛々の募る午後なりサガン読む       ね
80     ハーブの香る庭はお好きと       牙
80     ブラームスなど聴きに行こうか     牙
81   憧れの想ひ隠せる未亡人       恋  栞 両句に
82     額の汗がとても眩しい      夏恋 心
83   こんにちは!微笑み返す山ガール   夏  私
84     十年前はヤマンバなりき        ね
85   能面を是非にと父の形見分け        心
86     ガッツポーズが少し派手だと      牙
87   外来の横綱腹を切らされる         私
88     朱雀門から羅生門へと         栞
89   天平の跡は曠野の空つ風       冬  私 こうや
90     たゞ月ばかり冴えざえとして   冬月 郎女
91   言の葉の伝はらぬ世になりぬべし      ね
92     ゆく人なきや古の道          私
ナウ
93   いつの日か売れると信じ書き続け      牙
94     サインの癖は右肩上がり        心
95   不景気の底を見切つて株を買ふ       私
96     五右衛門風呂は注意要する       牙
97   E難度着地決めれば大喝采         栞
98     ふらここ揺れてゐるばかりなり  春  ね
99   花の下老若貴賎のへだてなく     春花 禾
挙句     甘茶かけたり甘茶飲んだり    春  私

                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 
転記用  

写真提供はフォト蔵さん

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