2015年1月5日月曜日

【満尾】初懐紙『正月の』の巻 ー 第五千句第五百韻



                      百韻『正月の』の巻   
                                                                                  2015.1.5〜2.9
発句  正月の子供に成て見たき哉       一茶  新年
脇     白紙はみ出すほどの書初め     春蘭  新年
第3  マジシャンの金の箱より鳩飛びて    真葛
4     ふだんとがめる妻も空箸      野茨
4     逢魔時の行合の空         草栞  秋
5   明月や無理とさとりぬ隠しごと      蘭  秋月  両句に
6     ラ・フランスの甘き香を剥く    里代  秋
7   茶話会へ持ち寄る品につど迷ひ     杜角
8     不器用通し得たる定席        葛

9   黙阿弥の影武者となり存へて       栞
10    悔ひ改めに遅きことなし       茨
11  シニアにてふたたび戻る大学生      蘭
12    テレビ消せない箱根駅伝      曙水  冬
13  酒気帯びの亭主炬燵で指図する      角  冬
14    宇宙旅行の夢は伏せたり       代
15  面接は上手に嘘をつく場らし       茨
16    化粧濃いめに再婚の朝       ね子  恋
17  みそ汁はあなた好みに薄くして      蘭  恋
18    浅き浦にも春きざす頃        栞  春
19  空の月掌にある如し月日貝        葛  春月
20    花はつぼみのうちこそが華      角  春花
21  加速する世代交代フィギュア界      茨
22    バブルの記憶レジェンドとなる    ね
二オ
23  ある意味で会社選びは博打に似      蘭
24    響かぬ鉦を捨てて悔いなし      葛
25  炎天下心頭滅し布施修行         栞  夏
26    緑蔭すずしありがたき風       角  夏
27  冤罪の不倫疑惑の渦中にて        ね
28    女も好きでお茶屋遊びは       代
29  オアシスを求めるやうに京都・奈良    茨
30    身軽な独りむしろ羨む        蘭
31  賃貸かローンを組むかで喧嘩をし     水
32    相棒見ては真似る口癖        栞
33  もう少し足長けりゃと埒もなし      葛
34    記憶はいつも鬼ごっこの鬼      ね
35  ねんねこの中の妹ずり上げて       代  冬
36    街の昼月氷砕のごと         水  冬月
二ウ
37  若作りすぎて老化を目立たせり      角
38    秘めたる情事噂広まる        栞  恋
39  ウィンクにVサインして玉の輿      葛  恋
40    早や二代目に移る追っかけ      代
41  青春はたぎる情熱あるかぎり       茨
42    もう一花とダンス教室        蘭
43  右足と右手同時に前に出し        ね
44    パパのビデオへ園児駆け出す     水
45  春びよりパワー全開晴れ男        角  春
46    空へぐるりと半仙戯漕ぐ       代  春
47  山裾を覆ふばかりの花の波        栞  春花
48    今ある生を礼す野仏         茨
49  退院後だんだん伸ばす散歩路       蘭
50    日々微かにも季節うつろふ      角    
三オ
51  花時計黄色のパンジー今何時       水
52    言葉あそびは少女得意で       葛
53  きらめきの湖もとは名なき池       茨
54    白鳥飛来添へる彩り         角  冬
55  初デート手袋越しに手をつなぐ      ね  冬恋
56    グリューワインに一夜明かして    代  恋 
57  残る月そぞろ身に入む朝の市       栞  秋月
58    立ち籠めし霧うすれゆく川      蘭  秋
59  越え難き砂漠にせめて野菊咲け      ね  秋
60    宙を仰げば恒河沙の星        茨
61  顔ならべ視線泳がす露天風呂       角
62    手拍子打って宴もたけなは      葛
63  特訓のカラオケで人振り向かせ      蘭
64    狐忠信花道を翔ぶ          水  雑花
三ウ
65  騙されたフリ作戦の父母の知恵      ね
66    おとり捜査に一役買つて       栞
67  裁判の傍聴レポが趣味となる       茨
68    またぞろもたぐ作家への夢      角
69  こなからが五合となって四畳半      葛
70    口説き文句は常の鉄板        水  恋
71  同窓会聞けばマドンナ未亡人       蘭  恋
72    主演脚本語る半生          ね
73  冬銀河韓流ブームいまいずこ       代  冬
74    波の花立つ断崖の磯         茨  冬
75  お仕覆の裂地問はれて答へけり      栞
76    そっと正座を崩しもむ足       角
77  楽しみはお清め鄙の法事ごと       蘭
78    当番札の失はれをり         葛
名オ
79  学ランの釦懐かしブレザーは       水
80    蛮カラやがてチョイ悪に成る     ね
81  フレックス制開始前からフレックス    茨
82    店の外まで薫る珈琲         角
83  切絵図をたどり味はふ江戸情緒      蘭
84    消えた町名復活の縁         栞
85  なれそめは判子もらひに地区回り     角  恋
86    ハスキー声も婀娜にかはゆく     茨  恋  あだ
87  体裁をつくろふなかれ猫の恋       蘭  春
88    チューリップ皆小首かしげて     水  春
89  背負ふものどうでもよくて朧月      ね  春月
90    脱ぎしさしぬき行方知らずも     葛
91  きぬぎぬの別れに憎きすましがほ     茨  恋
92    総務部長にばれた二股        水
名ウ
93  前門の虎後門の狼で           栞
94    苦難試練は成長の糧         角
95  けなげさや野になにを食む悴け鳥     蘭  冬  かじけどり  
96    掛大根の並ぶ庫裡裏         代  冬
97  残したき風景ばかりの写真集       ね
98    蝶の舞ひゆく懐しき径        栞  春
99  一面の花筏割る舟の水尾         茨  春花  みお
挙句    四つ葉みつけてあがる歓声      角  春

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
貞享式海印録
付け転じ方