2014年7月9日水曜日

【満尾】第五千句第二百韻『炎昼の』の巻


                      百韻『炎昼の』の巻   
                                                                                  2014.7.9〜8.8


発句  炎昼の女体のふかさはかられず     楸邨  夏 
脇     しぐさもゆかし路地の打ち水    春蘭  夏
第三  いつきても飽きることなき古都の旅   野茨
4     杉玉みれば試飲三昧        杜角
5   はいはいと医者の忠告聞き流し      蘭
6     徹夜の読書もはや有明        茨  秋月
7   虫時雨おのづとそなふハーモニー     角  秋
8     運動会の迷子呼び出す       里代  秋

9   道ばたに鼻をくすぐる露店出て      蘭
10    かすみ立ち籠む梅林の里       茨  春
11  早々と雛をしまふも縁遠く       曙水  春
12    春眠さめて二度寝する日々     真葛  春
13  弁当を持たせキッスで送る主       角  恋
14    鬼の居ぬ間の個人レッスン     草栞  恋
15  サッカーのプロにするのが親の夢     茨 
16    千手観音汗し眺むる         代  夏
17  帰省子を責めるが如く鳴く杜鵑      蘭  夏  
18    水場にかかる細き夏月        葛  夏月
19  ゆふさればさわさわ風にさやぐ葦     角
20    散歩も犬で様になりたり       茨
21  まっ盛り心は花に浮き立ちて       蘭  春花
22    都踊にそぞろ繰り出し        栞  春
二表
23  恋はさが身は老いぬれどいまだ春     角  春恋
24    抱かれし日々波のごとくに      代  恋
25  戦争を知らぬ孫子は勇ましく       葛
26    行進曲はAKBで          水
27  人生は明日へ続く長い道         茨
28    苦があってこそ深きよろこび     蘭
29  頂きは視界さえぎるものもなし      角
30    自分撮りして呟くが趣味       水
31  一番の美女探し出す魔法にて       栞
32    林檎を齧る口も可愛く        代  秋
33  ござ敷いて秋の野遊びはしゃぐ子ら    茨  秋
34    千草の花を冠に編む         角  秋
35  ふるさとをふと思はする眉の月      蘭  秋月
36    嫂と云ふ気にかかる人        葛
二裏
37  道ならぬ恋の話に盛り上がる       代
38    懲りずうはきの虫のうごめく     茨
39  道具屋に蚊遣りの豚を値引かせて     水  夏
40    一服がてら茶屋で白玉        角  夏  
41  かまくらや梅雨の合間の空を鳶      蘭  夏
42    あるかなきかの薄物の縞       代
43  黒髪のみだれつくろふ後朝に       茨  恋
44    金釘流の文の恥づかし        葛  恋
45  真贋の鑑定めぐり論争す         栞
46    遺産相続無いなりにもめ       角
47  銀行の窓あかあかと年の暮        代  冬
48    月に誘はれつっかけで出る      蘭  冬月
49  唐橋のたもとに揺れる花万朶       栞  春花
50    ふらここに乗り天に近寄る      水  春
三表
51  少女らのほつれ毛なでて風光る      茨  春
52    若さは特権今を悔ひなく       角
53  熱弁も正論もみな呑みしヤジ       葛
54    澄まし顔にて呉越同舟        栞
55  離婚すらできずに家庭内別居       蘭
56    そぞろ身に染む須磨の秋風      代  秋
57  遥かなる都や月は同じくも        角  秋月
58    隣街から秋祭りの音         水  秋
59  清貧の膳には贅か菊膾          茨  秋
60    つい過ごしがち旧友との酒      蘭
61  長ばなし相槌打つて聞き流し       角
62    手術中のランプ見守る        水
63  キューを出す頃合い計る助監督      栞
64    いつしか異名アメフラシとや     茨
三裏
65  デートには小雨はむしろ好ましき     蘭  恋
66    月さまと呼ぶ声も朧に        代  恋春
67  睡魔きてあことねころぶ花むしろ     角  花春
68    そつと近づく雀の子居て       栞  春
69  神ほとけ人をいざなふ慈悲の道      茨
70    標本箱に並ぶ斑猫          水  夏  はんみょう
71  夏休み自由研究親がやり         蘭  夏
72    新旧不問ゴジラ対決         葛
73  非日常こそ日常のカンフル剤       角
74    BGMはハリーポッター       代
75  コンピュータ相手のチェスで苦戦する   栞
76    地道に歩む出世街道         水
77  報・連・相休まず遅れず働かず      茨
78    民族移動盆の月見て         代  月秋
名表
79  幾山河つまとこえきし夏の果       蘭  秋
80    声をかぎりにひぐらしのなく     角  秋
81  子規庵の大鳥籠も露に濡れ        栞  秋
82    ぬしなき庭を飾る鶏頭        茨  秋
83  おもひ断ちタンスの肥やし捨てにけり   角
84    修道院になどかあくがる       代
85  ははこひしうきぐもひとつゆくみそら   蘭
86    残りめしにておかかおにぎり     角 
87  勉強は自立のためと心得て        茨
88    窓の雪見て穴ごもりする       栞  冬
89  榾の火にじつとみいれば時忘れ      蘭  冬
90    今さらながら不倫小説        葛
91  十六夜の月やちまたのさんざめき     角  秋月
92    光悦垣に紅葉散り敷く        代  秋
名裏
93  露の身をあたら死闘に明け暮れて     茨  秋
94    岨の枯木に何を孤鴉なく       蘭    こあ
95  故郷の塒を後に三度笠          栞
96    どうやら嵐去りししののめ      角
97  太公望間隔たもち並びをり        茨
98    池の土手には土筆群ら立つ      蘭  春
99  城あとに花爛漫と咲き匂ひ        角  春花
挙句    見立てをかしき山の雪形       茨  春


※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん