2014年11月7日金曜日

【満尾】第五千句第四百韻『世にふるも』の巻


                      百韻『世にふるも』の巻   
                                                                                  2014.11.5〜12.3

発句  世にふるもさらに時雨のやどりかな   宗祇  冬
脇     散りて彩なすかさのもみぢ葉    春蘭  冬
第3  たぬき肥ゆ我が家の一味となりぬらむ  曙水
4     焦がした鍋を洗ふ夕暮       里代
5   後の月過ぎて今なほ輝けり       草栞  秋月
6     芒の原に聴きしビオロン      阿紗  秋
7   褒め合ひて差しつ差されつ新走り    真葛  秋
8     アラセブンにてやまひ知らずよ   野茨

9   持ち歌は中島みゆき一筋で        水
10    抱かれていたい夜が明けるまで    代  恋
10    いいひとどまりに終はる恋愛     蘭  恋
11  笑顔見せ心で泣いて汽車に乗る      栞  恋  両句に
12    クロワッサンとカフェオレの朝    代
13  無縁とは思ひつつ見る訃報欄       葛
14   「老人力」を読んでうとうと      紗
15  風雨でもついむきになり散歩して     蘭  
16    川の淀みに集ふ留鳥         茨
17  病葉にいざ鎌倉の道細し         代  夏
18    抹茶アイスでまずはもてなし     水  夏
19  夕月に幼な子揺れるハンモック      紗  夏月
20    読み聞かせたる絵本しまひて     栞
21  写真付きLINE飛び交ふ花便り     茨  春花
22    誘はれ易き峪の蝶々         葛  春
二オ
23  憧れの先輩今日卒業す          水  春恋
24    偶然装ひ駅でまちぶせ        蘭  恋
25  黙しても見透かされるや下心       栞
26    石榴裂けたる菩提寺の庭       代  秋
27  半纏のきりり決まりて冬支度       葛  秋
28    芋が煮えたと夫に呼ばれる      紗  秋
29  名月やとなりのうひ児なきやみぬ     蘭  秋月
30    いろはさらへばにほふ墨の香     茨
31  寺子屋は腕白揃ひよだれくり       代
32    解けぬ難題ひとつ咳         水  冬   しわぶき
33  レジ打って爪の手入れもこっそりと    紗
34    流行色に惑はされつつ        栞
35  服買つてやうやく機嫌なおる妻      茨
36    秘密の基地に蝉の抜け殻       葛  夏
二ウ
37  叡智だね彗星の尾を捕まえた       水
38    きみとの出逢ひこれも奇跡さ     蘭
39  狂ほしく若き情熱蘇り          栞  恋
40    ハーレーの腰しかと抱きしむ     代  恋
41  陽光を受けて眩しき海の青        葛
42    帰燕見送る島の灯台         紗  秋
43  辛抱のこもり奉公秋ととせ        蘭  秋
44    秘めし宿望誓ふ満月         茨  秋月
45  八戎はさらりと捨てて寺下る       代
46    ヒップホップが今日の体育      水
47  白山羊に不思議な顔でのぞかれて     紗
48    読まずに閉じた雛の添へ文      栞  春
49  相合ひの言はず語らず花篝        葛  春花恋
50    妬くやはるかぜ捲るスカート     茨  春恋
三オ
51  通学路急ぐ自転車立ち漕ぎで       水
52    あせの煌めきわかば照り映ゆ     蘭  夏
53  滝の音絶える間もなく谺せり       栞  夏
54    熊野古道で出会ふ修験者       代
55  顔に似ずバイリンガルの隠し技      葛
56    夜景を見せて甘く囁く        紗  恋
57  ゆきずりの刹那刹那は本気にて      蘭  恋
58    あいさつ代はり「今度飲もうよ」   茨
59  プリプリのエビチリが来て月今宵     代  秋月
60    菊花賞には肥ゆる馬居ず       水  秋
61  不器用な人思ひつつ秋の駅        紗  秋
62    間合をおいて二度鳴らすベル     栞
63  悪戯は小僧の糧となりぬべし       茨
64    神父の胸の銀の十字架        葛
三ウ
65  半世紀サンタクロースに見捨てられ    水  冬
66    おでん肴にボジョレ・ヌーボー    蘭  冬
67  割烹着脱いだ彼女は今何処        栞
68    キラキラ光る鴨川の海        代
69  思い出をぎっしり詰めて絵日記に     葛
70    土器のかけらに似せたクッキー    紗
71  好奇心あれば世界は刺激的        蘭
72    人見知りせぬ仔猫かはゆき      茨
73  椀種のしらうをの目にみつめられ     代  春
74    音羽屋を観に春ショール掛け     水  春
75  バーボンを飲んでほんのり朧月      紗  春月
76    花の都の灯も燃ゆ          栞  春花
77  待ちわびし愚図な彼よりプロポーズ    茨  恋
78    小町の轍を踏まず婚約        葛  恋
名オ
79  政党の名前が語る憂き世にて       水
80    かつ消え結ぶ淵のうたかた      蘭
81  叢に梔子香る仮の庵           栞  夏
82    腹の上だけのせる夏掛        代  夏
83  ジャンボくじお告げあったと大人買ひ   葛
84    集ふヲタクに二階みしみし      紗
85  トキワ荘昭和マンガの発祥地       蘭
86    生活感の醸すおもむき        茨
87  月高しカラオケ館といふビルに      代  秋月
88    二次会終えて虫すだく道       水  秋
89  朝寒のトースト焦げた匂ひして      紗  秋
90    黄落踏んで配る新聞         栞  秋
91  けふもまたテレビに暮れる日の早さ    茨
92    かなた熱愛こなた破局で       葛
名ウ
93  訳本もシェイクスピアは苦手なり     水
94    自慢くすぐり入れる合ひの手     蘭
95  もち上るはずが歳には逆へず       栞
96    ぬらりと逃げる寒釣の鮒       代  冬
97  歌詠みの夢は流れて千曲川        葛
98    かすみて分かちがたき天と地     茨  春
99  やすらかにハープ鳴らせば花の降る    紗  春花
挙句    いざ佐保姫の園へ参らむ       栞  春

