2013年1月2日水曜日

【満尾】吉例新春顔見世興行 連歌百韻『初御空』の巻

第四千句第三百韻 #jrenga

      百韻『初御空』の巻   
                    2013.1.2〜1.13

発句  初御空鴉はいつも自在なり      真葛 新年 
脇句    淑気満ちたる白銀の富士     春蘭 新年 しろがね
第三  獅子頭蔵開けたれば陽を浴びる    ね子 新年
4     町おこしにと祭り復活       蘭
4     おぼえず酔ひの回るきき酒     〃
5   深更に正座して聴く秘伝あり     滋音    両句に
6     弓張月の行方追ひかけ      草栞 秋月
7   新蕎麦を粋にたぐりて寄席帰り    曙水 秋
8     店主こころ得秋袷褒む       葛 秋
8     扇忘れし客は二代目       風牙 秋

9   座敷より眺むる溪を紅葉染め     玄碩 秋  両句に
10    錦の帯締め秋の吉日        水 秋
11  松風の耳に清しく居を直し       蛉
12    しのぶ栄華は夢の城あと      蘭
13  定年後世界遺産に想い馳せ       牙
14    夏至のローマに二人落ち合ふ    ね 夏恋
15  ライバルもひしめき恋のさや当てか   栞 恋
16    君は知らじな桑田清原       水
17  蛮勇を部下に自慢のガード下      牙
18    思はぬ方に落し穴あり       葛
19  子が出来て構ってくれなくなった妻   蘭
20    ダイエットする決意固める     音
21  雲海に昇る朝日の花照らす       牙 春花
22    春嶺遥か八重に連なり       栞 春
二オ
23  通学の自転車のベル夏近し       碩 春
24    サンキュと云へばサンキューと云ふ 葛
25  円満の秘訣は笑顔と忍耐と       ね
26    月末に見るカード明細       牙
27  ケ・セラ・セラ江戸っ子気質はやせ我慢 蘭
28    掛け算九九は風呂で覚える     牙
29  あこがれの一人一部屋一戸建て     蘭
30    みかん食べつつテレビ三昧     葛 冬
31  未だ見ぬ寺より響く除夜の鐘      栞 冬
32    これも煩悩ねこを侍らす      ね
33  両の手に紙袋下げ入るカフェ      蘭
34    日当貰いシャワー使える      牙
35  夏の月リゾートバイトは海の家     蘭 夏月
35  洗い髪振り向く君が眩しくて      水 夏恋
36    虹を指しつつ初な告白       栞 夏恋
二ウ
37  ポケットに入れし詩集の紙魚の跡    牙 夏
38    話が弾む職務質問         ね
39  高跳びの自慢噺は封印し        葛
40    五輪招致につきまとう影      牙
41  好景気望まぬ人は居らぬらん      蘭
42    ジュリアナ世代今や美魔女に    水
43  若返りこそ人間の永遠の夢       蘭
44    iPSに賭けてみようか      栞
45  秘中の秘あなただけにと囁かれ     牙
46    春競馬にて狙ふ大穴        ね 春
47  風邪っ気も吹き飛ばしてや花吹雪    蘭 春花
48    ツンと抜けたる山山葵の香     牙 春
49  朧夜の回転寿司にトロを食ふ      ね 春
50    カネの話はひとに任せて      葛
三オ
51  腕利きの職人気質衰へず        栞
52    老舗と本家張り合いて居り     水
53  暖簾にはかからぬようにと水を打ち   碩 夏
54    小僧十三甘味恋しき        蛉
55  毘沙門天を右に折れれば石畳      牙    びしゃもん
56    ロケ地効果を皮算用し       水
57  リゾートに突如戦国館でき       蘭
58    フリーパス持ち西へ東へ      葛
59  枯菊を残して消えた男追ひ       ね 冬恋
60    待伏せ辛き寒の有明        栞 冬月恋
61  ひとげ無き氷湖に残る穴二つ      牙 冬
62    悪童まえにつづく怪談       葛
63  草廬出て大路日課の辻説法       蘭
64    荷駄も歩みを少し緩めて      碩
三ウ
65  少しだけ横顔見せた異邦人       栞
66    モロッコ革のカバー手擦れて    水
67  背伸びする父の書斎のウイスキー    牙
68    親の旅中に友と留守番       蘭
69  待ち受けの画面はなぜか猫ばかり    葛
70    ブログに綴る人気スイーツ     牙
71  結界を囃し虚ろになりにけり      蛉    はやし
72    見返り柳ゆれる後朝        蘭 恋
73  南風見せるうなじはか細くて      碩 夏恋
74    海霧に汽笛の咽び泣くとや     栞 夏  じり
75  六十路坂初クルーズに漕ぎ着けて    蘭
76    恐る恐るのタンゴステップ     葛
77  花形となりし片鱗窺はせ        栞 雑花
78    匠究めて深き眼の人        蛉
ナオ
79  泥沼流さわやか流とも呼ばれけり    ね
80    番狂わせと言えぬ風格       牙
81  勝越しに斗酒まだ辞せぬ午前二時    碩
82    手水の窓を中天の月        蘭 秋月 ちょうず
83  回廊を渡れば菊の馥郁と        牙 秋
84    春日の杜に鹿の群れなす      栞 秋
85  やはらかき煎餅好むばばと孫      葛
86    障子を透し届く小春日       碩 冬
87  川の字の天井躍る影絵かな       蛉
88    生謳歌する如く啼く蝉       蘭 夏
89  短夜をともに過せる終の刻       栞 夏恋
90    肩抱きくれし御手の恋しき     葛 恋
91  通学路メニュー変わらぬ喫茶店     牙
92    卒業写真ひとりわからず      水
ナウ
93  自分史で賞を狙ってネタ集め      蘭
94    こんぐらかりし編みかけの糸    葛
95  縁側に猫は寛ぎ毛づくろひ       蘭
96    苔むす石はやや陽溜まりに     蛉
97  水温む頃となりしや潦         栞 春 にわたずみ
98    逃げる蝌蚪追う子のはしゃぎ声   牙 春
99  早咲きの花を門出に栄転す       水 春花
挙句    ますます高く上がる風船      ね 春

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方

写真提供はフォト蔵さん

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