2013年2月6日水曜日

【満尾】第四千句第四百韻『さざ波は』の巻  


                      百韻『さざ波は』の巻   
                                                                                2013.2.6〜2.28

発句  さざ波は立春の譜をひろげたり  水巴  春     
脇句    東風に吹かるゝ堤のをとめら 春蘭  春  てい
第3  雉ほろろ玉追う子には罪もなし  風牙  春
4     無垢の小筥に仕舞ふ臍の緒  草栞
5   旅立ちの準備万端整ひて     真葛
6     無料アプリも割と役立つ    牙
7   待宵の今日の運勢占ひぬ     ね子  秋月
8     貴人挿頭す紅葉一枝     曙水  秋  あてびと かざす

9   初嵐芸妓のひとり路地急ぐ    玄碩  秋
10    ”妻”と記して君を待つ宿    蘭  恋
11  俳句でも一つ捻つて捧ぐ愛     栞  恋
12    声高にては云へぬ腰痛     葛
13  孫娘前にすべてをそっちのけ    蛉
14    パソコン慣れてネット通販   蘭
15  口コミの評判さへも金次第     ね
16    暇な隠居は地獄耳にて     栞
17  犬吠えて向かいの娘は朝帰り    碩
18    有明月をとどむ夏空      葛  夏月
19  大漁と烏賊釣船の旗なびく     牙  夏
20    白寿赤飯お裾分けきて     水
21  枯枝に花咲くごとく若返り     栞  春花
22    子供のお古似合ひ麗らか    蘭  春
二表
23  奪ふべき愛ふらここに託し漕ぐ   葛  春恋
24    四月馬鹿にも淡き初恋     ね  春恋
25  付け文に差出人の名の無くて    牙  恋
26    告白披露罰ゲームなり     蛉
27  振り返るわが青春は悔いに満ち   蘭
28    古い手帳にペンは走らず    碩
29  ブラインド・タッチ華麗な新世代  蘭
30    国会中継コンサートなみ    葛
31  冬ざれの日本経済上向いて     ね  冬
32    滑らぬやうに歩く雪道     栞  冬
33  学校は知育偏重試験漬け      蘭
34    やる気演技でみせる就活    〃
34    世にはざらなり答えなき問ひ  〃
34    可愛さ変わらずどれもどんぐり 水  秋
35  月よ月我ら等しく死に近し     ね  秋月 三句に
36    山海の幸並ぶ賢治忌      牙  秋
二裏  
37  猫の手も借りたいほどの芋煮会   栞  秋
38    本家争ひしばし休戦      葛
39  呼び込みの熱さで決めるあぶり餅  蘭
40    青空市は今日も賑やか     ね
41  アンティークグラス二脚のクリスマス 牙 冬
42    嘘かまことか王の血筋と    葛
43  山陵を越えて広がる青田波     碩  夏  みささぎ
44    不意に現る虹の架橋      栞  夏
45  ポケットの婚約指輪取り出せず   ね  恋
46    葡萄酒醸し刻む君の名     牙  秋恋
47  待たされて有明の月薄蒼く     水  秋月
48    花紅葉敷く寺の延べ段     蘭  秋花
49  千年の古都の誇りは今もなほ    葛
50    ゴンドラ漕ぎもベルカントにて 栞
三表
51  チップにと覗く財布に小銭無し   牙
52    唇赤き七五三の子       ね  冬
53  初時雨止みて手水に光満つ     栞  冬
54    人気作家の返本の山      葛
55  評判は良くも悪くもバズられる   蘭
56    重き扉を開くる躊躇ひ     牙
57  教会に憬れ抱く仏教徒       ね
58    バージンロード父は疎まし   水
59  身ごもりを服で隠せぬやうになり  蘭
60    ここが出番と鳩の飛び出す   葛
61  道化師の子等はやしたて辻舞台   蛉
62    夏草燃ゆる城の坂下      栞  夏
63  刀から蚊遣りまで売る骨董屋    水  夏
64    伏し目にかくす志しあり    葛
三裏
65  少年の夢は宇宙に植民地      ね
66    アニソンばかり歌うカラオケ  牙
67  オフ会やハンドル名のこそばゆさ  蘭
68    闇にまぎれて触れる君の手   葛  恋
69  ボエームを想ひ耳まで赤くなり   栞  恋
70    大気汚染で意識失ふ      ね
71  噂して曹操がくる四千年      水
72    歴史は知恵の宝庫なりとや   蘭
73  鷄か卵が先か気になりて      ね
74    食欲誘ふ三つ葉芹の香     牙  春
75  水音を空耳かとも月朧       葛  春月
76    日永過ごすに足りる狭筵    蘭  春
77  孫ひまご祖父母の家は花盛り    ね  春花
78    写真館にて記念撮影      栞
名表
79  星屑の落ちし北の地五稜郭     牙
80    出張ついでに市内観光     蘭
81  庭先の路面電車に菊ゆるゝ     蛉  秋
82    駅長のごと案山子佇む     ね  秋
83  瓢の笛誰ぞ吹きたる月の夜     牙  秋月
84    人さらひとや聞くも恐ろし   葛
85  韓流を追っかけ家事はそっちのけ  蘭
86    目が離せない字幕スーパー   水
87  顧て初めて気づく恋心       栞  恋
88    相合傘を書いてまた消し    葛  恋
89  放課後に一人残されドリル解く   牙
90    おやの渋面浮かぶゆふぐれ   蘭
91  ひと月に十三回の里帰り      ね
92    政策変わって弟妹ができ    水
名裏
93  口遊むいろはにほへとほろ酔ひて  葛
94    あさきゆめみてさめしあけぼの 蘭
95 「芝浜」のかみさんほどに芸もなく  水
96    付け払ひせでお後よろしく   栞
97  春風に列みだれなきラーメン屋   蘭  春
98    頑固一筋山も笑へり      ね  春
99  花守の留め置き事項また増えて   葛  春花
99  若松の堀を染めたる花鏡      牙  春花
挙句    筵で待つは新社員らし     牙  春  両句に 

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

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