経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年10月23日木曜日

2014年9月7日日曜日

【満尾】第五千句第三百韻『この道や』の巻


                      百韻『この道や』の巻   
                                                                                  2014.9.7〜10.14

発句  この道や行く人なしに秋の暮      芭蕉  秋
脇     森の奥より小牡鹿の声       野茨  秋  さおじか
第3  月影の茅舎にはかに輝いて       杜角  秋月
4     酒を土産に遠来の友        春蘭     みき
5   笊碁にて長考しても手は同じ      曙水
6     運を任せて引く阿弥陀籤      草栞
7   進級後初の席替へ盛り上がり       茨  春  
8     桜吹き入れ窓辺明るし       里代  春

9   四月馬鹿来賓祝辞次々と         水  春
10    ところえらばぬ居眠りもわざ     角       
11  ビル街の公園もこむ昼休み        蘭
12    今年の夏は晴れの少なし       茨  夏
13  狂言の舞台想はす蝸牛          栞  夏
14    てくてく句碑をめぐる鎌倉      角
15  切通抜けて日向に梅二輪         水  春  きりどおし ひなた
16    つなげばぬくし白ききみの掌     蘭  春恋
17  陽炎の身をひとすじに貫いて      真葛  春恋
18    ボーカロイドの歌姫の恋       代  恋
19  職人の技も終には見破られ        栞
20    忘れ花咲く聖堂の門         水  冬花
21  同窓会みな何かしら若づくり       茨
22    シェフの手元にしばし見惚るる    代
二オ
23  赤子抱くネイルアートにラメ光り     水
24    なびく幟の褪せし紺色        葛
25  名物のほうとう旨し甲州路       阿紗
26    落ち穂拾ひの人は何処に       栞  秋
27  やまもとに点る家の灯雁のこゑ      角  秋
28    子らの帰宅をせかすゆふ月      蘭  秋月
29  釣り堀によもや坊主はをらぬらん     茨
30    柳の下でする待ち惚け        水  春
31  空へ漕ぐ負けず嫌いの半仙戯       代  春
32    ひばりの名乗り耳鳴りのごと     角  春
33  行きずりのジャムセッションも興に入り  栞
34    無料のティッシュ受け取らぬ人    水
35  ともかくも買ひ出しに出る年の暮     蘭  冬
36    秘伝のたれで囲む鱈ちり       紗  冬
二ウ
37  パンドラの箱は今宵も閉ざされて     代
38    銀箔押しの抱一の櫛         水
39  芸術は眼とこころとの保養なり      茨
40    裸身眩き騎上のGODIVA       栞
41  貴婦人と呼ばれし樺に逢いにゆき     水
42    霧のヴェールにかすむみづうみ    角  秋
43  尾根に出て視界ひらけり秋の富士     蘭  秋
44    娘かたづき風の身に入む       茨  秋
45  望の月肩を寄せ合う道祖神        水  秋月
46    旅立つ前に外す表札         栞
47  みちのくに遊行詩人の跡追つて      蘭
48    蕎麦街道を吹きすさぶ東風      角  春
49  愛車駆り花の名所を見て回る       茨  春花
50    千社札買ふ春の夕暮         代  春
三オ
51  頃合を量りてそつと手をつなぎ      栞  恋
52    はまかぜ揺らす亜麻色の髪      蘭
53  名を馳せた陸サーファーも夢のあと    水     おか
54    孫に翻弄されてへとへと       角
55  就活の次は婚活春疾風          水  春
56    一段目だけ飾る雛壇         茨  春
57  納税期済まぬと他事は手に付かず     角  春
58    昼飯代はり二個の草餅        蘭  春
59  フランスに行きたき思ひ褪せぬまま    葛
60    マフラー巻いて通ふ名画座      栞  冬
61  そそくさと独りで済ます冬至粥      代  冬
62    視力あやしき目にも月冴ゆ      角  冬月
63  PCは2時間ごとに休むべし       茨
64    思わくはずれ今日の円高       水
三ウ
65  ケチ徹しハワイ旅行の旅費浮いて     蘭
66    人生はじめて食すスッポン      角
67  いつになく精気漲る夏の宵        栞  夏
68    仕立下ろしの浴衣嬉しき       代  夏
69  遠く聴く祭囃子に胸躍る         茨  夏
70    後家となりにし初恋のひと      角  恋
71  教科書に書いた相合い傘ばれて      水  恋
72    ピタゴラスでも解けぬ難題      葛
73  見上げても形わからぬ大宇宙       蘭
74    受賞の行方神のみぞ知る       栞
75  ねらふほどなかなか来ない本命よ     茨
76    嫦娥逃げゆく皆既月蝕        水  秋月
77  返杯を遠慮せぬ妻花灯籠         角  秋花
78    はららご飯に膝を崩して       葛  秋
名オ
79  出張の収支たいてい赤字なり       蘭
80    給湯室で淹れるブラック       茨
81  プレゼンは先手必勝リハーサル      代
82    弾む会話で決まる合コン       角
83  玉の輿ならよろこんで婿養子       茨
84    営業トーク職業病で         水
85  一族の多さ実感する法事         蘭
86    今ふた度の十三夜待つ        栞  秋月
87  触れもせでほろほろ落つる小紫      角  秋
88    細水指で風炉名残茶事        代  秋
89  松虫に足の痺れをからかはれ       水  秋
90    師匠めあてに小唄手習ひ       茨  恋
91  プロフィール写真内緒で壁紙に      栞  恋
92    ハートおねだりはまるツムツム    蘭
名ウ
93  禍をくぐり生きてるだけで儲けもん    角    か
94    それにつけてもはやき月日よ     茨
95  花粉症ひとより先に春を知り       角  春
96    君に留まりし蝶を羨む        水  春恋
97  畑を打つ嫁御はマキシワンピ着て     紗  春恋
98    命授かり心うららか         栞  春
99  ひま人と花の陣取り命じられ       蘭  春花
挙句    はや色に出るワンカップ酒      茨

経過は#jrenga
連歌懐紙版 PDF

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年7月9日水曜日

【満尾】第五千句第二百韻『炎昼の』の巻


                      百韻『炎昼の』の巻   
                                                                                  2014.7.9〜8.8


発句  炎昼の女体のふかさはかられず     楸邨  夏 
脇     しぐさもゆかし路地の打ち水    春蘭  夏
第三  いつきても飽きることなき古都の旅   野茨
4     杉玉みれば試飲三昧        杜角
5   はいはいと医者の忠告聞き流し      蘭
6     徹夜の読書もはや有明        茨  秋月
7   虫時雨おのづとそなふハーモニー     角  秋
8     運動会の迷子呼び出す       里代  秋

9   道ばたに鼻をくすぐる露店出て      蘭
10    かすみ立ち籠む梅林の里       茨  春
11  早々と雛をしまふも縁遠く       曙水  春
12    春眠さめて二度寝する日々     真葛  春
13  弁当を持たせキッスで送る主       角  恋
14    鬼の居ぬ間の個人レッスン     草栞  恋
15  サッカーのプロにするのが親の夢     茨 
16    千手観音汗し眺むる         代  夏
17  帰省子を責めるが如く鳴く杜鵑      蘭  夏  
18    水場にかかる細き夏月        葛  夏月
19  ゆふさればさわさわ風にさやぐ葦     角
20    散歩も犬で様になりたり       茨
21  まっ盛り心は花に浮き立ちて       蘭  春花
22    都踊にそぞろ繰り出し        栞  春
二表
23  恋はさが身は老いぬれどいまだ春     角  春恋
24    抱かれし日々波のごとくに      代  恋
25  戦争を知らぬ孫子は勇ましく       葛
26    行進曲はAKBで          水
27  人生は明日へ続く長い道         茨
28    苦があってこそ深きよろこび     蘭
29  頂きは視界さえぎるものもなし      角
30    自分撮りして呟くが趣味       水
31  一番の美女探し出す魔法にて       栞
32    林檎を齧る口も可愛く        代  秋
33  ござ敷いて秋の野遊びはしゃぐ子ら    茨  秋
34    千草の花を冠に編む         角  秋
35  ふるさとをふと思はする眉の月      蘭  秋月
36    嫂と云ふ気にかかる人        葛
二裏
37  道ならぬ恋の話に盛り上がる       代
38    懲りずうはきの虫のうごめく     茨
39  道具屋に蚊遣りの豚を値引かせて     水  夏
40    一服がてら茶屋で白玉        角  夏  
41  かまくらや梅雨の合間の空を鳶      蘭  夏
42    あるかなきかの薄物の縞       代
43  黒髪のみだれつくろふ後朝に       茨  恋
44    金釘流の文の恥づかし        葛  恋
45  真贋の鑑定めぐり論争す         栞
46    遺産相続無いなりにもめ       角
47  銀行の窓あかあかと年の暮        代  冬
48    月に誘はれつっかけで出る      蘭  冬月
49  唐橋のたもとに揺れる花万朶       栞  春花
50    ふらここに乗り天に近寄る      水  春
三表
51  少女らのほつれ毛なでて風光る      茨  春
52    若さは特権今を悔ひなく       角
53  熱弁も正論もみな呑みしヤジ       葛
54    澄まし顔にて呉越同舟        栞
55  離婚すらできずに家庭内別居       蘭
56    そぞろ身に染む須磨の秋風      代  秋
57  遥かなる都や月は同じくも        角  秋月
58    隣街から秋祭りの音         水  秋
59  清貧の膳には贅か菊膾          茨  秋
60    つい過ごしがち旧友との酒      蘭
61  長ばなし相槌打つて聞き流し       角
62    手術中のランプ見守る        水
63  キューを出す頃合い計る助監督      栞
64    いつしか異名アメフラシとや     茨
三裏
65  デートには小雨はむしろ好ましき     蘭  恋
66    月さまと呼ぶ声も朧に        代  恋春
67  睡魔きてあことねころぶ花むしろ     角  花春
68    そつと近づく雀の子居て       栞  春
69  神ほとけ人をいざなふ慈悲の道      茨
70    標本箱に並ぶ斑猫          水  夏  はんみょう
71  夏休み自由研究親がやり         蘭  夏
72    新旧不問ゴジラ対決         葛
73  非日常こそ日常のカンフル剤       角
74    BGMはハリーポッター       代
75  コンピュータ相手のチェスで苦戦する   栞
76    地道に歩む出世街道         水
77  報・連・相休まず遅れず働かず      茨
78    民族移動盆の月見て         代  月秋
名表
79  幾山河つまとこえきし夏の果       蘭  秋
80    声をかぎりにひぐらしのなく     角  秋
81  子規庵の大鳥籠も露に濡れ        栞  秋
82    ぬしなき庭を飾る鶏頭        茨  秋
83  おもひ断ちタンスの肥やし捨てにけり   角
84    修道院になどかあくがる       代
85  ははこひしうきぐもひとつゆくみそら   蘭
86    残りめしにておかかおにぎり     角 
87  勉強は自立のためと心得て        茨
88    窓の雪見て穴ごもりする       栞  冬
89  榾の火にじつとみいれば時忘れ      蘭  冬
90    今さらながら不倫小説        葛
91  十六夜の月やちまたのさんざめき     角  秋月
92    光悦垣に紅葉散り敷く        代  秋
名裏
93  露の身をあたら死闘に明け暮れて     茨  秋
94    岨の枯木に何を孤鴉なく       蘭    こあ
95  故郷の塒を後に三度笠          栞
96    どうやら嵐去りししののめ      角
97  太公望間隔たもち並びをり        茨
98    池の土手には土筆群ら立つ      蘭  春
99  城あとに花爛漫と咲き匂ひ        角  春花
挙句    見立てをかしき山の雪形       茨  春


※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん

2014年5月29日木曜日

夜の寝覚 末尾断簡発見される 翻刻トライ!




しらざりしやまぢの月をひとりみて
よになき身とや思ひいづらんとのみながめ
いりたまふに女三宮いとうつくしうもの
おもひしりおよすけ竹(?)つくははの女御の    
御ことおぼしいづるなめりおほどかにうちなが   
めいでてつゆけくなる御袖の気宮もいみ
じくらうたげなるにかくこそはたれも
おぼしいつしぬと思ひやるにさへいとどながめ
いづるにつけてもなつかしくうちかたらひ
かかる人もおはせざらましかはとおもふにも


およすけ   大人びる、老成する。
なめり    であるようだ。
おほどか   おおらかだ、おっとりしている。  
らうたげなる かわいらしい、いじらしい。

2014年1月7日火曜日

【満尾】第五千句第一百韻『松すぎの』の巻


                      百韻『松すぎの』の巻   
                                                                                  2014.1.7〜2.16

発句  松すぎのはやくも今日といふ日かな   万太郎 新年  
脇     ふくら雀の集ふ陽だまり      春蘭  冬
第3  待合の席和みたる大茶会        草栞
4     やゝ酒気帯びて口もなめらか    野茨
5   話すたび逃がした魚成長し       真葛
6     にはかに夕霧たち籠める川      蘭  秋  せきむ
7   月見んと駿馬を駆りて目指す丘      栞  秋月
8     世に打つて出る秋は今ぞや      茨  秋  とき

9   呟いてあっと言ふ間の流行語       葛
10    相変らずの御用新聞         栞
11  支持率の世論調査のうたがはし      蘭
12    嫌よ嫌よの空気読めずに      曙水
13  押せば引く引けば押し来る女波      茨  恋
13  自らの台詞に酔ひて愛捧ぐ        栞  恋  
14    目瞑りてさすルージュ完璧      葛  恋
15  プレゼンのイメリハ済ませ不安消え    蘭
16    営業ゑがお板につく頃        水
17  村おこし都市の祭りと交流し       蘭  夏
18    B級グルメ帰省土産に        栞  夏
19  駅ナカはコンビニ超えてモール化す    茨
20    目にまぶしきや春のよそほひ     蘭  春
21  いつの世も立ち去り難き花のもと    ね子  春花
22    蓬摘みつつしのぶ亡き人       茨  春
二オ
23  悪童の灸すえられし語り草        葛
24    詮なきことに波瀾万丈        栞
25  引退後即出版の手際良さ         水
26    次から次とアイドルユニット     茨
27  流行は追はず知らぬ間流されて      蘭
28    あなたに染まれ選ぶ白無垢      水  恋
29  ふたごころ隠し切れずになみだ色     葛  恋
30    いかにいくべき浮舟の身は      茨
31  清教徒海原を越え大陸へ         栞
32    家族は勇気出づる源泉        蘭
33  七五三母が一番写り良く         水
34    から風吹けば雲は離れて       栞  冬
35  ひとり寝の布団に差せる月の影      葛  冬月
36    くしゃみをしてももどる静寂     茨  冬
二ウ
37 「やっほー」の「ほー」の形の口のまま   ね
38    ムンクに会いに渡るこの橋      水
39  人形の家捨て去りし女あり        栞
40    だれも人生書けば小説        茨
41  忘却は過去の美化には都合よく      蘭
42    チーズと云ひてVサインする     葛
43  同窓会ビンゴゲームで大当たり      茨
44    注目される括弧旧姓         栞
45  マンネリに飽きて手書きで年賀状     蘭  新年
46    ヘタウマ御免豚に似た馬       葛
47  新妻の手料理すべて創作で        水
48    蓙に陣取る丘の若芝         茨  春
49  花開く時を謳歌の果てもなし       栞  春花
50    捲土重来期して春眠         葛  春
三オ
51  世を忍ぶ仮の姿は陶芸家         茨
52    茅葺き民家で手打ちそば店      蘭
53  わが夢に妻おいそれと乗つて来ず     茨
54    リケジョにレキジョ多忙女子増え   水
55  デートでは話題もネットで下調べ     蘭  恋
56    ハネムーンの地に思はざる危機    葛  恋
57  襲撃の疑惑は永遠に闇の中        栞
58    山葵ひそりと隠し味にて       水  春
59  だめ元で手はみな試す花粉症       茨  春
60    かすめる月や昼のねむたさ      蘭  春月
61  大戸より入りし物盗り誰も見ず      葛
62    拍子抜けするビフォア・アフター   栞
63  原作を変へて感動なき映画        茨
64    柳の下に二匹めは居ず        水  夏
三ウ
65  端居して財布重たき客を待つ       ね  夏恋
66    汗さえ見せぬ白きうなじに      水  夏恋
67  紫のゆかり想ひて涙する         栞  恋
68    古典熟読寿大学           茨
69  かはらない若さの秘訣好奇心       蘭
70    血気盛んな相棒の範         栞
71  キャッチャーのサイン通りに球しずみ   水  夏
72    無欲が招く巨額契約         葛
73  リニア線過疎地ばかりを縫つて敷き    茨
74    障害物越ゑスノーボーダー      水  冬
75  氷上で聴き初む曲に翳ありて       栞  冬
76    ラジオかけつつ日永釣する      蘭  春
77  みづどりの澪をひきゆく花筏       茨  春花
78    あの世へ向かふ遍路道なり      ね  春
ナオ
79  あん住を打ち破り出て草まくら      蘭
80    お任せツアーは実にお気楽      茨
81  懐メロについ釣り込まれ唱和して     蘭
82    思はず腕を組んで睨まれ       栞
83  心せよここはウォールストリート     葛
84    山出しなれば宵越しの銭       水
85  国産の木材の良さ見直され        茨
86   「手に職つけろ」親の口癖       蘭
87  代々の田に水張り終ゑて映る月      水  夏月
88    蒲の穂ゆれてサヨナラを言ふ     ね  夏
89  ハンカチをそつと渡して汽車に乗り    栞  夏恋
90    おぼつかなしや末の変心       茨  恋
91  余計なる選挙昨今はやりをり       蘭
92    威信かけるも受くる冷笑       栞
ナウ
93  野良犬が街の通りにたむろして      茨
94    育ちの良さは隠しおおせず      水
95  ゴミ出しに背筋のばして令夫人      蘭
96    遠く白富士風光る坂         茨  春
97  入日差す愛宕の山に奴凧         栞  春
98    故郷おもへば鐘朧なる        蘭  春
99  身を任し川面たゆたふ花見舟       茨  春花
挙句    畔の柳新芽美し           蘭  春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん